2008/06/06

Edmund von Borck's Concerto on YouTube

シガード・ラッシャー Sigurd Rascherは、そのキャリアの最初期…ドイツ在住のころ、Edmund von Borckの「サクソフォン協奏曲」をハノーファーの音楽祭において初演、直後にベルリン・フィルハーモニックと共に再演した。この演奏の成功は、ヨーロッパ中に知れ渡るところとなり、国際的なサクソフォン奏者としてのラッシャーのキャリアが、スタートするきっかけとなった。つまり、ラッシャーとその流派にとっては、ある意味最も重要な作品であるということになる。

昨年、ニューヨーク州立大学フレドニア校で行われたイベント"Rascher Centennial Celebration(ラッシャー生誕100周年記念祭)"では、コンチェルト・コンサートとしてラッシャーにゆかりの深い作品が数多く演奏された。その中で、グラズノフ、イベール、マルタン、ラーションと共に演奏されたのが、このEdmund von Borckの「Konzert für Alt-Saxophon und Orchester」だったのだ。そして、その演奏の模様が、なんとYouTubeにアップされていた。演奏は、サクソフォンがWildy Zumwalt。バックがSteven Jarvi指揮Western New York Chamber Orchestraである。

第1楽章:


第2楽章:


第3楽章:中間部に現れるスラップやフラッターを多用した部分、そして最終部のフラジオが聴きもの。


時代を経るにつれ、ポピュラリティを持ち損ねた理由は何となく分からないでもないが(苦笑…それほどキャッチーな作品とも感じないしね)、しかし1932年当時にこれを耳にした聴衆の反応は、如何ほどのものであっただろうか!当時はまだまだサクソフォン未開の地であった、ドイツだぞ。そこに突如彗星のように現れたサックス吹きが、こんなに目も回るような見事な演奏を披露した…というのを、想像していただきたい。

0 件のコメント: