"いつでもレパートリー"の構築が、狙ったようには上手くいかないという話。
普段アマチュアで四重奏の活動をしていると、簡単な曲から難しい曲、コンサートホールからライヴハウス、ポップスからクラシックと、状況に応じて様々な機会で様々な作品に取り組むことになる。選曲の際には(コンクールでもない限り)できるだけ少ない労力で最大の演奏効果を上げるように、という考えが生まれ、必然的に曲の再利用を考えることになる。
例として、Tsukuba Saxophone Quartetがここ2年で演奏した曲目のリストを示す。全部で33曲、末尾に付けた回数は、楽章抜粋や楽章違いもあるので、完全に正確ではない。
吉松隆 - アトム・ハーツ・クラブ・カルテット(7回)
J.B.サンジュレ - 四重奏曲第一番より(5回)
伊藤康英 - 琉球幻想曲(4回)
上野耕路 - N.R.の肖像より(4回)
大野雄二 - ルパン三世のテーマ(3回)
和泉宏隆 - 宝島(3回)
彩木雅夫 - 長崎は今日も雨だった(3回)
ドイツ民謡 - こぎつね(2回)
J.S.バッハ/伊藤康英 - 無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番より"シャコンヌ"(2回)
久石譲 - となりのトトロメドレー(2回)
K.エマーソン/P.フォード - タルカス(2回)
四方章人 - 浪花節だよ人生は(2回)
オムニバス - 四季の童謡メドレー(2回)
上野耕路 - サクソフォン四重奏曲より第2楽章(2回)
葉加瀬太郎/浅利真 - 情熱大陸(2回)
P.ゴールドシュタイン - フォールト・ラインズ(2回)
J.ノレ - トカデより第1,4楽章(2回)
M.ラヴェル - 弦楽四重奏曲より第1楽章(2回)
岡野貞一/くぼたまり - ふるさと(2回)
A.ピアソラ - 乾杯(2回)
長生淳「八重奏曲」
NAOTO/啼鵬 - for you...
槇原敬之 - 世界に一つだけの花
伊藤康英 - 琉球幻想曲 5sax+pf版
A.ピアソラ/啼鵬 - ブエノスアイレスの春・夏・秋・冬
福井健太編 - 超演歌宅急便
成田為三 - 浜辺の歌
三木たかし - 津軽海峡冬景色
伊藤康英 - 木星のファンタジー
J.ウィラン/B.メニュ - トリップ・トゥ・スカイ
伝承曲/B.メニュ - アン・オーウェン
グリーンスリーヴス
チェッカーズメドレー
ダッタン人の踊り
演奏機会にまたがって流用を続け、新規に取り組む作品を減らしていくなかで、本番前に1回の集中練習を設ければすぐ演奏できるようなエコシステム="いつでもレパートリー"を構築することを目指していた。確かに、演奏機会の多い「アトム・ハーツ・クラブ・カルテット」の第1楽章やサンジュレの「四重奏曲」、伊藤康英「琉球幻想曲」などは、かなり"いつでもレパートリー"と呼べるレベルに近づいてきた。だが、このリストを改めて眺めてみると、2回や3回程度やっただけでは、とくに難しい曲については板につくというレベルには達しないようだ、というのがわかる。いま、とつぜんリハーサル一回で上野耕路「四重奏曲」の第2楽章やピアソラの「乾杯」を吹いてくれと言われても難しい。
このカルテットだからダメだとか、誰のせいとか、そういうことではないのだろう。いくら流用をできるだけするという前提でも、どうしても到達してしまう限界があるのかな。そういう前提をわかった上で、割りきって、演奏機会を少しずつ積み上げていけば良いのだと思っている。
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