【洗足学園音楽大学サクソフォーン研究会第13回定期演奏会】
出演:洗足学園音楽大学サクソフォン専攻生、池上政人、岩本伸一(以上cond.)
日時:2010年2月24日(水曜)18:00開演
会場:洗足学園音楽大学講堂
料金:入場無料
プログラム:
~第一部~
P.ヒンデミット - ヴィオラ・ソナタ
R.ブートリー - 協奏曲
A.ドヴォルザーク - 弦楽四重奏曲「アメリカ」より第1、4楽章
~第二部~
I.アルベニス/小林悟 - 組曲「イベリア」よりセヴィリャの聖体祭、港
J.イベール - 室内小協奏曲
S.ラフマニノフ/森田一浩 - パガニーニの主題による狂詩曲
A.I.ハチャトリアン - 「ガイーヌ」より
~アンコール~
E.グリーグ - ?(忘れました)
J.マティシア(C.ロバ) - 悪魔のラグ
18:00開演ということで、会社の終業時間からあまり時間がない、しかしできれば最初の独奏も聴きたい、と思案し、会社から歩いて川崎市に入り南武線に飛び乗って会場へと向かった。これが功を奏して、到着は開演の3分前。なんとかなるものだ。
伺う前のお目当ては、やっぱり原博巳さんのイベールだったのだけれど、学生だけの演奏も大変に素晴らしくてこれは良い演奏会を聴いたなと思った。せっかくなので、ひとつひとつ感想を書いていきたい。
P.ヒンデミット - ヴィオラ・ソナタ - 津田征吾(sax.)、松浦真沙(pf.)
最近のトレンドの見本とも言える演奏。草書体のようなしなやかな楽器のコントロールは、高い技術の賜物だろう。これで大学4年生なのだというから、そのウマさに驚きだ。実は、明後日に津田征吾氏と小川卓朗氏のデュオリサイタルに伺う予定なのだが、そこでも「ヴィオラ・ソナタ」を演奏するようだ。他の曲の演奏も聴いてみたいなあ。
R.ブートリー - 協奏曲 - 東秀樹(sax.)、富山里紗(pf.)
2009年に須川氏、林田氏、作田氏によってそれぞれのバージョンが初演された、あの新作。これだけの難曲であっても、初演から一年もたたないうちに音大生が演奏してしまうんだなあと、呆気に取られた。スタイルとしては、特にアルトサクソフォンでは堅固で揺るぎない響きを構築しようとしているものが垣間見えた。そういえば、第3楽章ってやっぱりトマジの「協奏曲」そのまんまだよなあ。
A.ドヴォルザーク - 弦楽四重奏曲「アメリカ」より第1、4楽章
面白かった!奇をてらわず、音楽的な範疇で良いものを創りだそうとする意志が見えるのですよ。ぱあっと外に開いていくような思い切りの良さは、さすが独奏では感じられないものだとも思った。あれ、そういえば、洗足学園音楽大学の学生カルテットの演奏で「アメリカ」だなんて、2年ほど前に"四重奏の夕べ"でも聴いたことがあるなあ。
I.アルベニス/小林悟 - 組曲「イベリア」よりセヴィリャの聖体祭、港
SnSSAATTBBBsという10重奏で、比較的若い方たちのアンサンブル。どんな音がするかなあと思ったのだが、これも良い響きだったなあ。一つ前の「アメリカ」と、ちょっと傾向が似ていて、外に向かって開いていく音が、幸せに満ちあふれたような輝きを持っているのだ。
J.イベール - 室内小協奏曲 - 原博巳(sax.)
原さんのイベール。「やっぱすごいや…」と呟くしかないような圧巻さ。同じ人間とは思えないパワーで、会場に音を満たしてゆく。原さんて、実は宇宙人だったりして…笑。楽譜は、もちろんossiaやad lib.を使わないバージョン。バックの演奏も、涼しい顔をして難しいことをスラスラとこなしていた。それぞれの人間が、曲を熟知していないとできない演奏ですね。
S.ラフマニノフ/森田一浩 - パガニーニの主題による狂詩曲
A.I.ハチャトリアン - 「ガイーヌ」より
洗足学園音楽大学のサクソフォーン科のオーケストラは、昭和音楽大学のそれとともに定評があるが、こうしてあらためて聴くと、良いですね。演奏・編曲・指揮ともにひとつの完成された世界で、"スタンダード"という言葉が何度も頭をよぎった。サックスの人だけではなくて、いろんな人がこの世界を知ってくれると良いなと思う。また、こういった"スタンダード"の中から、突出した新たなベクトルが生み出されることを期待している。アンコールは、グリーグの何か(忘れた…)と、ジャン・マティシア、っていうかクリスチャン・ロバの「悪魔のラグ」。「悪魔のラグ」は、若さ爆発!という感じ。こういうの、けっこう好きです。
0 件のコメント:
コメントを投稿