この土曜は、長野より母が東京に遊びに来ていた。朝から移動してまずは上野の桜を眺め(上野公園の花見スポットと東京国立博物館の裏庭)、銀座へと移動して歌舞伎座へ。母の希望により歌舞伎観劇と相成った。
歌舞伎は初めてだったのだが、結論から言えばとても楽しく感動的なものだった!日本の伝統芸能すごい。チケットはそれなりの価格で、気楽に行けるようなものではないのだが、ぜひまた機会があれば観劇したいと思うのだった。
鳳凰祭四月大歌舞伎の午前11時開演の"昼の部"。東銀座駅の出口3番から歌舞伎座地下一階に直結。チケットは事前にネットでクレジットカードを使って精算済みであったため、地下一階の発券機で同一カードを使って一瞬で発券できた。会場は、1ブロックあたりひとつかふたつ、空席は見えるもののほぼ満席のような状態。ご年配の方が多いが、意外と若い方もいる。演目は次の4つ。演目の最中以外は座席でお弁当などを広げることができ、30分休憩の時に合わせて我々を含む多くの方が昼食をとっていた。
「壽春鳳凰祭(いわうはるこびきのにぎわい)」
10分休憩
「鎌倉三代記」
30分休憩
「寿靱猿」
20分休憩
「曽根崎心中」
ひとつひとつ感想を(とにかくド素人なので、間違ったことを書いていたらすみません。公式ガイドは母に持って帰ってもらったので、手元にない)。「寿春鳳凰祭(いわうはるこびきのにぎわい)」は、歌舞伎座松竹経営百年・先人の碑建立一年を記念して制作された新作の舞踊なのだそうだ。長唄・太鼓・三味線(総勢15名ほど!)に乗せて厳かに舞われる、豪華絢爛な舞台。特に、中村時蔵?中村扇雀?演じる女御(最初に出てきたほう)の、滑らかな舞踊には目が釘付けとなった。満を持して登場する帝を演じた片岡我當のオーラにも圧倒された。舞台の後ろの幕には、桜が描かれ、華やかさをさらに増長させていた。
「鎌倉三代記」。ここからはイヤフォンガイドを借りた。舞台の進行を邪魔するこなく、場面の説明や長唄の解釈、補足情報などを良いタイミングで喋ってくれるもの。…が、あらすじがやや複雑で難しいこともあり、いまいち腑に落ちず、いろいろな要素が繋がってくるまで、前半は役者の動きに着目しながら観劇していた。見得を切ったときのその立ち姿、表情、ひとつひとつに驚く。後半、時姫と三浦之助、そして長門のやり取りは、登場人物それぞれの心情の動き・変化が面白い。松本幸四郎演じる藤三郎が自らの正体(佐々木高綱)を明かしたのちの、存在感は強烈である。
「寿靱猿」は、エンターテイメント性あふれる(少し狂言の香りもする)楽しい作品。滑稽さを出しつつも、女大名三芳野と奴橘平のおかしな掛け合い(ただし、小猿を見つけたのち、猿曳に対して示す威厳は同じ役柄とは思えないほどのものだった)、小猿を思う猿曳の語りと、最後円満となった後の全員の舞が楽しい。
人形浄瑠璃からの発祥となる「曽根崎心中」。男女の恋と勧善懲悪(残念ながら徳兵衛とお初は、その場面にはもういないのだが)を織り交ぜ、随所で観客に訴えかけるストーリーを盛り込まれており、名作として長く演じられているのにも納得。おもわずほろりとしてしまったのは、天満屋の場面で、左團次演じる平野屋九右衛門が九平次をこらしめる長い長い語りののち、徳兵衛とお初の身を案じてつぶやくその場面は、おもわずほろりとしてしまったのだった。役者の動きや語りのみならず。大胆な舞台転換や、長唄の鬼気迫る調子、拍子木の見事な響き(これが本物の響きか…!)といったところにも感銘を受けた。
休憩もはさみながら5時間という長丁場。しかし集中力は途切れることなく、大変楽しむことができた。また行ってみたい。一幕だけ観られるチケットもあるそうで、それもいいが、やはり一度は近くでゆっくりじっくり観劇できたというのは得難い経験であった。
そういえば、水野修孝「鼓」に出てくるナリコマヤとかオトワヤって、歌舞伎役者の屋号だったんですね。知らなかった。本場の掛け声も聞けて満足(笑)。
歌舞伎観劇のあとは、目黒へ移動。「日本海」(服部先生に教えてもらったのだが、ここは新鮮なネタを安く食べられ、大変おすすめだ)でお寿司をつまんで、母を新宿の高速バス乗り場へと送った。
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