2005/07/31

ムジクケラーのブランデンブルグ

9/29に行われる雲井雅人サックス四重奏団の定期演奏会のチケットをとった。楽しみー!!吹奏楽団の友人6人の大所帯で出かけます。つくばエクスプレスはそのころ開通済みのため、津田ホールまでの交通手段に関しては便利なことこの上ない。往復\2300と少々高くつくが。

チケットを取り扱いしている会社「レックス」は、旧ムジクケラーだったんですね。知らなかった。伊藤康英先生と筑波大学吹奏楽団のお付き合いもあるため、レックスの方も団のことを存じているようだった。
話は飛んで:ムジクケラー時代の最後の主催コンサート「ブランデンブルグ協奏曲全曲演奏会」の「第二番」の録音を聴かせて頂いたことがあるのだが、格段に洗練されていてかなりいいです。

雲井雅人氏がソプラニーノ・サクソフォン(極上)で参加しているというだけでも貴重だが、ヴァイオリンの浦川宜也氏がまたいい音色を出しているのだ。渡瀬英彦先生によるバロック風のフルートの音色も、なんだかそこだけタイムマシンに乗せて現代に運んできたかのように、素朴ながらもリアルな鮮やかさを感じさせる。

2005/07/29

所有レコードまとめページ

notesの更新を一時停止して、クラシックサクソフォーンの所有レコードまとめページを作成していた。メインページのメニューから辿ることができる。

サクソフォーンの音源を収集し始めた頃にはとっくにLPではなくCDが主流だったため、LP発売された入手できない音源の存在を知ると悔しいものだ。特にダニエル・デファイエや、その四重奏団、ジャン・マリ=ロンデックスなど、クラシック音楽界全体からみても貴重な録音の数々が未復刻なのはとても残念なことだと思う。吹奏楽がこれだけ全国的に流行っているのだから、アマチュアのサクソフォーン奏者も相当な人数いるはず。その大多数の人たちがミュール、デファイエ、ロンデックスの音色を知らずにサクソフォーンを吹き続けているという現状、驚くと同時になんとかならないかなとも思う…。

せめて、EMI Franceの三枚組アルバム「Le saxophone francais」を全国の吹奏楽団のサックスパートに一枚ずつ置いてほしいものだ(いやホント(笑))。

…この音!

アルフレッド・デザンクロに関するまとめページ作成進行中。CD「Requiem」のライナーに載っている資料が充実しているため作品リストには困らないのが嬉しい。先ほど「サクソフォーン四重奏曲」に関する原稿を文字化け状態で上書きしてしまってダメにしてしまった。

まあそれはいいのだが、久々に聴いたデファイエ四重奏団の演奏によるピエルネ「民謡風ロンドの主題による序奏と変奏」が凄すぎて、思わず唖然。何が凄いって、全部凄いです(少々盲目的か?)。このくらい吹けたら…いやいや、ありえない。テナー吹きとしては、ジャック・テリーの音色は最も魅力的なものであると同時に、決して手に入れられないものの例えみたいなものだな。目標にはできない。しかしどうしたらこんな音色が出るんだ。

2005/07/26

デザンクロ合唱曲集

7/23に東京へ出た際に、アルフレッド・デザンクロの作品集「Requiem(Hortus 009)」を入手。渋谷のHMVのクラシックフロアに何気なく行ったら、普通に置いてあって目を疑った。即刻購入したのは言うまでもない。今まで見つからなかったものがなぜ突然…と思ったが、どうやら最近広く流通し始めているようですね。その後訪れたタワレコにもありました。

ぷ~れんさんのWebサイト「あんぐらCD博物館」(→http://www.geocities.co.jp/MusicHall/6119/)のデザンクロのコーナーで紹介されているのを見て以来興味があったCD。合唱とオルガンのCDなんて初めてマジメに聴いたかもしれないが、敬虔なまでの和声の美しさに思わず感動してしまった。

ふだん管楽器を専門としているせいか、「静かな美しさ」に惚れたのかも。大きい音によって人を圧倒すること(=迫力ってやつか)だけでなく、こんなに心震え圧倒される音楽がわずか十数人の人の声で実現できるとは…CDで弱音にしびれたのは久々かもしれない。さらに演奏だけでなくこの合唱曲の美しさといったら!どの曲もシンプルながら究極的に純度が高い。作曲者と演奏者の両方に大拍手。

