2013/06/29

平部やよい「Dice」の録音(はやぶさ四重奏団)

滝上先生から、平部やよい氏のサクソフォン四重奏作品「Dice」の、はやぶさ四重奏団録音を送っていただいた。平部氏のサクソフォン作品といえば、何といっても朝日新聞社主催のアンサンブルコンテストで良く演奏される「四つの自我」が有名だが、このような作品があることは先のフェスティバルではやぶさ四重奏団が取り上げたことにより、初めて知ったのだった。

全体を通してシリアスな響きが支配的であるものの、現代的なエッジの効いたリズムやサクソフォンの技巧面が前面に押し出されており、聴いていてとても「かっこいい」作品だ。何度か出現する緩徐部分は美しい和声とメロディが魅力的。2008年3月21日に、平部やよい氏の自作の演奏会にいおいてトルヴェール・クヮルテットにより初演された。楽譜は、私家版として平部やよい氏のサイトから入手可能。録音が広まれば、けっこう人気が出るのではないかなー、と思うのだが。

さて、その「Dice」の録音である。滝上先生との連絡と取り持っていただいた岩渕みずきさん、そして送っていただいた滝上先生にはこの場を借りて改めて御礼申し上げる次第。

この機会に楽譜を購入して(あわよくば演奏してみたいと思ったため)聴いてみた。はやぶさ四重奏団の、基本的な技術力が高いのはもちろんなのだが、「ソルフェージュ能力」の違いに圧倒された(ここで「ソルフェージュ能力」とは、楽譜を前にしてどのようにその音楽を解釈し、音にしていくか…という意味で使っている)。この楽譜を前にした時、私自身がイメージしていたのはもっと硬い音色や極端なダイナミクスである。そうではなく、曲の構造を大局的に捉えて、非常にリラックスした音色でもって場面場面を転換していく。特に、急速部分に現れる息の長い旋律の、歌唱のようなフレージングの美しさには感嘆してしまった。だからこそ、怒涛のコーダ部分もより一層映えて聴こえる。

感想を書いてはみたものの、楽譜も録音も知らない人に対して、この印象というか感動というか驚嘆を伝えるのは、やや難しいな…(^^;

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