2013/04/29

TsukubaSQ練習

練習に明け暮れた…とは言い過ぎかもしれないが、かなりの量の練習をしたこの3連休だった。

4/27はホール打ち合わせ、プログラム冊子制作と、2時間ほど「アラビアン・ワルツ」の個人練習。

4/28は、「アラビアン・ワルツ」と「ブエノスアイレスの春・夏・秋・冬」の練習を午前~午後と。「アラビアン・ワルツ」は譜面の音を並べるのもかなり大変で、まだ個人的な練習の点でも追いついていない…。また、曲の殆どの部分にわたって吹きっぱなしで、体力的な問題も大きい。サクソフォンで演奏されることはこれまでごくわずかで、決まればかなりかっこいい作品なのだが。ピアソラは心配していたのだが、いちど本番に乗せたことがある(昨年のベルギーでのコンサート)ため、吹いていくうちに思い出して、比較的スイスイ進んだ。

4/29は、「クープランの墓」と「アレイ・ダンス」。こちらも、まだ本番に載せたことのない「クープランの墓」でかなり苦労している。プレリュードでの流麗さや、フォルラーヌでの滑稽さを、技術的な面をクリアした上で表現するのは難しい。メヌエットやリゴードンは、比較的わかりやすいような気がするのだが…。「アレイ・ダンス」は、協会コンクール以来一ヶ月近く合わせていなくて、こちらもどうなるかと思ったが、さすが3月に詰め込み型で練習しただけあって、流れや約束事は吹いているうちに思い出すことができた。

明日からは3日間仕事でその後4連休。カレンダー通りだ。個人練習の時間をなんとか取って、4連休で予定されている練習に間に合わせたい。あと、リード買ってこなきゃ…。

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ということで、ぜひお越しください。チケットお問い合わせは、kuri_saxo@yahoo.co.jpまたはinfo@tsukubasq.comまで。

Tsukuba Saxophone QuartetのFacebookページも、更新中。イイネ!押してくれると嬉しいです。

【Tsukuba Saxophone Quartet - Saxophone Concert Vol.5 ~DANCE!~(東京公演)】
客演:大嶋千暁(ピアノ、東京公演)*
日時:2013年5月18日(土) 13:30開場 14:00開演
会場:東京都大田区民プラザ・小ホール(東急多摩川線下丸子駅徒歩1分)
http://www.ota-bunka.or.jp/facilities/plaza/
料金:1,000円(全席自由)
プログラム:
M.ラヴェル - クープランの墓
B.ブーン - アレイ・ダンス
R.アブ=カリル - アラビアン・ワルツ(サクソフォン版日本初演)
A.ピアソラ/啼鵬 - ブエノスアイレスの春・夏・秋・冬(東京公演のみ)*
チケットお問い合わせはinfo@tsukubasq.comまで。

チラシ表・裏(それぞれクリックで拡大)

2013/04/28

埼玉県立近代美術館での上野耕平氏演奏予定

おなじみ恩地様より、埼玉県立近代美術館で開催予定の下記演奏会のご案内を頂戴した。

時々こちらのブログでも紹介しているとおり、サクソフォンについては新進気鋭・注目すべき演奏家が何度も取り上げられている。しかも入場無料ということで気軽に聴きに行けるという意味でも、もっとこのイベントの存在が知られてほしいなと思う。私自身も、これまで予定が合わず、また今回ご案内いただいたぶんについても、自身の練習のため伺うことができない(残念…)。もし予定が空いている方がいたら、行ってみてはいかがだろうか。

【埼玉県立近代美術館ミュージアム・コンサート 大コレクション展「たまもの」記念コンサート 「Gift of Music, Gift for all」】
2013年5月4日(土)開場14:00 開演14:30
埼玉県立近代美術館講堂(2F)
入場料:無料
お問合せ:048-824-0111
サイト:http://momas.jp/event/exhibitionevent/
プログラム:
C.ドビュッシー「版画」(ピアノ・ソロ)
J.ドゥメルスマン「オリジナルの主題による幻想曲」 
伊藤弘之「ソプラノ・サクソフォーンのための"迷宮の森"」
R.ヴィードーフ「サクス・オ・フン」
R.ヴィードーフ「サクソフォビア」 
D.ミヨー「スカラムーシュ」

詳細は書きチラシより参照いただきたい(クリックすると拡大)。



恩地様からのコメントを抜粋する:上野耕平さんと上田晴子さんは、初顔合わせ、また、伊藤弘之さんの作品は、美術館がある北浦和公園に展示されている橋本真之「果実の中の木もれ陽」にインスパイアされた作品で、2002年の埼玉県立近代美術館委嘱作、初演は、平野公崇さんです。

2013/04/27

Quatuor Morphing plays Glazounov on YouTube

今日は、5/18のTsukuba Saxophone Quartetの演奏会のためにホール打ち合わせ、そして家に引き篭って練習。「アラビアン・ワルツ」が妙に難しい…。

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モーフィン・カルテット Quatuor Morphingのグランプリ・コンサートの模様が、彼らのYouTubeアカウントにアップされていた。大阪のいずみホールでの演奏なのだそうだ。私も津田ホールで聴いたっけなあ、懐かしい。メンバー交代前の映像(コンクールでの映像)もあるならば観てみたいものだ。

2013/04/26

東京私的演奏協会第104回演奏会(Sax:大石将紀)

"跡見学園女子大学マネジメント学部イシカワカズ研究室"なる団体?個人?が運営する演奏会に、サクソフォンの大石将紀氏が登場。無伴奏作品(1曲だけテープ音楽アリ)をずらっと並べた鮮烈なプログラム。

【東京私的演奏協会第104回演奏会】
出演:大石将紀(sax)、鈴木治行(operation)
日時:2013年4月26日 19:30開演
会場:渋谷区文化総合センター大和田4F大練習室
プログラム:
酒井健治 - Initial S
鈴木治行 - 句読点 III
鈴木治行 - Perception III
藤倉大 - SAKANA
江村哲二 - Intexterior No.9, Op.15

客席には、あまりサックスっぽい方がいなかったような(塩安さんぽい方をお見かけしたのだが)。みなとみらいでも聴いた「Initial S」は、大石将紀さんのみならず白井奈緒美さんの演奏でも聴いたことがあるが、お二人ほどのレベルまで到達してしまうと、あとは個性を楽しむべきなのだろう。誤解を恐れず言えば、大石さんは草書体、白井さんは楷書体、という印象を受けてる。今日の演奏は、残響がほぼ無い会場ではあったものの、素晴らしかった。

2曲目、3曲目は鈴木治行氏作品(作曲者臨席)。句読点シリーズに関するコンセプトが作曲者から話された。それによると、ある音楽の流れの中で異物を使ってその流れを断ち切る、という意思が働くフレーズやサウンドが多用されているとのこと。また、サクソフォンとテープのランダム再生のための「Perception III」も近いコンセプトを持っているそうだ。「Perception III」は、半偶然性も取り入れた面白い作品で、さらにサクソフォンとテープが互いに相反するものを奏で続けるというところも面白かった…というより、なんだか可笑しかった。

藤倉大氏のSAKANA。初めて聴いたときは何度か聴く機会があるうちに少しずつ解ってきたような。その繊細なダイナミクスのコントロールや、驚異的なまでに高速なフレーズなどから、さらに突っ込んだところに面白さを発見したい。曲と演奏が技術的・音楽的に高レベルすぎて、"解ってきたような"とはいえ上手くコトバに落とし込めないのだ。

最後に夭逝の作曲家、江村哲二氏のテナーサクソフォンのための無伴奏作品「Intexterior No.9」。1995年の所産。これがまたショッキングな作品・演奏だった。まるで日本版のクリスチャン・ロバ「ハード」といった趣で、ハードロックのようなビートや高速フレーズが、聴衆に大きな刺激を与えた。この作品、もともとは齋藤貴志氏に捧げられたとのことで、今となっては推測するしか無いが、おそらく江村氏は齋藤貴志氏を通じてロバの「ハード」もしくは他の作品を聴いたのではないだろうか。テナーサクソフォンの扱いとして「ハード」と類似するアイディアが各所に盛り込まれていた。いやあ、カッコ良かったなあー。気になる方は楽譜買ってみてください(Amazonで買える→江村哲二/インテクステリア第9番)。