このCDの入手を機会にデザンクロの「サクソフォーン四重奏曲」「前奏曲、カデンツァと終曲」の所有音源を整頓してデザンクロに関するページ作成でもしてみようかな。

2005/07/24

L'Art du saxophones

立て続けにいろんなCDやLPを買った中で、ここ最近いちばんインパクトが強かったのがダニエル・ケンジー(キエンツィ)Daniel Kientzy氏のレクチャーアルバム「L'Art du Saxophones(Nova-Musica NMCD5101)」。真っ赤な表紙に金文字の表紙、裏にはコントラバスサクソフォンを携えたキエンツィ氏という異常な外見。収録曲の全ソロパート楽譜つきの分厚いブックレット入り。収録内容は、ソプラニーノからコントラバスまでの七種類のサクソフォンによるデモンストレーション音源と、七種類のサクソフォンによる100の特殊奏法の譜例&実践録音!!。えー!!すごい。

ソプラニーノサクソフォンとシンセサイザーのための即興曲「La visite du tonton de Bucarest」が虚空に鋭く響いたと思えば、コントラバスサクソフォンによる「Une colour...」の冒頭部分の超低音の野太い音色が響いてきたりと、面白すぎてマジメなのか人を喰っているのかよくわからない。

「100の特殊奏法」では楽譜とフランス語または英語の解説を元に録音で実際の音を確認することができるが、Normalから、Biphonie、Saxnay?まで盛りだくさん。楽譜を見ながら28分間、大笑いしながら聴いていました。サクソフォーンを吹いている方で現代音楽に抵抗がない方には結構オススメできるかもしれない。話のネタや現代奏法の勉強にいかがでしょうか。

ちなみにケンジーさんのWebページ(→http://www.kientzy.org)では、そのスーパーサクソフォニストっぷりの一端が垣間見られる数々のコンテンツを堪能することができる。演奏風景のムービーの抜粋やサンプル音源が充実していて飽きさせない作り。Biphonie奏法も実際の映像で確認できます。

2005/07/22

いろいろCD買った

東京に出たついでに、タワレコでいろいろCDを探してきた。購入したのはChristian Forshawの自作自演集「Sanctuary」と、ピアソラのボックスアルバム(10枚組\1460!!で衝動買い)、Calliopeから復刻されたサン=サーンスのソナタ集。けっこうジャンルがまちまちになってしまったなあ。しょうがないか。

「Sanctuary」のChristian Forshawはロンドン・サクソフォニックのメンバも務めるイギリスの若手実力派サクソフォーン奏者。ギルドホール音楽院でジョン・ハールに師事し、以後多彩な活動を展開しているようだ。このアルバムは演奏者自身の作品を中心に女声ソプラノ、キングスカレッジ合唱団、オルガンとのコラボレーションによって生み出されたもの。一曲目から残響を多めに捉えた宗教色の強い崇高な響きが新鮮。あまり今まで聴いたことのないタイプのサクソフォーン音楽だった。

聴きものは、なんといってもギョーム・ド・マショオ出典のコラール「J'ain la flour」の主題によるインプロヴィゼイションと、2002年FEVAフェスティバルでの委嘱作品であるNunc Dimittis。時に暴力的にまで暴れまわるサクソフォン、オルガン、合唱が絶妙な音空間を創り上げている。

ピアソラのアルバムは「一枚\146ならまあいいかー。」と安易の極みで購入。普段はボックス買いなんて決
してやらない(そもそもサクソフォーンのCDがボックスになっていることなどない)のだが。まとめて聴くとなかなかいけます。ピアソラの作品をほとんど知らない自分としては、新たなお気に入り曲を発見できて…そんな楽しみ方もありかな、という気分にさせられる。

サン=サーンスは聴かずに友人に貸してしまったので、帰ってきたらまたコメントしてみます。

レ・ヴァン・フランセの東京オペラシティ公演ではリゲティ「六つの小品」をやるみたいだ。聴きたい!!つくば公演ではやるのだろうか…?実はまだ木管での演奏を聴いたことがない。大阪室内楽コンクールでハバネラ四重奏団と第一位を分け合ったロシアのRNO木管五重奏団が演奏していたらしいが。

2005/07/19

表現力の強さ・弱さ

前日のエントリのつづき。サクソフォーンの世界のことに置き換えてみると…。

日本人が国際コンクールに出場するとき、日本人が外国の楽器を使って外国の作品に取り組んでいるわけだからハンディは様々にあろう。しかしもっとも顕著な弱点として、コンクールの場での日本人の表現力の弱さが挙げられる、ということを著名なサクソフォーン奏者が話しているのを聞いたことがある。技術力は優れているがそれ以上に伝わるものがないと次の予選に進むことはできない、といった類の話だった。

