2012/10/29

復刻記事:ミシェル・ヌオーのイベール

2009年にアップした記事なので、もしかしたら最近ブログを読んでくださっている方は知らないかも…ということで、当時の記事を復刻。

個人的には、デファイエ&ラムルー管に匹敵するのでは…と思っている、ミシェル・ヌオー演奏のイベール「コンチェルティーノ・ダ・カメラ」の録音を、木下直人さんに教えてもらった時の記事である。この演奏が、なんとインターネット上でも公開されているのだが、もし知らない方にはぜひ聴いてほしいなと思う。

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ジュネーヴ国際音楽コンクールのハイライト録音。これもまたすごい。実は1990年にCDとして出版されたようなのだが、まったく知らなかった。ジュネーヴのライヴなど存在しないと決め付けて、探そうともしなかった自分が恥ずかしい。1939年の初回のコンクールから、1989年までの「Selected First-Prize Winners」とのことだ。

Arturo Benedetti Michelangeli (Piano)
L.v.Beethoven - Piano Concerto No.5 mvt1 (Excerpt)

Riccardo Brengola (Violin)
F.Mendelsshon - Violin Concerto in E-min mvt3

Gilbert Coursier (Cor?)
C.Beck - Intermezzo

Aurèle Nicolet (Flute)
R.Oboussier - Pavan and Galliard

Maria Tipo (Piano)
D.Scarlatti - Sonata L23&L449

Maurice Allard (Basson)
A.F.Marescotti - Giboulées

Michel Nouaux (Saxophone)
J.Ibert - Concertino da camera

Maurice André (Trumpet)
H.Tomasi - Concerto for Trumpet mvt1

Martha Argerich (Piano)
F.Liszt - Hungarian Rhapsody No.6

Heinz Holliger (Oboe)
A.Marcello - Cocnerto in C-min

…す、すごい。ミケランジェリやアルゲリッチのピアノ、ジルベール・クルシェのホルン(コル?おまけにピアノがアニー・ダルコ!!)、オーレル・ニコレのフルート、アラールのバソン、アンドレのトランペット!これはまた、凄すぎますなあ。大御所とか伝説とか呼ばれているプレイヤーの、20代の演奏を切り取った録音である、ということで、どれも本当にキラキラと輝く演奏で、勢いがあって、あまりにも上手くて、聴き手は圧倒されるほかない。

この中で、サックス的な興味として、名手ミシェル・ヌオー Michel Nouauxの演奏が挙げられる。ギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団のメンバーをベースにした四重奏団からミュールが脱退した後、そのソプラノサクソフォンパートに就任したのが、他でもないミシェル・ヌオーなのである。ヌオーは、ミュールの、パリ音楽院教授時代の弟子にもあたる。

ヌオーが参加していると思われるギャルドの演奏を耳にしたり、四重奏団のLPを聴いた中では、正直ヌオーがここまで優れた演奏家、音楽家だとは思っていなかった。これは、大変な録音である。ヘンな例えだが、ミュール演奏の「コンチェルティーノ・ダ・カメラ」の色気や余裕をそのままに、音程やアンサンブルの精度を高めた…というような演奏に聴こえる。ああ、ボキャブラリーが足りないのが悔やまれる!こんなにもすごい演奏なのに!デファイエ四重奏団のリュエフ、ミュールのクレストン、ラッシャーのブラントなどを、初めて聴いたときと同じくらいの衝撃を受けてしまった…。ちょっと調べてみたところ、オンライン上から参照可能であるようなので、ぜひ聴いてみていただきたい(→こちら)。

(復刻時に追記)

リンク先に飛んだのち、聴きたい録音をクリックしてジャンプした先で「Open in an external player」をクリックすると聴くことができる。

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