先の記事でちらっと話題にしたジョセフ=エクトル・フィオッコの「協奏曲」というと、やっぱり第一に思い浮かぶのがこの新井靖志さんのアルバム「Fantasia(Meister Music MM-1091)」なのである。私の世代(このCDが発売されたころに、高校生だった)のアマチュアのテナーサックス吹きって、たいていこのアルバムを持っているんじゃないだろうか。CD自体は東京に置いてあるのだが、幸いポータブルプレーヤーに入れたまま持ってきていたので、聴いてみた。
H.ヴィラ=ロボス - Fantasia ファンタジア
J.H.フィオッコ - Concerto 協奏曲
F.プーランク - Sonate ソナタ
A.グラズノフ - Chant du Menestrel 吟遊詩人の歌
R.クレリス - Serenade Variee セレナード・ヴァリエ
M.ブルッフ - Kol Nidrei コル・ニドライ
R.シューマン - Adagio und Allegro アダージョとアレグロ
…聴くんじゃなかった。
高校生のころにフィオッコをこっそりさらって、ああ、難しいなあ、吹けないなあなどと思っていたのが、ようやく最近再びさらい始めて、「あ、いま吹いてみると、意外と良い感じかも?」と思っていた、その幻想を打ち砕くのに、十分過ぎる程であった。
想像を絶するほどに、軽やか。テナーサックスって鍵盤楽器だっけ?という錯覚に陥ってしまうほどだ。サイドキーも低いシドレミもなんのその。音の一粒一粒がはっきりと目立って、あいまいな部分がまったくない。高校生のころは、どちらかというと派手な須川展也さんや、田中靖人さんのアルバムなどを好きこのんで聴いていたもので、このアルバムの真の凄さに気づくのにはまだ早かったということか。
それまで、どれだけテナーサックスをやっているかで、このアルバムの凄さに対する認識が変わってくるかもしれない。まあ、それを抜きにしても素晴らしいCDであることに間違いはないのだが…。このCDについては、Thunderさんによるとびきりのレビューもぜひご覧ください。
小柳さんのピアノも、EMIでの須川さんとの共演盤と比べると、かなりはっきりと音像が捉えられていて、素晴らしい。ワンポイント録音、かくあるべき!
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