外国人の表現力の豊かさはすごい。細かいところを吹き飛ばしても、全体のバランスが崩れても、感情をストレートにそのまま楽器に乗せる態度はある意味清々しくもある。でも、日本でそれをやると失笑買いますね…。たとえば日本のコンクールでなら「細かい部分にこだわりすぎて全体のバランスが~」とか「構成感に乏しい演奏~」とか言われてしまう。だからといって構成を考えた上での演奏は全体を見渡せば美しいが、瞬間の煌きがない分つまらない。日本での線引き、難しいです。

ここまで書いてふと思った。1992年の第7回東京国際音楽コンクール室内楽部門、トルヴェール・クヮルテットとアポロ四重奏団がぶつかった年だ。アポロが第一位で、トルヴェールが第二位だった。トルヴェールがアポロに負けたのって、表現力の強さが原因なのかもしれない。たしかにアポロの演奏の主張の強さは誰が聞いても鮮烈なものだし…。

…疲れた

7/16に「東西インカレ 男子バレーボール日本一決定戦」のウェルカムパーティーにお呼ばれ。四重奏で「私のお気に入り」を演奏してきた。食事が食べられたのでまあ良し。指の回りが超絶だったのはたぶん「…」のおかげでしょう。

肝心の演奏は…バレー目当ての群集の興味をこちらに向けさせるのがいかに難しいことであるか、身をもって体験。いやぁ、大変だった。しかしこちらには目もくれずバレー選手に群がる人だかりの中、小さな子供たちが真剣に聴いてくれました。それがけっこう嬉しかった。

2005/07/18

芝居を観てきました

コンクール練習の毎日。日曜日および祝祭日は大学のクーラーが入らないのがツライ。

本日の練習が終わり、先ほど芝居を観にいってきた。といっても知人からの紹介で、大学のとあるサークルの公演だったのだが。いまだかつてまともに芝居を観たことがない自分にとって、レベルの高さの指針というかそういうものはないわけだから「上手さ」は良く分からないのだが、レベル高かったです。正直驚きました、いやはや。このぐらいのレベルは当たり前なんだろうか…ちょっと興味あるところ。

さすがに一人ではなんなので(?)学類の友人と行ったのだが、日本において演劇で表現することの難しさについてちょっと興味深い話を聞いた。それは、日本人特有の保守主義からくる普段の生活でのリアクションの薄さから来るもので、芝居中で日本人が日本人に演出されて日本人を演じるときは難しいよね、という話し。

芝居だからオーバーリアクションを随所に織り込むのは当たり前なのだが:つまりアメリカだったら普段から大きなリアクションがあるけれど、日本人を演じる芝居だとどうしても不自然=オーバーリアクションになってしまうので、どこで線引きするかが難しいのだと。そうか、テレビで芝居を観るときに感じる不自然さのひとつがそういうことから来るものだとは。確かに今日観た公演だって演劇の歴史でいえば「新劇」に分類されるもので、西洋的な影響を受けているはずだし。

音楽もそうなのか?

2005/07/11

ノバホールにレ・ヴァン・フランセが!

え?「レ・ヴァン・フランセ」がつくばに来るって…!?す、すごい。定期演奏会直前なんだが…木管パート全員必修にして見に行こうか。

詳細情報はこちら(→http://www.e-tsukuba.jp/cgi-local/news/news.cgi?id=1358&userid=89)。

2005/07/08

レコード再生

大学の図書館にギャルド四重奏団のLPと録再MDウォークマンを持ち込んでLPを録音!MDで聴けるようにした。レベル調整などなかなか厄介で、若干音が割れ気味になってしまったのが悔やまれるところ…もしかしたらアンプやプレーヤ側のレベルが大きすぎたのかもしれない。

ところで、レコードをMDへ録音しているときにヘッドフォンをつけレベル調整をしながら録音していたのだが、たまたまヘッドフォンのプラグを外したときにどこからか音が聴こえてきてびっくりした。?と思って音の出どころを探すと、どうやらプレーヤのレコード針の振動が直接聴こえてきているようだ。溝に掘られた振動が直接針から伝わって増幅されているんだ!と、なんだか妙に感動してしまった。

たぶん上の世代の方々にとっては、アンプを通さなくても小さな音が小さな音が聴こえてくるなんて、ごく当たり前の事なのかも知れない。自分が物心ついたときにはカセットテープ、CD、MDが主流になっていたため、変なポイントに驚いたり感動してしまったりするのは時代の移り変わりだろうか、やっぱり。

