2014/04/30

須川展也デビュー30周年記念コンサート・東京公演(後半のみ)

【須川展也デビュー30周年記念コンサート】
出演:須川展也(sax)、小柳美奈子(pf)、鈴木大介(gt)、トルヴェール・クヮルテット(saxq)、山下一史(cond)、ヤマハ吹奏楽団
日時:2014年4月29日 13:00開演
会場:東京文化会館・大ホール
プログラム:
A.ピアソラ - タンゴの歴史より"カフェ1930"、"ナイトクラブ1960"
カッチーニ - アヴェ・マリア
吉松隆 - ファジイバード・ソナタ
長生淳 - プライム-クライム-ドライブ
A.リード - アルメニアンダンス・パート1
石川亮太 - 日本民謡による狂詩曲
真島俊夫 - シーガル
J.マッキー - サクソフォン協奏曲
P.マッカートニー - マイ・ラヴ(アンコール)
P.A.グレインジャー - Ye Banks and Braes O' Bonnie Doon(アンコール)

実は前売り券を取れず、あきらめていたのだが、とある方のおかげで後半から聴くことができた(前半も素晴らしかったとのこと!)。

5階建て、2303席の大ホールが、前売り券完売・満席。演奏が素晴らしいことは言うまでもなく、それぞれの曲はどれも須川氏が大事にしてきた作品であることもあって、演奏会のプログラム内容としても大満足。

特に、やはりメイン曲として演奏されたマッキー「ソプラノサクソフォン協奏曲」の印象が強い。須川氏の独奏によりAvexからCDで出ているとはいえ、多くの方にとって初めて聴く作品だったはずだが、やはりこの作品のパワー、テクニカルな面での強烈さは、相当なものだ。須川氏の独奏はもちろん、バックバンドにも相当のアンサンブル能力を要する作品だが、山下一史指揮のヤマハ吹奏楽団はさすが…須川氏のコメント「実はアマチュアなんですよ…いや、プロみたいな演奏するんですけど」は、まさにその通りで渾身の名演を繰り広げていた。

ちなみにこの「ソプラノサクソフォン協奏曲」以前も書いた気がするが、スコア・録音(ティモシー・マカリスター氏による!)は下記リンクから参照できるので、もしご存じない方はぜひ。この曲の元になったコリリャーノの「クラリネット協奏曲」もかっこいいんだよなあ。
http://www.ostimusic.com/SaxConcerto-media.php

アンコール最後に、グレインジャー作品が無伴奏アルトサクソフォンで演奏された。その演奏が終わった瞬間、大拍手をする会場いっぱいのお客さんを4階から眺め、そして何度もカーテンコールに応える須川氏を観て、日本のサクソフォン界を支えてきた一人である須川展也氏の偉大さと、そしてこれからの日本のサクソフォン界に思いを馳せるのだった。

私自身、サクソフォンにハマった最初のきっかけは須川氏である。当時長野県のとある高校で二年生だった私は、松商学園高等学校の吹奏楽部定期演奏会に須川氏が客演すると知り、先輩と出かけたのだ。忘れもしない第一部は、リヒャルト・シュトラウスの「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」、二曲目がアンリ・トマジ/仲田守編曲の「サクソフォン協奏曲」であった。初めて聴くプロのクラシック・サクソフォンが須川氏のその演奏。その後マルセル・ミュールのCDなどを聴き、アマチュアという立場ながら、サクソフォンという大海原に進水していくことになる。その年の10月あたりに岡谷のカノラホールで聴いたトルヴェールもすごかったなあ。

この日会場を訪れた人のうちサクソフォンを吹いている方の多く、いや、もしかしたら日本でサクソフォンを吹いている人のうちほとんどは、自分の中の「サクソフォン」を形成するうちの何%かが須川氏である、という方がほとんどなのではないかな。それはサクソフォンを始めるきっかけだったり、私のようにハマるきっかけだったり、須川氏のデビュー当時からの遍歴を知っていたり、芸大生であれば須川氏に習っていたり…。これまで須川氏が、30年という月日の中で、東京近郊のみならず各地方で"クラシック・サクソフォン"という定義の裾野を広げる活動を積極的に行ってきた功績は、真に称えられるべきところだ。

そんな須川氏の、30周年という舞台を観ることができた喜びを噛みしめつつ、そして何だか消化しきれない感慨にふけりつつ、会場を後にしたのだった。

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このコンサートの終演後、ばったり会った大学の後輩2人と、上野アメ横の大統領へ。本店はさすがに入れず支店だったが、場末感は若干劣るものの(笑)美味しさと安さはそのままで、看板メニューの串焼きや馬の煮込みをつまみつつ、日本酒"大統領"やレモンサワーを味わう。上野に来たらやはりここに来ない手はない!コンサートの話その他に花が咲きつつ、途中からはharatchさんも参戦して夜が更けていくのであった。うっかり深酒してしまい、最寄り駅を2回も乗り過ごしたのには我ながら驚いた。

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