それにしても、大石さんの演奏は、何度聴きに伺っても毎回新鮮な発見や驚嘆があり(今回は特に「Intexterior No.9」がそれにあたる)、そういった演奏家のコンサートにこそなるべく足を運びたいものだ。

2013/04/25

Five Corners on YouTube

ウィーン音楽院のLars Mlekusch氏の門下生で組まれた五重奏団"Five Corners"のプロモーション動画。暗譜だったり振り付けがあったり小芝居・寸劇があったり小道具があったり二人羽織り吹きがあったり、ちょっと(かなり?)Les DéSAXés(デザクセ)と似たような雰囲気がありますね。所々レパートリーもかぶっているような。ちなみに、それぞれがきちんとしていて芸の域に到達しており、演奏レベルも非常に高い。聴いていたら突然「Yuppieville Rodeo」が流れてちょっとびっくり。

2013/04/24

ご案内:無伴奏作品演奏会(sax:大石将紀)

今週金曜日に迫っている大石将紀さんの無伴奏作品演奏会。うーん、行けるかなあ(厳しいかも)。

この中で、江村哲二氏の作品だけが初耳である。江村哲二氏について少し調べてみたのだが、若くして亡くなった作曲家であるとのこと、世界の名だたるオーケストラや演奏家によって作品が演奏されていたことが分かった(公式サイトはこちら)。テナーサクソフォンのための無伴奏作品「Intexterior No.9, Op.15」は、1995年の作品で、齋藤貴志氏により委嘱されたとのこと。

鈴木治行氏の作品は齋藤貴志氏のこのCDで聴くことができる。酒井健治氏の「Initial S」は、大石将紀さん、そして白井奈緒美さんの演奏で実演を聴いた。藤倉大氏の傑作「SAKANA」は、こちらから。

【私的演奏家協会 第104回演奏会】
出演:大石将紀(sax)
日時:2013年4月26日(金)19時30分開演
会場:渋谷区文化総合センター大和田・4F 大練習室
料金:1800円
プログラム:
江村哲二 - INTEXTERIOR No.9 Op.15
鈴木治行 - 句読点III
酒井健治 - Initial S
藤倉大 - SAKANA
予約・問い合わせ:
info@musicscape.co.jp

2013/04/22

女木島へ

Tsukuba Saxophone Quartetメンバーのうち数名は昨日の演奏会後も高松に宿泊。高松から羽田へは、昼の便が破格で、むしろ宿泊してしまったほうが安いのだ。ということで、今日は有給休暇を取得して、午前中に少し観光客気分?を味わってきた。ダッパーさんのブログ記事で名前は知っていたが、もちろん行ったことはなかった女木島へ。桃太郎伝説の"鬼ヶ島"の由来ではないかとも言われているらしい。

琴電で宿泊先から高松築港駅に移動し、8:20のフェリーで女木島へ。15分ほどの乗船ののち、桟橋で荷物を預けてレンタサイクル(電動アシスト付き!)でまずは山登り、洞窟を目指す。天気も良く、風もなく、ちょうど良い気温。なぜか鬼のオブジェがたくさん置いてあって可笑しかった。また、洞窟内ではフィリップ・アルタス"カタツムリの軌跡"なる映像作品が3種類上映されており(昨日まで春の部が行われていた瀬戸内国際芸術祭2013のなごり)、興味深く鑑賞した。作品はフィリップ・アルタスの公式サイトから閲覧可能だ。洞窟を出て少し歩いたところにある展望台からの眺めもとても素晴らしい。再び自転車で島の西側に移動し、そこから時計回りにぐるりと東側まで回って桟橋へと戻った。砂浜でゆっくりすることもでき(海が透き通っていた)、また海沿いの走行はこれもまた心地良い。

実物大モアイ像など鑑賞した後、女木島桟橋11:20のフェリーで高松港まで。高松駅からは空港行きのバスに乗りおよそ40分ほどで到着。空港ではお土産を購入し、最後にうどん…ではなくてなぜかラーメンを食べた。地ビール"さぬき"を購入して搭乗。飛行機が飛び立つ瞬間は実にあっけなく、やはり旅の終わりは寂しいものである。

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いやはや、楽しい3日間であった!人との出会い、食べ物との出会い、素敵な場所との出会い、どれも得がたい経験だった。このように得た刺激を、どういった形で消化し還元するのかは自分たち次第、ということになる。いろいろと頑張ろうっと。

サクソフォニーフェスティバル四国

4/21、フェスティバル当日。雨は上がり、雲の合間から日差しが差し込む良い天気。前日の悪天候が嘘のようだ。瓦町から琴電で高松まで。その後JRに乗り換えて端岡駅まで。同じ電車にはFさんが乗っていた。端岡駅からホールまではのんびりと歩いて向かった。

会場に入るとすでにたくさんの方が到着していた。初めましての方、久しぶりの方、いろんな方に挨拶することができた。10時から12時まで雲井先生、古庄先生によるラージのリハーサルがあり、最終チェック。お二人とも楽しい合奏で、充実してリハーサルを終えることができた。昼からTsukubaSQのメンバーと合流して大阪の王将で昼食をとり、楽器ブースで試奏して遊んでいるうちに、開演。

まずは香川県ゆかりのサクソフォン奏者によるアンサンブル。音楽監督の雲井先生、曽根先生を始めとする15人ほどのアンサンブルで「フラッシング・ウィンズ」と、そのお二人をソロに立てての「ガブリエルズ・オーボエ」。素晴らしい演奏であることに間違いはなく、会場(なんと来場者数350人!客席のほとんどが埋まってる感じ)からも大きな拍手が送られた。これまでに雲井さんの音を聴いたことがある人はどのくらいいたのだろう。あの美しい音や音楽性がどのように受け止められたのかは、興味あるところだ。

続いて四国の団体によるアンサンブル。ダッパーサクセーバーズ、ウィーズSQ、やいろ吹奏楽団。(ダッパーさんの演奏は、聴いたことがあるので当然として)得意とするレパートリーや演奏スタイルはそれぞれ異なるけれど、どの団体も非常にレベルが高く驚かされる。四国って、なにかそういった地力を上げるような土壌があるのかなあ。再び雲井先生と曽根先生を加えての、実行委員会によるアンサンブルを一曲だけ聴いて、(ニーノ・ロータの「道」。ニーノ・ロータは大好きなのだ嬉しかった)TsukubaSQのリハーサルに向かった。

リハーサル時間を使って2曲の最終チェック。少し進行がおしていたので軽く休憩してからホールに向かった。演奏は、吹いているとあっという間ではあったが、楽しんでいただけたようで何よりだった。演奏した曲目は、下記の2曲。
吉松隆 - Atom Hearts Club Quartet Mov.1,4
Richard Ingham - Mrs Malcolm, Her Reel(日本初演)
演奏後、ホールの外で香川県のプリズムカルテットの方々と一緒に写真を撮ってもらった。昨年の協会のコンクール以来で、嬉しかったなあ。

楽器を置いて雲井先生の演奏を聴きに伺う。四国という地で、あのエドゥアルド・サックスの音色が響くとは、なんだか言葉に言い表せないような感動だ。ホール自体は、それほど響かないのだが、サックスの響かせ方は音圧じゃなくて美しい音色でしょと言わんばかりのサウンドで、ホールを隅から隅まで震わせていた。もちろん最後の「マールボロの主題による変奏曲」は大盛り上がりだ。

最後はサックスオーケストラのステージ。85人の奏者が一堂に会し、雲井先生、古庄先生指揮のもとアンコール含めて5曲を演奏した。本番は、またリハーサルにはなかったテンションでの演奏となって、とても楽しかった。
スカイブルー・ファンファーレ
カンタベリー・コラール
シング・シング・シング
威風堂々第一番
ふるさと(アンコール)

終演後、なんと柳澤管楽器の社長である柳澤信成さんに話しかけていただいた。実は昨年セント・アンドルーズで開かれたWSCにも来ていたとのことで(ニアミスしていたはずだ)驚き。いろいろと温かい言葉をかけていただき、感激した。

全員集合して閉めの会を行い、三々五々に解散。打ち上げには30名弱が参加し、こちらも長時間盛り上がった。これまでじっくりお話したことのない方とたくさん話せて、大満足だ(それでもちょっと時間が足りないくらい)。二次会の〆は、やっぱりうどん(鶴丸2号店、内装にびっくりした)。

Tsukuba Saxophone Quartetとしては初の四国でどうなることかと思ったが、柏原さんやダッパーきんじさんを始めとする実行委員会の方々の見事な采配と運営のおかげで、とても楽しく過ごすことができた。香川は食べ物も美味しいし飲み物も美味しいし、なにより人が暖かい。暖かく迎え入れてくださり、嬉しかった。この場を借りて改めて感謝申し上げたい。

打ち上げの集合写真を、小さく載せておく。

2013/04/21

今日はサクソフォニーフェスティバル四国!