2005/07/04

サックスの演奏を聴きながら

サクソフォーン演奏の魅力とはなにか?アマチュアレベル~プロの大多数の演奏を聴いての感動は、

1、音色の美しさ、ヴィブラート、音量といった楽器的な側面に感動すること
2、その楽器に乗って耳にやってくる音楽(リズム・メロディ・ハーモニー)に感動すること

というふうに二つに分けられるだろうか。ここで注意したいのは、楽器というのはあくまで作曲家によって創られた音楽を表現するツールの一であるということ。それを踏まえてよく考えたら、今まで色々な演奏を聴いたが、1や1+2の感動はたくさん感じたことがあるが、2の感動だけ、というのは今までほとんど感じたことがないなあ。

演奏を聴きはじめた瞬間にサクソフォーンを聴いている感覚がなくなるような演奏って意外にも?稀なものだ。CDではせいぜい新井靖史演奏のフィオッコ「協奏曲」やハバネラ四重奏団演奏のリゲティ「6つの小品」やドゥラングル演奏の田中カレン「ナイト・バード」くらいか…思いつく演奏が少ない=いかに「サクソフォーンを聴いている」という感覚を持ちつつ演奏を楽しんでいることか!まあそれはそれで良いとは思うけど。

2005/07/03

後輩たちのクヮルテット

7月1日のエントリを読み返してみたら文才の無さに閉口してしまった。セクエンツァ好きの勢いに任せて書いたのがバレバレ…。

所有のクヮルテットCDを10枚ほど後輩たちに貸したのだが、その29期のサクソフォーン四重奏団は手始めにドビュッシー「ベルガマスク組曲」に挑戦するようだ。TSEが2年間取り組み続けて東関東大会第2位まで進んだことで有名な曲だが、その事実を知っている私たちはちょっと手が出せません…何も知らないっていいなあ。どんなクヮルテットになるのだろう。ソプラノ奏者筆頭になかなかの実力者がそろい、傍から見ながら非常に楽しみである。こなれてきたら八重奏でも(!?)。吉田亘編曲の「ブエノスアイレスの春」がやりたいだけなのだけど。

2005/07/01

セクエンツァ雑感

雲井雅人サックス四重奏団のCD「チェンバー・シンフォニー」の発売が9月まで延期されてしまった…ショック!早く聴きたい。

「チェンバー・シンフォニー」の発売と同時に、廃盤扱いだった雲井雅人氏のソロCD「ドリーム・ネット」が再販されるようだ。ジョセフ・カントルーブ「オーヴェルニュの歌第一週」へサクソフォーン+ピアノ+弦楽四重奏という編成でトライしたライヴの録音が収録されているが、編曲の巧みさとサクソフォンの美しさが相乗効果をあげ興味深い演奏となっている(編曲は伊藤康英先生!)。原曲のソプラノ独唱+管弦楽という編成に負けない色彩感豊かな演奏。康英先生自身が演奏しているピアノがまたいい音色を出しているのです。その他、ミュールも録音したバッハ「ブランデンブルグ協奏曲第二番」やグラズノフ「協奏曲」も収録された、話題に事欠かぬCD。

某S氏のブログでセクエンツァ集の紹介がされているのをみて驚いてしまった。「セクエンツァ集(Deutsche Grammophon)」は巨匠ブーレーズ率いるアンサンブル・アンテルコンタンポランのメンバによって、ベリオ作曲による同名の無伴奏作品が演奏された録音(3枚組)。たしか高校のときものすごく欲しくなって、結局高くて買えないでいたところを友人に貸してもらったんだっけ。自分が生まれて初めて聴いた現代音楽が「セクエンツァ」だったもので、この曲に関してはちょっと思うところが多すぎる。

オススメはI,III,V,VIIa,VIIb,X,XI。面白い仕掛けがしてある曲もあり、タネ明かしをしてしまえば…

・トロンボーンのためのVは演奏しながら「Why?」と叫びつづける。
・オーボエのためのVIIaは演奏者の隣でチェロがppppで持続音を鳴らしつづける。
・トランペットと「静かな」ピアノのためのXはペダルを踏んだままのピアノにトランペットの音を共鳴させる。
等々。

サクソフォーンのためにも二曲書かれており、アルトサクソフォーンのIXbとソプラノサクソフォーンのVIIbがある(自分の携帯電話のアドレスに"ixb"が含まれているが、実はアルトサクソフォーンのIXbを小文字に直したものなのだ)。この曲の録音はパリ国立高等音楽院教授のクロード・ドゥラングル演奏によるアルバム「Solitary Saxophone(BIS CD-640)」(絶品!)が手に入れやすい。

高校三年の春、「セクエンツァ」から自身の現代音楽大好きキャリアが始まったのだったなあ…そういえば。この後ベリオの「シンフォニア」にはまり、さらにクセナキス、グバイドゥリナ、デニゾフ、ケージ、シュトックハウゼンに走って、ミニマルのグラス、ライヒ、ナイマンと来て今に至る。