2006/07/07

雲カル第5回定期演奏会

2003年の「メメント・モリ」からほぼ毎回聴いているが、雲井雅人サックス四重奏団の魅力の一つに、その「美しい音色」があることは確かだろう。ミュール編の小品にピタリと当てはまる上品な軽やかさを演出したかと思えば、ピエルネやアブシルでは眩しいほどのキラキラした音が会場の隅々までを満たす。さらにそれが彼方から聴こえるような弱音であろうと、パワフルなユニゾンであろうと響きは常に豊かである。

テクニックとか解釈とかそういうものは二の次で、楽器の良さをストレートに伝えるにはまず音色なんだ!と、妙に納得させられてしまうほどの魅力がそこにはある。もちろん音色だけに終始せず、緻密なアンサンブルを練り上げてくるところが、さらに雲カルを半端でない存在にしている要因だとは思うが。

一部、二部の終わりにそれぞれ配置された、アブシル「ルーマニア民謡による組曲」、ピエルネ「民謡風ロンドの主題による序奏と変奏」が斬新でおもしろかった。普段CDなどで接するフランス人の演奏はエスプリたっぷりのおしゃれなものが多いのだが、今回聴いたのは思い切りの良い全力勝負。例えばルデュー四重奏団の演奏は早口のお喋りみたいな日常的な感じだが、なるほど聴き方を変えてみればアブシルってたしかにこういう生命感溢れるエネルギッシュな曲かもしれない。バルトークだって同じようなタイトルの曲を書いているけど、けっこう土俗的なイメージだしね。

プログラムに沿って書いていくとちょっと書ききれない位だが(全部で7曲!)、織田英子さんの新作は楽しかったな。おなじみの民謡を素材に取ったかわいらしいコンサート・ピースで、見通しの良いすっきりした音楽。続く秋透氏の編曲による作品も民謡を素材にとったものだったが、こちらは一転技巧的にかなり工夫の凝らされた編曲。

自分の反省:実は最初から気合を入れて聴きすぎて、さらにここ最近疲労を溜めていたこともあって、アルベニスあたりでかなりグロッキーになってしまった(笑)。ジャンジャンや万葉はもうちょっと気楽に聴けば良かったかな…^^;ジャンジャンなんてまさに音との戯れという感じで、吹いている様子があまりに楽しそうだったので、聴く自分もリラックスしていればよかった。

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