昨日は、9:00から羽田文化センターで練習して、10:30に羽田空港へ移動。11:55羽田発の便で高松入り(空の上で飲むプレミアムモルツは最高だ)。Fさんと同じ便だった。高松空港でダッパーじろーさん、ダッパー関東支部のゆっこねーさんに再会!空港から会場までは、ゆっこねーさんのご家族の方に送っていただいた。

高松国分寺ホールでは、久々となる方、初めましての方、いろんな方にお会いできた。プリズムQ(昨年協会コンクールでご一緒した )のめぐさんには、いろいろと交通のアドバイスなど頂いて、ありがたかった。14:00からラージリハ。柏原さん、続いて雲井先生の合奏。雲井先生の合奏で吹くのは初めてだったが、音楽のこう在るべきという言葉がどんどん飛び出し、大変に楽しく、刺激的だ(ふと伊藤康英先生の合奏を思い出した)。

リハ終了後、端岡駅へ徒歩移動、続いて高松駅へと移動し、TSQのメンバーと一鶴高松店で合流。名物骨付鶏を食す(美味!そして、おにぎりをタレにつけるのが美味しくて…)。しめのうどんはごえもん。これもまた美味しかった。

いったんホテルにチェックインし、きんじさんにわざわざ迎えに来て頂いて、前夜決起会ということで高松店ではない一鶴へ。まさかの一鶴はしご!こちらでもたのしい時間を過ごした。帰りはイエロさんの車で送っていただいた(交通手段はこちらのみなさまにお世話になりっぱなしだ。感謝!)。

ということで、なんとか起きることができた。

『サクソフォニーフェスティバル四国 in 香 川』

日時:4月21日(日) 13:00開場、 14:00開演 場所:高松国分寺ホール(高松市国分寺町新名430番地)

出演:
雲井雅人(音楽監督)
曽根美紀(客演奏者)
柏原卓之(主宰)
ダッパーサクセーバーズ(香川・実行委員)
ウィーズ・サキソフォン・クァルテット(徳島・実行委員)
やいろ吹奏楽団(高知・実行委員)
愛媛リエート吹奏楽団(愛媛・実行 委員) 他
曲目:
グレンミラー・メドレー
情熱大陸
踊り明かそう
カンタベリーコラール
シング・シング・シング
威風堂々 他

入場:無料

お近くの方はぜひお越しください!!TSQは「Atom Hearts Club Quartet」からの抜粋と「Mrs Malcolm, Her Reel(日本初演となる)」を演奏予定。

2013/04/20

香川へ

この週末は、Tsukuba Saxophone Quartetとして香川へ。下記催しに参加するためTSQ四国初上陸!(個人的にも2009年以来2回目、あの時は広島から電車で香川まで行った)

http://kurisaxo.blogspot.jp/2013/04/saxophony-festival-shikoku-in-kagawa.html

9:00から羽田文化センターで練習し、それから飛行機移動。今週末は関東圏でも色々とイベントが重なっており、それらに伺えないのは残念なのだが、我々も楽しんでこようと思う。

2013/04/19

Saxophone Recital in Zushi vol.1(田口雄太&山下友教&大嶋千暁)

終業後、京浜急行に乗って逗子まで。田口さんと山下さんのリサイタルを聴きに伺った。田口さんと山下さん、お二人とも三浦市の出身で、昭和音楽大学では先輩後輩にあたるとのこと。

【Saxophone Recital in Zushi vol.1~若手演奏家による共演~】
出演:田口雄太、山下友教(以上sax)、大嶋千暁(pf)
日時:2013年4月19日 19:00開演
会場:逗子文化プラザ・なぎさホール
プログラム:
J.B.サンジュレ「デュオ・コンチェルタンテ」より第1楽章
E.デニゾフ「ソナタ」
豊住竜志「A Flash of Light」
J.フェルド「ソプラノサクソフォン・ソナタ」
F.マルタン「バラード」
カリヴォダ「サロンのための小品」
J.ノレ「フリッソン」
藤代敏裕「2人のサクソフォーン奏者のための2つの小品」
F.プーランク「トリオ」

配布されたプログラム冊子が面白かった。フォーマルな曲解説に加えて、曲ごとに3人の対談が載っている、というもの。興味を持って読んでもらえるだろうし、面白い試みだ。いつか試してみよう。

サンジュレの「デュオ・コンチェルタンテ」を挨拶代わりに吹いたあとは(このサンジュレの冒頭が不思議と印象に残っている)、お二人それぞれのソロステージ。これがまたフルリサイタルほどのボリューム感たっぷりなプログラムで、とても聴き応えがあった。

山下さんはまずデニゾフを演奏。昨月の修了試験の際にも吹いたということだが、基本的な高い技術がベースにありつつも、その上に展開されてゆく"個性"ともいうべき部分を興味深く聴いた。第二楽章のモノローグでの、各重音を見事に決めて高い集中力を保つ部分など、さすがである。千暁さんのピアノとのアンサンブルも見事だ。「A Flash of Light」は、アルティシモ音域もふんだんに交えつたヒロイックな立ち振る舞いだった。山下さんの演奏でラーションなんか聴いてみたいなー。

田口さんは、まずフェルド。有名な「アルトサクソフォンとピアノのためのソナタ」ではなく、オーボエソナタからの改作となるソプラノサクソフォンのためのソナタだ。フェルドの一連のサクソフォン作品については、あまり冷静なコメントが書けない(「四重奏曲」をやったことがあるのだが、似た主題が出現しまくるのだ)が、こちらも集中力の高い演奏。マルタンは、とにかく最終部での何もかもかなぐり捨てて走り抜けていくような煽りが最高だった。

第一部、ここまで終わってなんと20:20(笑)。このボリューム感は個人的には嬉しいが、一般の方向けにはもうちょっとコンパクトにまとめて欲しかった気もするなあ、などとも思った。

後半は山下さんのカリヴォダから。先日オーボエの演奏を聴いたのだが、こういったロマン派のヴィルトゥオーゾ的な作品に、サクソフォン側からもっと着目していかなければならないと思う。演奏は拍手喝采モノで、オーボエとは違うフレーズ内での息遣いによるうねりが感じられ、サクソフォンならではの演奏を聴く楽しみだろう。最終部の音のばら撒きの部分では、オーボエが高い音圧を保ったまま吹き切るのに対して、ソプラノサクソフォンでは逆に音圧が低下する、という楽器の発音体か構造か、特性による違い?も面白い。それにしても、山下さんはこの曲が大好きなんだろうなあ(笑)「フリッソン」は、田口さん。そういえば、この曲も意外と聴く機会がないかも。クラシックでもあり、ポピュラーでもあり、ジャズでもあり、というちょっと不思議な温度感をもつ作品だが、ノレ節とでも表現できるようなスタイルを面白く聴かせてくれた。

藤代氏の新作は、素敵な作品だった。2本のサクソフォンがハモる部分がとても面白く聴けて、特に第二楽章「カプリツィオ」では時折にビバップ風だったり、常動曲風だったりと、聴きながら興奮してしまったのだった。最後はプーランク。これも最近よく聴く機会があるなあ。まるで即興的に音楽を紡ぎ出す山下さんのソプラノと、悠々自適にどっしり構えている田口さんのテナー、そしてその二人を絶妙に支える千暁さん、といった構図が面白かった。それにしても、この曲での聴き手側の幸福感といったら半端ない(もちろん演奏が素晴らしいからなのだろうが…。)。演奏者はもっと楽しいんだろうなあ。

