2012/09/03

David Maslanka - Heaven to clear when day did close

ディヴィッド・マスランカ氏のファンならば、マスランカ氏が手がけた次のサクソフォン作品を挙げることができるだろう:「アルトサクソフォンのためのソナタ」「ソプラノサクソフォンのためのソナタ」「マウンテン・ロード」「レシテーション・ブック」「地獄の門」「サクソフォン協奏曲」「ソングブック」。

私は、てっきりこれで全部かと思っていたのだが、この他にテナーサクソフォンと弦楽四重奏のために書かれた作品があることをご存知だろうか。「Heaven to clear when day did close」という不思議なタイトルが付いた作品で、上記リスト中の作品に先がけ、1981年に完成している。20分以上及ぶ大曲で、内容も非常に充実しているというのに、なぜ知らなかったのだろう。

曲はセクションごとに明確なスタイルを取る。シリアス・ミュージックのような部分から、ディキシーのような部分、マスランカ氏らしい地獄の蓋を開けたような激しい部分、ロックのような部分など、驚くほど多面的な要素が詰め込まれている。ところどころ近年のマスランカ氏らしい響きも散見される。演奏を行うにはクオリティの高い弦楽四重奏団を調達しなければならない、という障壁はあるが、誰か演奏すれば人気が出そう。Barney Childsのピアノソロ作品に対するオマージュとして書かれ、副題として「Fantasy on a theme of Barney Childs」と付けられている。

Bill Dobbins「ソナタ」のレコーディングで有名な、Ramon Rickerの録音が存在する。「EASTMAN AMERICAN MUSIC SERIES Vol.2(Albany TROY236)」という、イーストマン音楽院の企画物CD。共演者は、やはりイーストマン音楽院の学生なのだろう…若々しく、迸るような熱演である。指揮者がいる、というところも驚いたが、レコーディングセッションならではだろうか。

Eastman Musica Nova Ensemble (Bel Canto String Quartet):
James Lyon, violin
Clay Purdy, violin
Nancy Holland, viola
Carol Purdy, cello
Sydney Hodkinson, conductor

0 件のコメント: