2022/05/29

Georges Goudet演奏のヴェローヌ「ラプソディ」

 再びPastdailyより、Georges Goudet氏演奏のヴェローヌ「ラプソディ」の演奏をご紹介。

https://pastdaily.com/2022/01/23/music-of-pierre-vellones-george-gourdet-marie-claire-jamet-france-clidat-past-daily-weekend-gramophone/

マルセル・ミュール氏のSP録音でおなじみの本作品。極めて私的な話ではあるが、ミュール氏の演奏をはじめて聴いて涙を流して感動したのがまさにそのSP録音であったため、思い入れが強すぎて、他の奏者による演奏についてはまともにコメントすることができない。

だから、というわけでも無いのだが、往年のフランス・サクソフォンの演奏による趣味の良さ、といったものをGourdet氏の演奏からはあまり感じることができず、少々期待外れというか、残念ではあった。タンギングの連続する箇所を、テクニカルな部分をクリアした上で、流暢に、自然に聴かせることがいかに難しいか、という、ミュール氏の偉大さを再認識することとなった。

ピエール・ヴェローヌ近影。

2022/05/28

オシレーション・サーキット(須川氏参加)

東芝EMI他から何枚もリリースされていた須川展也氏本人の名義のアルバムの他、探してみると須川氏の参加アルバムがいろいろと見つかる。特に、1980年代~1990年代前半にかけて、そういった「知られざる」参加作品が多い印象で、当時東京藝術大学在学~卒業後にかけて、様々なシーンで登用されていた須川氏の活躍ぶりが垣間見えるようだ。

今回見つけたのは、盟友(?)磯田健一郎氏が絡んだアルバムで、「セリ・リフレクション1 オシレーション・サーキット(サウンドプロセスデザイン)」という1984年に出版されたもの。ジャンルとしては、アンビエントにいちばん近いかもしれない。夢と現を行き来するような、実体がどこにあるかを掴みかねるような雰囲気が漂う。

須川氏は「ノクチュルヌ」「サークリング・エア」に参加している。「ノクチュルヌ」は1979年の献呈作品だそうだ。「サークリング・エア」では、バリトンで参加している、というのも面白いポイント。下記の音源はLP盤起こしのようだが、LPのプチノイズが妙に曲想にマッチして、意図せず作品の一部となっているかのようにも聴こえる。

2022/05/25

Georges Gourdet演奏のパスカル「ソナチネ」

サクソフォン奏者のジョルジュ・グールド Gerorges Gourdet氏は、マルセル・ミュール四重奏団のメンバ(テナー→アルト)として知られ、また、ベルノー「四重奏曲」やシャルパンティエ「ガヴァンボディ2」の献呈先として名前を見たことがある方も多いだろう。

いくつも放送用録音が残されていることに、少々不思議な感覚を持っていたのだが、当代におけるトップクラスのサクソフォンの独奏者の一人として、ヨーロッパ、アフリカ、アジアにおいて、累計600回以上の演奏を行った(Harry R. Gee著 Saxophone Soloists and Their Musicより)というから、それにも納得させられるとともに、その活躍ぶりはちょっとした驚きでもあった。音楽史等々にも詳しく、ミュール四重奏団に参加した後は、コンサート時の語り部として四重奏団の認知・人気向上に貢献したという。

Pastdailyに、グールド氏が演奏するクロード・パスカル「ソナチネ」の演奏(放送用録音)が紹介されている。往年のスタイルで、まさにミュール氏の演奏を思い起こさせる。

https://pastdaily.com/2020/07/05/france-clidat-and-georges-gourdet-play-music-of-claude-pascal-1958-past-daily-weekend-gramophone/

2022/05/22

ミヨー「Etude poétique, Op.333(またはLa Rivière Endormie)」

ダリウス・ミヨー「Etude poétique, Op.333(もしくは、La Rivière Endormie)」は、ミヨー唯一のミュージック・コンクレート作品。メゾ・ソプラノ、室内オーケストラのために書かれたが、オーケストラの中にサクソフォンが2本含まれている。ジャンルや響きは、なんとも不思議というか、聴いたことの無いような空気感だ。いろいろ調べてみたのだが、作品の成立等に関する情報がほとんど見つけられない。そもそも、タイトルが2つある理由も良く分からない。

下記は、知る限り唯一の録音。「Darius Milhaud voud parle...(Festival FLD 76A。)」というタイトルで、これは「Leur oeuvre et leur voix」というサブタイトル付きの、ミヨーの作品解説集である(解説アナウンスと作品が交互に登場する)。サブスクリプションサービスを使っている方は、"milhaud etude poetique"等のキーワードで調べると、復刻盤を聴くことができると思う。YouTubeにも「La Rivière Endormie」のタイトルで録音がアップされており、同じものだが、再生速度が違う。正しいのがどちらなのかは分からない。

作品解説のトラックを文字起こしして、翻訳にかけてみたが、どうも精度はイマイチな上にあまり面白い情報は得られなかった。ただサクソフォンが録音プロセス上、特殊な扱われ方をしていたことは読み取れる。

私はまずいくつかのカデンツァ、つまり様々な楽器によって演奏される一連のメロディックなフレーズを録音しました。(中略)クロード・ロイの歌詞によるメゾソプラノと、2本のサクソフォンのためのメロディを録音したのですが、最終的にサクソフォンだけで録りました。メロディ、サクソフォンだけ、歌詞などを録音し、それらを総合してモンタージュを作りました。

Irma Kolassiという人物が声楽(メゾ・ソプラノ)としてクレジットされているが、他の奏者は分からない。サクソフォンを吹いている2人は誰だろう(もしくは、多重録音なのだろうか?)。別のトラックに、「世界の想像」も含まれており、そこでももちろんサクソフォンが登場するのだが、奏者は共通だろうか。マルセル・ミュール氏だと言い切るのはやや自身が無い。

ろくなコメントができず不本意だが、ぜひ興味を持った方はもっと調べてみていただきたい。

2022/05/21

デファイエ演奏のドビュッシー「ラプソディ」放送用録音

ダニエル・デファイエ氏が参加した、ドビュッシー「ラプソディ」。マリウス・コンスタン指揮フランス国立放送フィルの有名なErato盤ではなく、ウジェーヌ・ビゴ(1935–1950年にラムルー管を、1949–1965年にはORTFの音楽監督を務めた)が指揮したフランス国立放送フィルの放送用録音。1952年頃の録音とのこと。以前も紹介したが、改めて。

https://pastdaily.com/2014/09/14/daniel-deffayet-with-eugene-bigot-and-the-ortf-symphony-play-music-of-debussy-1962-past-daily-weekend-gramophone/

少しサクソフォンがオンマイク気味に聴こえるが、解釈等の面でこちらも説得力ある演奏。Erato盤の録音は、デファイエ氏の録音の中でもピカイチなものであり、そのフレージングなどある種の到達点を見ることができるが、こちらはこちらでインパクトがある。Erato盤とともに、多くの方に聴かれてほしい録音だ。

この写真は、指揮者ビゴの近影。



2022/05/19

ミヨー「Caramel Mou」

 ダリウス・ミヨーがサクソフォンを取り上げた作品といえば「スカラムーシュ」「世界の創造」だが、その他にもいくつか存在する。

最近知ったのが、「Caramel Mou(ソフト・キャラメル)」という、ピアノソロ、もしくは室内楽のための作品。室内楽編成が、ヴォーカル、トランペット、トロンボーン、クラリネット、パーカッションという編成なのだが、ヴォーカルのオプションとして、Bbサクソフォンが指定されているのだ。"Shimmy"と呼ばれる1920年代に流行したジャズダンスの音楽で、なんともキャッチーで耳当たりが良い。底抜けな楽しさ、愉悦感を得られる音楽だ。そもそも、編成もディキシーだし…。

残念ながら、サクソフォンが入っている録音を見つけられなかったが、こういった作品にサクソフォンが(オプションとはいえ)指定されていることが、ちょっと嬉しくもある。

こちらの動画では、ミヨー自身がコメントしたあとに、バンド演奏(ヴォーカル入り)が始まる。

2022/05/15

デファイエ氏の45回転盤の話

ダニエル・デファイエ氏が録音に参加したウーブラドゥ・コレクションのベースとなる、45回転レコード「Pathé 45 G 1052」の話。サクソフォンとピアノのための小品集(共演はFrancoise Gobet)。

この盤、そもそもデファイエ氏が参加していることを分かりづらくしている要素がある。下図はラベルの写真の抜粋だが、演奏者名が"Deffayet"ではなく、"Defayet"となっていることにお気付きだろうか。そもそも激烈にレアな盤ではあるが、この間違いのおかげで、より発見しづらくなってしまっているのだ。

 

収録曲は、以下。全て合わせても10分程度。のちに、「Collection Fernand Oubradous: Les contemporains écrivent pour les instruments à vent」でランパル、アラール、クルシェ、デルモット、ランスロ、ピエルロ(錚々たる面々だ)の演奏とともにまとめてリリースされるた。その際には「Hommage a A.Roussel」が省かれている。

Rene Vuataz - Incantation
Ivan K.Semeno - Giz-Fizz
Yves Lagaziniere - Ronde
Charles Cushing - Hommage a A.Roussel
René Herbin - Danse