アンコールは「ダンシング・フェアリー」という美しい小品。

素晴らしいデュオリサイタルだった。サクソフォンも喝采モノだし、もちろんピアノもすばらしい(アンコールを含めて9曲出ずっぱりだった大嶋千暁さん…さすがだ)。

打上げも伺いたかったのだが、明日の準備がまったくできていないのでお先に失礼することとなった。乗り継ぎが上手くいって、一時間かからずに自宅に戻ることができた。

Samuel Barber/Hirohisa Shono "Souvenirs" on YouTube

YouTubeを漁っていたら、サミュエル・バーバー/生野裕久「思い出」のサクソフォン3本+ピアノのためのアレンジの動画を見つけた。



以前2回ほど楽章を抜粋して演奏したことがある。この楽曲・アレンジの素晴らしさについては以前ブログにも書いたので、そちらの記事もご覧頂きたい。たくさんの方に演奏されてほしいなあ。あまり知られていないこのアレンジをよく見つけてきたなあと感心したが、このTrio Unidoはケネス・チェ氏が教授を務めるアイオワ大学の室内楽団だそうで、なるほど納得。

http://kurisaxo.blogspot.jp/2007/02/blog-post_26.html

2013/04/17

ご案内:That's Saxophone Philharmonyさんの演奏会2013

That's Saxophone Philharmonyさんの演奏会が週末に迫っている。時々、TsukubaSQも秋のアンサンブルコンサートに呼んでいただくなど、いつもメンバーの方にはお世話になっている。

記念すべき第10回目のコンサートは、フランス作品をテーマにした内容。ちょっと気になるのは「マ・メール・ロワ」の編曲だが、協会の貸し譜にもリストされていないはずで、いったい誰の手によるものなのだろうか。そして、いつも素晴らしい内容のスペシャルミュージックストーリーは、「魔法使いの弟子」とのこと。これが面白いんですよ。コトバにしてしまえば「ナレーション付きのサックスオケ演奏」と表現できてしまうが、ちょっとそれだけではない、なんとも表現しがたい面白さ・感動がある。演奏・脚本・朗読など、様々な要素が高いクオリティで結実しているためだと思う。

…私はこの日香川県に行くため、残念ながら伺うことができない。昨年の演奏会がとても楽しかったので、お時間ある方にはぜひオススメする。感想がブログに残っていた。
http://kurisaxo.blogspot.jp/2012/04/9.html

【ザッツ・サクソフォン・フィルハーモニー第10回定期演奏会】
指揮:近藤久敦
日時:2013年4月20日(土)開演 18:00
会場:国立オリンピック記念青少年総合センターカルチャー棟・大ホールhttp://nyc.niye.go.jp/facilities/d7.html
料金:全席自由1000円(小学生以下無料)
プログラム:
C.ドビュッシー「夜想曲より 祭」
M.ラヴェル「マ・メール・ロワ」
G.ガーシュウィン「パリのアメリカ人」
P.デュカス「魔法使いの弟子」(That'sスペシャルミュージックストーリー)
後援:日本サクソフォーン協会
問い合わせ:
[E-mail]thats@freeml.com

2013/04/16

Richard Ingham "Mrs Malcolm, Her Reel (Funky Freuchie)"

今週末の香川県での演奏機会のためにTsukuba Saxophone Quartetとして練習している曲:リチャード・インガム Richard Ingham氏が作曲した「Mrs Malcolm, Her Reel (Funky Freuchie)」である。今週末の演奏が日本初演となる。

この曲を初めて知ったのは、このWSCまとめ動画を観た時のことである。動画中、最初にBGMとして使われているSSTBのカルテット曲が、この「Mrs Malcolm, Her Reel」である。スコットランドの民謡と、ジャズやロックを掛け合わせた曲のカッコ良さや、アドリブのクールさに惚れ込んで、すぐに演奏したい!と思ったのだ。


実はこの演奏はWSC会期中最終日の会議での一幕で、会議の開始前にこの第16回WSC実行委員会のメンバーが登壇して演奏したとのことなのだが、私自身は飛行機の都合でこの場にはいられなかったのだった。演奏はScottish Sax Ensemble。1stソプラノがRichard Ingham、2ndソプラノがSue Mckenzie、テナーがTim Watson、バリトンがMike Brogan。この曲の作曲者でもあるRichard Ingham氏は第16回WSCの実行委員長だった。

この不思議なタイトルについてIngham氏に伺ってみたところ、次のような回答を得ることができた。

"マルコム夫人"とはセント・アンドルーズ大学で長きにわたって一緒に働いている私の友人の名前です。"リール"は、スコットランドもしくはアイルランドのダンス音楽のことで、バロック時代のジークとかガヴォットといった舞曲の分類のことを想像していただければ良いと思います。リールは4分の4拍子で、通常、とても高速に演奏されます。フレウチーとはセント・アンドルーズから程近い村の名前です。この村について、私はマルコム夫人から教えてもらいました。私がこの村を訪れた時、とても静かで平和な印象を受けました…つまり"ファンキー"とは正反対の印象だ、ということです!

楽譜は、Largo Musicから入手可能。PAYPALを使って支払いすることができる。この曲が収録されたScottish Sax EnsembleのCD「Mrs Malcolm(Largo Music LARGO007)」も購入可能だ。気になる方は取り組まれてみてはいかがだろうか。

2013/04/15

London Saxophonic "an eye for a difference"

10年にわたって探していたCDを中古で入手。

London Saxophonicをご存知だろうか。イギリスのサクソフォン奏者が集結した、サクソフォン10重奏+エレクトリック・ベース+ピアノという編成のラージアンサンブル。初期のサクソフォンの布陣は、Tim Redpath、Simon Haram、Rob Buckland、Christian Forshaw、Andy Findon、Chris Caldwell、Will Gregory、Gareth Brady、Andy Scott、David Roachという、呆れ返るほどの豪華メンバーだ。

ファースト・アルバム「an eye for a difference(Tring 007)」はマイケル・ナイマンの作品集なのだが、大変な名盤にも関わらず廃盤となって久しい。2007年に演奏者の一人であるChris Caldwellにコンタクトを取ったところ、廃盤ということで音だけ送っていただいた。そこで初めて聴くことになったのだが、想像以上にクール、そして充実した響きに感銘を受けたものだ。それからも原盤探索を続けていたのだが、まさか今になってAmazon.co.ukで手に入るとは夢にも思わなかった→こちらからどうぞ。まだそこそこ数があるようだ。

それにしてもよりによってAmazon.co.ukか…懐かしいな。2006年か2007年のことだったと思うが、25ポンドでこの盤の中古が1枚だけ出ていたのを発見したことがある。当時クレジットカードを所持しておらず、このためだけに慌ててクレジットカードを作り(申し込みから審査、発行まで一週間ほどかかった)、再度Amazon.co.ukの売り場に行ってみたら売り切れていた、というのも今では笑い話だ。

というわけで、音だけはすでに持っていたためCDの内容のレビューは以前書いたとおりだが、改めて聴きなおすと本当に素晴らしい盤であることを再認識する。トラックリストは下記の通り。

【The Draughtman's Contract】
1 An Eye For Optical Theory
2 Queen Of The Night
【La Traversée De Paris】
3 Le Palais Royal
4 De L'Hôtel De La Ville À La Concorde
【And Do They Do】
5 Song 1
6 Song 2
7 Song 4
【The Piano】
8 Here To There
【Plotting For The Shopkeeper】
9 Plotting For The Shopkeeper
【Carrington】
10 The Infinite Complexities Of Christmas
11 Outside Looking In

ナイマン作品の中でもとりわけ好きな「光学理論の眼識 An Eye for a Optical Theory」と「夜の女王 Queen of the Night」(いずれも「英国式庭園殺人事件」より)がサクソフォンのアンサンブルとして見事に再構築されている。「パリ縦断」の「Le Palais Royal」「De l'Hotel de la Ville a la Concorde」は、ナイマンの複合リズムが面白いほどに聴こえてくる。グルーヴ感を保ったままと思ったらなんと最終トラックの「Outside Looking In」(「キャリントン」より)は、11分以上にわたるゆったりとした感動大作。意外ではあったが、各ソロも泣かせるほどの美しさで、聴き応えがある。

個人的に、歴代のサクソフォンアンサンブルのCDの中でトップ10に入るほどの盤だと思っている。とくにラージアンサンブルに普段から取り組まれている向きには、この強烈なサウンドをぜひ体感していただきたい。

ご案内:Saxophony Festival SHIKOKU in KAGAWA vol.1

今週末は、Tsukuba Saxophone Quartetのメンバーとして香川へと遠征。四国で行われるフェスティバルに参加する。高松国分寺ホールという、今週4/18にオープンする予定のホールを使うとのこと。四国内外から多くの団体・奏者・多数のゲストが参加して小編成から全員合奏までを繰り広げる。

それにしても四国かあ。ダッパーさんは個人的におなじみなのだが(実は2009年には遊びに伺ったこともある)ほかの団体や奏者はほとんど知らない方々ばかり。白井奈緒美さんは東京に来た時になんどかお話したことがあるのだが…。こういった遠隔地のイベントに乗り込んでいくのってなかなか機会がないので、どんな演奏をなさるのか・どんな人たちなのか、お会いして演奏を聴いて打ち上げでお話して…と、大変楽しみだ。

【Saxophony Festival SHIKOKU in KAGAWA vol.1】
日時:2013年4月21日(日曜)14:00開演
会場:高松国分寺ホール
料金:入場無料

詳細を記したウェブページは見つからず…?

2013/04/14

ご案内:山下友教&田口雄太"Saxophone Recital in Zushi"

しばらく演奏会の案内記事が連続する。

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昭和音楽大学大学院卒業の山下友教氏より、演奏会のご案内をいただいた。今週金曜日、逗子にて田口雄太氏とともに演奏会を開くそうだ。お2人とも出身が神奈川県の逗子近郊のご出身なのだそうだ。プログラムが、なんだかフルリサイタル2つ分、という感じ(笑)これは聴き応えのある演奏会となるだろう。

個人的な聴きドコロをいくつか:最近オーボエで聴いたばかりのカリヴォダ「サロンのための小品」の演奏が楽しみだ。サクソフォンにはロマン派の技巧派作品がほぼ存在しないが、他楽器のレパートリーに着目するとサクソフォンにマッチしそうな作品がたくさん存在している。今後、けっこう流行るんじゃないかなと期待。委嘱作品の藤代敏裕氏は吹奏楽コンクールの課題曲も作曲したあの藤代氏のことだろうか?委嘱作品がトリオなのかソロなのかは判らないが、こういった委嘱作品は思い込みをゼロクリアした上で(できれば解説もあまり読まずに)聴き始めてしまうのが面白い…ということで、そんな楽しみも。フェルドの「ソナタ」は、日本人できちんとレパートリーにしている人は服部先生以外に知らない。この名曲をライヴで聴ける機会もめったに巡ってこないので、もしフェルドを知らない方がいればぜひ。

…って、1つずつ書いていたらきりがないな(^-^;

【Saxophone Recital in Zushi Vol.1 ~若手演奏会による共演~】
出演:山下友教、田口雄太(以上sax)、大嶋千暁(pf)
日時:2013年4月19日(金曜)19:00開演
会場:逗子文化プラザ・なぎさホール
料金:一般2000円、学生1500円、高校生以下1000円(当日券各500円増)
プログラム:
J.B.サンジュレ - デュオ・コンチェルタンテ
E.デニゾフ - ソナタ
豊住竜志 - A Flash of Light
J.W.カリヴォダ - サロンのための小品
J.フェルド - ソナタ
F.マルタン - バラード
J.ノレ - フリッソン
藤代敏裕 - 委嘱作品
F.プーランク - トリオ

私は、仕事が終わるかどうか若干怪しいが、時間さえ何とかなればなんとか駆けつけるつもり。取り置きチケットもお願いしてある。

山下氏の演奏はYouTubeの氏の動画チャンネルから観ることができる。「Worksong」の演奏については以前記事にした。最近追加されたデニゾフの、特に第3楽章がキレキレで、非常に面白い。そういえば修了時に書いた論文(デニゾフ「ソナタ」に関する)を送っていただいて、読んだのだがまだブログでご紹介していないなあ。

2013/04/13

フランス海軍ツーロン軍楽隊の復刻盤(木下直人氏による)

木下直人さんからだいぶ前にご案内いただいていたのだが、購入が遅くなってしまった。木曜日にふと思い出して注文し、本日到着。じっくりと集中して2時間聴いてみた。

現在、フランス海軍は、パリに総司令部を置き、ブレストに大西洋艦隊司令部、ツーロン(トゥーロン)に地中海艦隊司令部、シェルブールに英仏海峡小艦隊司令部を持つ。1827年、ブレストとツーロンに軍楽隊を設置したのが海軍軍楽隊の始まりと言われているそうだ。ツーロン軍楽隊はそれ以降今日に至るまで各種活動を展開している。

公式ページはこちら。楽隊長の歴代リストをご覧になっていただくと(CDの解説でも木下直人さんが触れているが)面白いことがわかる。なんと、1893年から1910年までギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団の楽長を務めた名指揮者ガブリエル・パレス Gabriel Parèsが、1883年から1895年までツーロン軍楽隊の楽隊長を務めていたことがわかる。ちょっと驚いたが、それだけ由緒ある軍楽隊だとも言えるだろう。

本復刻盤は、そんなツーロン軍楽隊の、ジャン・マイヨ Jean Maillot楽隊長の時代のレコーディングを復刻したものである。復刻技術・監修は木下直人氏。ピエール・クレマン Pierre Clementのカートリッジを使用し、ノイズは未除去。当時の音楽を余すところ無く現代に伝える名復刻である。

充実の2枚組。収録されたプログラムも、行進曲のみならず「交響吹奏楽的な」オリジナル作品が多く含まれており注目に値する。このプログラムならば、純粋な吹奏楽ファンにもオススメすることができる。

ディスク1
R.ド=リール「ラ・マルセイエーズ」
M.ムソルグスキー「トルコ行進曲(カルスの奪還)」
J.マイヨ「祭典のためのファンファーレ」
A.グレトリ「オペラ"ルシール"より」
C.サン=サーンス「英雄行進曲」
D.ミヨー「フランス組曲」
D.ミヨー「勝利の栄光」
D.ミヨー「追悼」
D.ミヨー「ウエスト・ポイント組曲」
G.フォーレ「葬送の歌」
F.メンデルスゾーン「付随音楽「夏の夜の夢」より結婚行進曲」
F.メンデルスゾーン「付随音楽「アタリー」より行進曲」
A.スレニック「インド行進曲」
Unknown「ライプチヒの戦いでの老親衛隊員行進曲」

ディスク2
H.ヒンデミット「吹奏楽のための交響曲 変ロ調」
F.シュミット「ディオニソスの祭」
F.シュミット「ポンペイの宿営」
F.ショパン「葬送行進曲」
G.マイアベーア「歌劇"予言者"より "たいまつの行進曲第3番"」
J.イベール「ポワティエのディアーヌ組曲」
林廣守「君が代」

管楽合奏はソロ楽器の集合体であり、そういった各楽器が織りなす色彩感にこそ吹奏楽の魅力が溢れているのだ、と思い知らされる。「音色を揃えて!」という安易な指導が、個々の楽器や奏者の個性を奪い、平坦でつまらない演奏ばかりの現代の吹奏楽とは一線を画する時代の演奏。ところどころ音程(というかピッチ?)が不思議に聴こえる部分もあるのだが、なんだかそれすらも時折魅力的なのはなぜだろう。

サクソフォンは誰が吹いているのだろう。1955年といえばマルセル・ミュール氏と若き日のダニエル・デファイエ氏がパリ周辺では名声を獲得したいた時代だろうが、このサクソフォンセクションの働きも不思議な魅力を醸し出す。この時代のフランスの管楽器が好きな方にはぜひ聴いてほしい(とは木下直人氏のコトバの受け売りだが)。木下直人氏による見開き2ページの渾身のライナーノートも、一読の価値有りである。ピエール・デュポン指揮のギャルド復刻盤とともに、手元においておきたい一枚。

