2010/02/19

ノーシュショア・トリオ@杉並公会堂

【ノースショア・サクソフォーン・トリオ コンサート2010 イン・ジャパン】
出演:ネイサン・ナブ、杉原真人(以上sax)、ウィンストン・チョイ(pf.)
日時:2010年2月18日(木)19:00開演
会場:杉並公会堂小ホール
入場料:前売2000円 当日2500円
プログラム:
クリスチャン・ロバ - アルス
クリスチャン・ロバ - ステディ・スタディ・オン・ザ・ブギー
バリーコック・クロフト - ビート・ミー
クリスチャン・ロバ - ハード
たかの舞俐 - ジャンギビリティ
フランソワ・ロッセ - ズィミックス
たかの舞俐 - リガリアンI
ウィリアム・カーリンズ - 序奏とパッサカリア
たかの舞俐 - リガリアンIV

なんとか仕事を切り上げて、ダッシュで荻窪へ。駅に着いたのが18:53で、早足で会場に向かう。途中、mckenさんにお会いし、2人で走る走る(笑)。開演にはなんとか間に合った。

楽しみにしていた演奏会であったが、期待以上の素晴らしいパフォーマンスに感銘を受けた。とても純度の高い音色に、実に正統的な解釈、厳格すぎず緩すぎない心地の良いアンサンブル、等々、一曲目の「アルス」を聴いた時点で、レベルの高さに驚き、続く曲の演奏に期待が高まった。

次は、ネイサン・ナブ氏の演奏でアルト・サクソフォン独奏の「Steady Study...」。作曲者公認の、中間部をややカットしたバージョンなのだそうだ。恥ずかしながら初めて聴いたのだが、まるで「バラフォン」のほぼぜんぶの音を重音にしたような、激烈に難しそうな曲。途中出現する、やはり重音を絡めたブギウギのメロディからだんだんと盛り上がってきて、最後は循環呼吸を使って大量の音を振りまき、3つのテーマ音を吹いてフィニッシュ。曲のパワーと相まって、ぐっと惹き込まれてしまった。

さらに続いて、杉原真人氏の演奏は、テナーサクソフォン独奏でクロフトの「ビート・ミー」とロバの「ハード」。「ビート・ミー」は、ジャズのエッセンスをベースにした作品で、とにかくカッコ良い。これはちょっと自分でもやってみたいなあ(楽譜はここから買える)。「ハード」はおなじみだけれど、最後はもう楽譜に沿っていないんじゃないかというくらいのキレっぷりで、これまたものすごい印象だった。杉原氏のテナー、太くて柔らかくて、とても良い音なのですよ。ライヴで「Grab It!」とか聴いてみたいなあ。

第一部最後は、ピアノのチョイ氏の独奏で、たかの舞俐「ジャンギビリティ」。事前に杉原真人さんより、「ジャンギビリティ」と「リガリアン」の録音を頂戴していたため、じっくりと演奏を味わって聴くことができた。どんな技巧的な場面においても、安定してフレーズを紡いでゆくテクニックの高さに驚いた。

この日の司会・お話も務めていた、たかの舞俐さん、私自身は、ノースショアの関連で初めて聴いた作曲家だった。リゲティの弟子、というとどんな曲を書くかちょっと想像がつかなかったが、様々なジャンルの音楽がミックス(融合、ではなく)された、とても面白い作品だった。タイトルの「リガリアン=LigAlien」とは、Ligeti + Alien、から着想したものだそうで。

後半は、一曲目がフランソワ・ロセのソプラノ・サクソフォン2重奏で(ロセの作品にしては珍しく聴きやすい)、そのあとの三曲がトリオ編成。休憩前の第一部が、聴く方にも相当な集中力を要求する無伴奏作品の演奏がメインであったせいか、後半はとても気楽に聴けた感じがする。特に「リガリアンIV」が楽しかった!中間部でジャズ風になるところなんて、最高ですね。

とてもレベルの高い演奏を楽しんだ。会場は、おそらく作曲家関係の方が多く、あまりサックス関係のお客さんがいなかったようだ。もったいないなあ。

2 件のコメント:

杉原真人 さんのコメント...

ありがとうございました。
今日シカゴに帰ってきました。杉並公会堂小ホールは良いホールですね。3人とも本当に楽しく演奏する事ができました。あまりサックスの学生など雲井先生の弟子以外ではあまり来てなかったのが残念です。たかのさんの曲をもっと日本のサックス吹きに紹介したかったのですが、、、

kuri さんのコメント...

> 杉原様

コメントありがとうございます!終演後、少しだけでしたが、お会いし、ご挨拶できてとても嬉しかったです。
素晴らしい演奏を楽しみました。最近のアメリカのサックスというと、日本ではCD以外ではなかなか聴く機会もないのですが、自分にとっては非常に刺激的な音楽ばかりです。これからも積極的に聴いていこうと思いました。またの来日を、楽しみにしています。

たかのさんの曲はとても面白かったです。いつか日本でも頻繁に演奏されるようになると良いなと思いながら、聴いていました。