というわけで行ってきた、ジェローム・ララン氏のサクソフォーン・リサイタル「サクソフォーン旋風」。かなり珍しい部類の、サクソフォーンとテープやライヴ・エレクトロニクスという編成を中心としたコンサート。
・大村久美子「イマージュの錯綜(t.sax + live electronics)」
・堰合聡「サクソフォーン(a.sax solo)」
・鈴木純明「アンチエンヌ(2 s.sax)」
・小櫻秀樹「俺は作曲家だ!(a.sax, t.sax + tape)」
・夏田昌和「西、あるいは秋の夕べの歌(s.sax + perc. + tape)」
・ジョドロフスキ「混合(t.sax + live electronics)」
・湯浅譲二「私でなく、風が…(a.sax + amp./reverb.)」
・フェルドハウス「Grab It!(t.sax + ghettoblaster)」
大泉学園駅から歩いてすぐのビルの6階にあるゆめりあホールは、200席ほどの小さなホールで、パルテノン多摩の小ホールみたいな形。会場に入るとまず目を引いたのはステージに設けられた2本のスピーカ、モニター、マイク、それにパソコンとアンプリファイとミキサー!
前半は一曲目から立体的な音響にやられて、最後まで集中して一気に聴きとおしてしまった。「イマージュの錯綜」なんて個人的に大変好きな曲だが、やっぱCDで聴くのとは訳が違う…意外と広がりのあるサウンドを求めているんだなあとか、あのメランコリーな旋律は素材の一つとして使っているだけなんだなあとか、やはりライヴで、さらに作曲者臨席のもの聴くのは貴重な機会だ。
堰合氏の「サクソフォーン」でちょっと中休みの後、「アンチエンヌ」は原博巳氏が登場、ソプラノサックスのデュオで大変息の合った演奏を聴かせてくれた。なかなかかわいらしい作品で、これ、また聴いてみたいなあ。「俺は作曲家だ!」では、かなり重量級の大作でほとんど極限的なサクソフォーンの技巧が求められていたが、ララン氏の気迫のものすごいこと。ジャンヴィエ・アルヴァレのOn Going Onみたいな感じだったような?
うーん、奏者&作曲家ともどもタダ者ではない。若さなりの勢い、そして個性が感じられて、興味深かった。
がらっと変わって後半は、すでにかなり著名な夏田氏、湯浅氏、そしてフランスとオランダの作曲家の作品。
夏田氏の作品をけっこう楽しみにしていたのだが、one by oneの尺八のような飄々とした世界を艶やかな音色のソプラノサックスで聴くのも素敵。「混合」はパリ音楽院の卒業試験曲(!)でもあったとか、一聴するとシュトックハウゼンみたいな電子音+偶発的みたいな感じにも聴こえたが、良く良く思い出してみたら全体に構成感があったような気がする。
「私でなく、風が…」演奏前には、客席から湯浅譲二氏ご本人が登場!驚き。作曲経緯についてなかなか興味深いコメントを話され、続く演奏も集中力の高い演奏。この演奏を生で聴けたのは良かったなあ。最後の「Grab It!」はやっぱりかっこよかった、これいい曲だなあ…。
総じてかなり玄人向けのコンサートだったという感じはあるものの、様々なサクソフォーンの音響世界を高いレベルのソロで体感できる機会に臨席できたことは大変嬉しく、充実した気分で聴き通すことができた。これが全て未来のサクソフォーンのスタンダードとなるとは考えられないが、こういった所から将来の芽が出るということなのだろうな。うん、満足!
また、ライヴ・エレクトロニクスがどのようなものなのかというのをこの目で見られたのも収穫だったかな。「イマージュの錯綜」はマック上でソフトウェア(jMAX?)が動作して、ソロに対応させるように大村さんが操作を行っていたし、「混合」は専用のソフトウェアがクリップマイクで拾ったサクソフォンの音に反応して順次発音するという具合。
終演後は、Thunderさんとmckenさんにお会いした。アマチュアサクソフォーン界の二大サイト(Thunder's WebとFantastic Classical Saxophone)管理人さんが並んだって感じですごい(笑)。終演も遅かったので、ちょっとお話して(またゆっくりご一緒できる機会があると良いですね)つくばに戻った。
3 件のコメント:
イマージュの錯綜の楽譜が手に入ったんだけど(大村さんから直接送ってもらった)、む、難しい…。
齋藤貴志さんはホント巧いねー。
> image/air_さん
ええっ!すごくうらやましいです!この演奏会を聴いたのは2006年ですが(大村さんも齋藤貴志さんも臨席してました)、そのずっと前、CDが発売されたときから好きな曲でした。
今度お会いしたときに、ぜひ楽譜見せてください!!MAX/MSPパッチも一緒に送ってもらったんですか??
いや、テナーサックスの譜面だけだな~
次回持ってくよ
コメントを投稿