購入はAmazon.co.jpのこちらのページからどうぞ。

関東サクソフォン連合ミーティングとTsukubaSQ練習

朝から自宅にて関東サクソフォン連合キックオフのミーティング。この団体は「第4回サクソフォン交流会 in 名古屋」限定のアンサンブル団体で、メンバーはまだ未定だがおよそ8重奏程度となる見込み。活動内容・期間にしては名前がずいぶんと大げさだな(笑)。横井氏、tfm氏にウチのアパートまでご足労いただいて、およその方向性と曲決めを実施した。普段4重奏をやっているとなかなか気付かないが、8重奏orそれに準じる大編成のアンサンブルにもいろいろと魅力的な作品が溢れているのだな、と思った。

1時間半弱でサクッとミーティングを終え、その3人で浦和へ移動して「鶏そば 一瑳」にて濃厚鶏そばを食す。2回目だったが、やはり美味しい!常に行列状態ではあるが、回転が早いのもありがたいところだ。

そのままバスに乗ってプラザウエストへと移動し、Tsukuba Saxophone Quartetの練習。来週の「サクソフォニーフェスティバル四国」小編成ステージへのエントリに向けてのほぼ最終の合わせ。Richard Ingham「Mrs Malcolm, Her Reel (Funky Freuchie)」と吉松隆「Atom Hearts Club Quartet」からの第1,4楽章抜粋。特に「Mrs Malcolm, Her Reel」は日本初演となるため、細かく縦の合わせやアーティキュレーションの合わせなどを行った。

夕方も、成り行きで再び「鶏そば 一瑳」(笑)。こんどはまぜそば。こちらは初めてだったがボリュームがあってなかなか美味しい。あとはつけ麺を食べればほぼ全メニューカバーとなるか。一日のうち、昼食と夕食がラーメンとは不摂生極まりないので、明日はできるだけ控えるつもり。

2013/04/12

ご案内:TsukubaSQの自主演奏会(5/18)

来る5月18日に、Tsukuba Saxophone Quartetとして5回目となる自主演奏会を開催いたします。今回は「DANCE!」をテーマとし、古今東西の舞曲と呼ばれるものを集めてプログラミングしてみました(もちろんアンコール曲も笑)。

モーリス・ラヴェル「クープランの墓」は言わずと知れた名曲ですし、ベンジャミン・ブーン「アレイ・ダンス」は先日の協会コンクールでTsukubaSQとして演奏したばかりの作品で、とても面白い作品だと思います。ラビ・アブ=カリルの「アラビアン・ワルツ」は弦楽四重奏曲として有名ですが、サクソフォンで演奏されることはあまりないと思います。啼鵬氏の編曲したアストル・ピアソラ「ブエノスアイレスの春・夏・秋・冬」では、ピアニストとして大嶋千暁さんを迎えます。

宣伝が後手に回っておりなかなかチラシも撒けていないのですがぜひお越しいただければ。(へー、こんな曲あるんだー、的な感じで、レパートリー探しに来てもらうのも嬉しいです)。なにとぞ、よろしくお願いします。

実は6/16には長野県下諏訪町にてほぼ同一プログラムにて長野公演を開催するのですが、そちらは別途ご紹介します!

【Tsukuba Saxophone Quartet - Saxophone Concert Vol.5 ~DANCE!~(東京公演)】
客演:大嶋千暁(ピアノ、東京公演)*
日時:2013年5月18日(土) 13:30開場 14:00開演
会場:東京都大田区民プラザ・小ホール(東急多摩川線下丸子駅徒歩1分)
http://www.ota-bunka.or.jp/facilities/plaza/
料金:1,000円(全席自由)
プログラム:
M.ラヴェル - クープランの墓
B.ブーン - アレイ・ダンス
R.アブ=カリル - アラビアン・ワルツ(サクソフォン版日本初演)
A.ピアソラ/啼鵬 - ブエノスアイレスの春・夏・秋・冬(東京公演のみ)*
チケットお問い合わせはinfo@tsukubasq.comまで。

チラシ表・裏(それぞれクリックで拡大)

2013/04/11

Buffet Crampon "Senzo"

ビュッフェ・クランポンの新作楽器となる"Senzo"が昨日発売したとのこと。以下は、FacebookのSenzo Saxophoneのページのリリース文である。

"On April 10th, for Frankfurt's musikmesse, Buffet Group (Stand E.02 4,1) is launching several new instruments including thr Buffet Crampon Senzo saxophone"

併せてカタログも公開されている。下記リンクより参照いただきたい。"Senzo"って日本語ぽいなあと思ったら、本当に「先祖」をもじっているのだとのこと。「ビュッフェ・クランポンの持つ伝統的な音楽に対する美意識と、官能的かつモダンなアプローチを組み合わせた」といったコンセプトからこの命名となったそうだ。

http://www.flipbooks.buffet-group.com/BuffetCrampon/Senzo/ENG/

Super DynactionとS1のポリシーをかなり取り入れているようで、いったいどのような音がするのかとワクワクする。とりあえずどこかで試奏する機会を樂しみにしていよう!

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ミュージック・メッセでのローンチとのことなので、まだ発売ではないかも(^^;

2013/04/09

JYFインタビュー(ヤマハ提供)

ヤマハ提供のジャン=イヴ・フルモー Jean Yves Fourmeau氏のインタビュー動画。だいぶ前にアップロードされていたようだが、存在を知らなかった。インタビュー項目は下記のとおり。なんとなくルソー氏が来日したときのインタビュー項目と似ているなあ。

音楽との、サクソフォンとの出会い
ヤマハサクソフォンとの出会い
ヤマハサクソフォンの進化について
若い音楽家へのメッセージ



冒頭・最後に演奏されるバッハが強烈である。

2013/04/08

第4回サクソフォン交流会・個人参加申込開始

第4回サクソフォン交流会、個人参加者の申し込みを開始した。昨日の名古屋サックスフェスタでチラシを撒いたところ、早速個人参加についても問い合わせが来ており、嬉しい限り。

http://enjoysax.michikusa.jp/

2013/04/07

ボーンカンプ氏の公式無料CD録音追加

アルノ・ボーンカンプ氏が公式サイトで自身のCD録音を無料配布しているということで、以前この記事この記事を書いた。

これまで「Hot Sonate!」「Sonata for the Stringed Instrument: Brahms, Franck, Schumann」「Saxophone Sonatas」「Reed My Mind」「Adolphe Sax Revisited」の5枚が無料で全曲ダウンロード可能な状態で公開されていたのだが、このたび「Scaramouche」と「Metropolis Berlin 1925-1933」の2枚が追加された。また、無伴奏現代作品アルバム「Reed My Mind」の公開が終了…この超名盤の公開終了は残念だが、とりあえず新たな新規追加を喜びたい(私自身は2枚とも持っているのだが)。

下記公式サイトから、「Download」をクリック
http://www.arnobornkamp.nl/

「Scaramouche」
P.モーリス - プロヴァンスの風景
F.シュミット - コペリウスの歌
C.ドビュッシー - ラプソディ
C.ケクラン - 練習曲第2番
J.イベール - 「物語」より
R.ガロワ=モンブラン - 6つの音楽的な練習曲
D.ミヨー - スカラムーシュ

イヴォ・ヤンセン氏とのサクソフォン+ピアノのアルバム。改めて高い技術力と豊かな音楽性に感銘を受ける。過去のアルバムと比べると、音色がずいぶんと落ち着いているように聴こえた。最新のサクソフォンに比較すると若干個性が強く聴こえるかもしれないが、だからこそ飽きずに聴き通してしまう。アルバムタイトルにもなっている「スカラムーシュ」は、須川展也氏の超名録音と真っ向からタメをはっているような…絶対意識しているだろうな、これは(笑)

「Metropolis Berlin 1925-1933」
E.シュルホフ - ホット・ソナタ
P.ヒンデミット - トリオ
P.ヒンデミット - コンチェルト・シュトゥック
A.ブッシュ - 5重奏曲
K.ヴァイル - 組曲「マホガニー市の興隆と没落」

ドイツ産の珍しい作品を集めたアルバム。「コンチェルト・シュトゥック」では弟子のティエス・メレマと共演。ブッシュやヴァイルは、弦楽四重奏との共演となる。フランスの書作品に比べれば作品としての魅力は薄いが、それらの作品を丁寧に現代に伝えようとするボーンカンプ氏の姿勢に感銘を受けた。聴き物は、やはり最後に置かれたヴァイルだろうか。

楽譜書き…

5月18日のTsukuba Saxophone Quartet演奏会に向けて、1日部屋に引き篭って楽譜書き。良い天気で、窓を開けてジャージ姿でPCに向かっていた。

コレがなければ名古屋サックスフェスタに顔を出したかったところなのだが…(苦笑)。途中まで書きかけとなっていたラビ・アブ=カリル「アラビアン・ワルツ」のアレンジだが、なんとか先ほど終わった…が、疲れた。10:00くらいから始め、お昼休憩も挟んで18:00までかかってしまった。おそらく総計20時間くらいかけているわけで、外部委託と内製のどちらが良いのかは分からず、何も考えずに書き始めてしまうのだが、きちんと調べるべきなのだろうか。正直、楽譜を書き終わって達成感を得たことがないのだ…。

今回は、原譜のアーティキュレーションの不正確さと、混合拍子機能の利用に振り回された感がある。

2013/04/06

Claude Delangle - La creation du monde

パリ国立高等音楽院サクソフォン科教授、クロード・ドゥラングル教授の、吹奏楽との共演となる新譜。録音は2007年だが、リリースまでだいぶ間が開いてしまった。とにかく驚いたのはダリウス・ミヨー「世界の創造」の演奏だ…!

トロンボーン奏者としても有名な、クリスチャン・リンドベルイ指揮の、Swedish Wind Ensembleとの共演。サクソフォンと吹奏楽のための作品といえばダール、クレストン、ビンジ、そしてボルコム、オルブライトもぶっ飛んだ作品を書いている。ハイデンやエリクソンも…って、キリがないな。邦人作品だと、古くは伊藤康英「幻想的協奏曲」、最近では石毛里佳「Muta in Concerto」や長生淳「He Calls」などが思い浮かぶ。この編成で何を入れてくるかと興味津々だったのだが、なるほどというか、そう来ますかというか。ミヨーはオリジナル編成で弦楽も交えており、エミルソンの委嘱作品は協奏曲ではなく吹奏楽のための作品。できればダールを聴いてみたかったなー…というのは贅沢な悩みか。

「La creation du monde(BIS CD-1640)」
Claude Delangle, alto saxophone
Swedish Wind Ensemble, ensemble
Christian Lindberg, conductor

John Williams - Catch Me If You Can
Darius Milhaud - La creation du monde
Roger Boutry - Divertimento
Paul Creston - Concerto
Anders Emilsson - Salute the Band
Astor Piazzolla/Tejo - Escualo

「BISのCDは、収録音圧レベルが低いのがちょっとなー…」とブツブツ言いながら聴き始める。案の定、ボリュームを上げないと「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」の冒頭は聴こえづらい(苦笑)。リンドベルイ指揮の吹奏楽は非常に高い技術力で、ともすれば発散しがちなこの作品を良くまとめている。そして当たり前だが、ソロのクオリティは世界最高クラスだ。オリジナルのサウンドトラックに比べてややノリが抑制されているあたりは、いかにもドゥラングル教授らしいというか。

そして飛び上がるほど驚いたのはアルバムタイトルにもなっているミヨー。大前提として、この作品のベスト録音は、今も昔も変わらずレナード・バーンスタイン&フランス国立管弦楽団&ダニエル・デファイエのコンビの演奏(EMI)だと断言できる。妙に暑苦しくも統率の取れたオケ、自由自在な管楽器、デファイエ氏の神々しい音色・音楽性、録音状態も良い…等、ほかのいくつもの演奏が束になってかかっても敵わないものだと思っていた。今回のドゥラングル教授の録音は、誤解を恐れず言えば、この史上最強コンビの演奏を最良の形で現代に蘇らせようとしたものだ(と、少なくとも私自身は感じた)。

冒頭の数音を聴いた瞬間に、誰のサクソフォンの演奏なのか判らなくなってしまった。音色とフレージングによる抜群の存在感を保ちながら、オーケストラとのこの理想的なバランスをとる様は、バーンスタイン盤でしか聴いたことがない。弦楽器陣、管楽器陣も相当健闘しており、サクソフォンとともにユニゾンで動く場所など、艶っぽくて蠱惑的ですらある。全曲にわたって相当に良くまとめられており、入念なリハーサルを重ねたであろうことが推測できる。この演奏は、「世界の創造」の録音についてはバーンスタイン盤に次ぐ名録音として認識されるべきである。

ブートリー、クレストンの演奏も、サクソフォンは完璧。バックのパートの難しさを感じさせない(ブートリーはピアノのあのノリを出すことは至難の業だし、クレストンて実はすごく難しいと伝え聞くし)リンドベルイの棒&吹奏楽団と、高次元で融合している。特に急速楽章であるほど、その凄さがわかる。いずれもこの曲のベスト演奏として位置づけてしまって良いのではないだろうか。

エミルソンの新作(2006年にSwedish Wind Ensembleが創設100周年を迎えたことを記念して作曲されたとのこと。100周年ってすごいな)は、ちょっと難解な現代音楽といったふうだが、それほど聴きづらい作品でもない。

実質アンコールとして置かれたピアソラ。啼鵬さんにこのCDの情報を伝えたところ、2006年に大栗司麻さん経由でレンタルしたとの話を教えてくださった。須川氏の録音と聴き比べてみると、様々なアプローチの違いがあって面白いかもしれない。

2013/04/05

Saxophone Quartet桜 お花見コンサート

今日、日経ホールかスペースDOか、というので迷った方も多いのでは。私は、幸い「息の道」はドゥラングル教授の演奏を2回ライヴで聴いているのでこちらを選択した。…あ、「息の道」を知らない方はぜひ機会があれば聴いてみることをオススメ。

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Saxophone Quartet桜、もちろん名前は知っていたが、聴いたことがなく…テナーの田中さんにご案内いただき、伺った。いやはや、素晴らしいカルテットだ!

【Saxophone Quartet桜 お花見コンサート】
出演:Saxophone Quartet桜
日時:2013年4月5日(金)19:00開演
会場:スペースDo
プログラム:
松岡大祐 - SAKURA
J.S.バッハ - イタリア協奏曲
G.フォーレ - 組曲「ドリー」より1,2,3,6
A.グラズノフ - 四重奏曲より第3楽章
福岡民謡 - 黒田節
C.リオ - Tequila-Kahlua
森正明 - また君に恋してる
A.ピアソラ - リベルタンゴ
A.ベルノー - 四重奏曲
A.グラズノフ - 5つのノヴェレッテより"オリエンタル"

テーブルが並べられて飲食OK。後方ではお酒とおつまみの販売が(売り子は松井宏幸さん)。ステージ後方には、桜の幻燈が映し出され「お花見コンサート」と銘打っている…のだが、中身は立派なフルリサイタルプログラム。サクソフォーンアンサンブルの会の皆様が座っていたテーブルでご一緒させてもらった。

オリジナル曲「SAKURA」は、フランスの小品のような、しかし所々和風の響きがするような曲。曲中のVAMPでメンバー紹介をするという演出も入ったオープニング。一曲終わって入るMCも、聴き手のツボをきちんとおさえており好感がもてる。バッハ「イタリア協奏曲」では、このカルテットの実力をまざまざと見せつけられた。「よく揃った音色や発音、理想的なバランス」と、文字に起こしてしまえばそれまでなのだが、完全に垢抜けたわけではない非常にバランスの取れた音色を使って、特に第3楽章のプレストなんて興奮モノで、実によく演奏される作品だが、いまだかつてこれ以上スリリングな「イタリア協奏曲」があったかと(あのバリトンの難所をきちんと吹くのは、実演では初めて聴いた)思い巡らせてしまったほどだ。

外声が昭和音大の出身、内声が東京芸大の出身者とのこと。Thunderさんと帰り際に話していてそういえばと思ったのだが、意外と外声を張る昭和音大出身のサクソフォン奏者って多いよなあ。なにか傾向のようなものがあるのだろうか。もちろん最終的には個々の奏者に行きつくとは思うのだが…。

フォーレ「ドリー」も、同様の傾向である。ときどき、ふとオールドスタイルの響きがするところも面白く、実演では聴いたことがないがディアステマSQあたりになんとなく通じる在り方を感じる。しかし、リズムの安定性や和声感などは現代風。ヴィブラートだとか音色だとか、それだけではないものがあるかなと思う。グラズノフは終楽章だけの演奏だったが、このスタイルならばぜひ全楽章通しで聴いてみたいところ。

休憩時間には私もビールを購入して、しばし歓談。6月のサクソフォーンアンサンブルの会の演奏会の秘話など、いろいろと話題が飛び出す(笑)。ずいぶん休憩時間が長いと思ったら、お酒売り切れにより補充しに走っていたとのこと。

後半は、お酒にちなんだ福岡民謡の「黒田節(メロディだけなら越天楽今様とも言えるか)」。MCが入って、乾杯の音頭と同時になんと桜の花びらが舞う粋な演出が。続く3曲は「お酒が進むコーナー」として演奏された。テキーラ&カルーアは、意外にもおとなしい演奏で、それまでの鮮烈な演奏からすると意外すぎて拍子抜けしたが「また君に恋してる」の美しさやや「リベルタンゴ」での鮮やかなソロの畳み掛けなど興奮し、ついついお酒が進んでしまった。

最後に、なんとベルノー。この流れからのベルノーかと驚いたが、とにかく本気勝負、技術的にも完成され、積極的な仕掛けも織り込まれて、最後は大喝采となった。聴き手の多くはお酒を飲みつつ…といったところだと思うが、酔いが覚めるほど圧倒されてしまった。アンコールは、グラズノフの「5つのノヴェレッテ」から"オリエンタル"。最後まで一切手抜きなし…。うーん、まだまだポテンシャルがありそうで、次に何をやってくれるか楽しみ…また聴きたいな。

4月13日にはりゅーとぴあでのワンコインコンサートに出演されるとのこと。新潟方面の方はぜひ聴きに行ってみては。

2013/04/03

第4回サクソフォン交流会のチラシ

第4回サクソフォン交流会、チラシがようやく完成(表裏ともクリックして拡大)。デザイナーには容赦なくリクエストを出しまくってしまったが、最終的に非常に良い物ができて嬉しい。一目見て名古屋&サックスってわかるのがいいですね。

直近では4/7の名古屋サックスフェスタで挟みこみ予定。名古屋サックスフェスタに行かれる方は、ぜひ手にとってご覧になってみてください。

2013/04/02

J.L.Chautemps/D.Kientzy/J.M.Londeix - Le saxophone

babarさんから譲っていただいた書籍。Jean-Louis Chautemps, Daniel Kientzy, Jean Marie Londeix各氏の共著となる「Le saxophone(Salabert)」である。この書籍の存在を知ったときはすでに絶版となっており、中古市場にもほとんど出回らないため手に入れなくても手に入れられない存在だった。babarさんには改めて感謝申し上げる次第(ありがとうございました!)。

内容は、下記の通り。カッコは、誰がどのセクションを担当して執筆したかを示している。

I.Histoire (JML)
Chapitre 1. Adolphe Sax
Chapitre 2. L'invention
Chapitre 3. Les premiers saxophonistes

II. Le Repertoire
Chapitre 1. De Berlioz a Debussy (JML)
1. Le repertoire symphonique
2. Le repertoire concertant
Chapitre 2. De Debussy a Denisov (JML)
1. Le repertoire symphonique
2. Le repertoire concertant
3. La misuque de chambre
4. La musique de conservatoire
Chapitre 3. Tendances actuelles (DK)
Chapitre 4. La musique legere (JLC)
1. Rudy Wiedoeft
2. La musique symphonique legere
Chapitre 5. Le saxophone et le cinema (JLC)
Chapitre 6. Le jazz (JLC)
1. Les debuts
2. Les grands saxophonistes
3. La section des saxophones
4. Le rock ou le rhythm and blues
Les deux cultures

III. Technologie et Acoustique
Chapitre 1. L'instrument (DK)
1. Principes de fonctionnement
2. La famille des saxophones
3. La fabrication
Chapitre 2. Choisir et entretenir son saxophone (JLC)
1. Neuf ou occasion?
2. Les qualites d'un bon saxophone
3. L'entretien
Chapitre 3. Becs et anches
1. Les becs (JLC)
2. Anche et ligature (JML)

IV. Techniques
Chapitre 1. L'emboushoure (JML)
Chapitre 2. Techniques specifiques (JLC)
Chapitre 3. Techniques nouvelles
1. Les modes de jeux (DK)
2. l'equipement electronique (JLC)

Annexes
Index

どうです、面白そうでしょう?レパートリーのところにかなり多くの内容が割かれているようにも見えるが、例えばリストとして一から十まできちんとまとまっているというものではなく、文章中にポンポン出てくるといった具合(洋書にありがち)。Harry R. Gee著「Saxophone Soloists and Their Music」、Daniel Kientzy著「Saxologie」、James C. Umbre著「Jean Marie Londeix - Master of the Modern Saxophone」、Nicolas Prost著「Saxophone a la francaise」あたりを総合すれば、本書のかなりの部分が網羅できるかもしれないが、それでもなお多くの部分が新規情報として入手できるものであり、資料として非常に有用だ。

また、ところどころに置かれている貴重な写真がまた面白い。1931年に撮影されたというグスタフ・ブムケのサクソフォンオーケストラの写真や、Guy Le Querrecが撮影した軍隊と石碑の上に置かれたバリトンサクソフォンの写真(テーマ判らず)が個人的にヒットだった。

2013/04/01

松下洋&PEDROSAXO(横浜公演・続き)

PedroSaxoのステージについては当初昨日の記事に追記しようと思っていたが、思い直して新しく記事を起こすことにした。

私はPedroSaxoのライヴは2回目の体験であったため(一回目はWSC会期中、Byre Theatreでの公演)、さすがに世界がひっくり返るような衝撃を受ける、といったことはなかったが、それにしたってやはり目からウロコのサウンドであることに間違いない。宮崎真一氏の東京公演に関する記事をとっかかりにしてその魅力について簡単に書いておきたい。

通常のサクソフォンのサウンドに、例えばスラップタンギング、フラジオ、キイノイズ、重音を混ぜ込む、といったあたりまでは普通の現代音楽でもすでにやり尽くされており新鮮味が無いが、PedroSaxoの面白いところは、そこに演奏者の身体から発せられる音(声による様々な奏法)をさらにプラスするところかな、と思う。掛け算の項がひとつ増えるようなもので、これまで体感したことのないような音が次から次へと現れるのだ。さらに、曲の基礎となる部分を民族音楽などにヒントを得て構築することで、耳馴染みやすい音楽をプレゼンテーションするところも上手い。誰が聴いても、子供の頃から知っているドローンであり、ペンタトニックスケールであり、琴線に触れるべくして触れる音楽なのだ。

このスタイルを貫き通しながら世界中を飛び回っているPedroSaxo。今回の来日で日本のサクソフォンに大きな衝撃を与えたことだろうが、もっと多くの人…サクソフォンを専門的に学ぶ人も、アマチュアでサクソフォンを演奏している人も、一般のクラシック音楽やポピュラー音楽のファンも…に知られてほしいものだと思った。YouTubeのみならず、ぜひライヴで!

最後は、松下洋さんとPedroSaxoのデュオで、ペンタトニックなテイスト満載の「Yo Style」。会場が沸いた。前半のチック・コリアステージともども、例外的なほどに大きい聴後感を得ることができた。

松下洋さんによるツアーレポートは、下記リンクからどうぞ。
Part1: http://blog.goo.ne.jp/youcrossgun/e/70ebfbb7d584b5dc67696c0fe22cfacd
Part2: http://blog.goo.ne.jp/youcrossgun/e/622661ba5a86bf18a4b947144bd39e68
Part3: http://blog.goo.ne.jp/youcrossgun/e/5a6280a50a77eaca6ecde04060bc42b4