2022/12/31

アメリカ・セルマー工場でのミュールのライヴ録音記録

マルセル・ミュール氏がインディアナ州エルカートのセルマー工場 The Athenian Roomで演奏(1958年2月9日)したときの録音のリストが、下記。ミュール氏の録音の中でも、極めて鮮烈な印象を残す内容だ(特に、最後に演奏されたトマジの演奏…!)。曲間のスピーチも聞くことができる。ピアノはマリオン・ホール氏。残念ながら、ピアノは落ちまくっている。

Johann Sebastian Bach - Sonata No.6
Alexandre Glazounov - Concerto
Enrique Granados - Goyescas
Gabriel Pierne - Canzonetta
Eugene Bozza - Concertino
Alexandre Tcherepnine - Sonatine Sportive
Claude Pascal - Sonatine
Jacques Ibert - Concertino da Camera
Paul Bonneau - Caprice en forme de valse (Encore)
Henri Tomasi - Ballade (Encore)

そもそものアメリカ訪問の目的は、シャルル・ミュンシュ指揮ボストン交響楽団との共演(アメリカ国内ツアー)であった。その時のプログラムは以下。録音も残されている(私が持っているのは、同じく1958年2月9日の演奏)。

Jacques Ibert - Concertino da Camera
Henri Tomasi - Ballade

エルカートのセルマー工場におけるミュール氏。向かって左はConn-SelmerのJoe Artley氏。

2022/12/26

ロジェ・カルメルの、サクソフォンを含む作品

ロジェ・カルメルの作品リストから、サクソフォンを含む作品を抜き出してみた。

サクソフォン界隈では最も有名な「コンチェルト・グロッソ」の他、独奏・四重奏、さらに、サクソフォンを含む室内楽作品(小規模~大規模)が多いことに驚かされる。録音があれば聴いてみたいものだが…。

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Divers chants d'hiver Arrangement Roger Calmel -Chanson du pêtre -Dans les sentiers (Canada) -Berceuse russe -J'entends une chanson (Allemagne) -Que la musique (Haëndel):Chœur à 1 voix/ Fl/Ht/Bon ou Saxo/Cor/Trp/Timb/Cordes

Liberté (cantate) texte de Daniel Duret , Paul Eluard:Bar solo/SATB/ 1ère formation Fl/Ht/Cl/Bon/Piano 4 mains 2e formation Quatuor de saxos/Piano 4 mains

Sonate d’automne pour saxophone alto et piano:Sax alto/Piano

Liberté (cantate) Textes de Daniel, Paul Eluard:4e formation : Bar. solo/ S.A.T.B./ 2.2.5.1./ Sax.S.A.T. Bar./ 2.2.2.0./ 2cornets. 1Bugle sib. 1Bar.sib.1Basse sib./ Tb Cymb./ 1Cb.

Quatuor de saxophones:Sax SATB

Quatuor méditerranéen (IIe):Sax SATB

Sept Séquences pour Quatuor de Saxophones:Sax SATB

Suite pour Saxophone et Piano:Saxophone Alto et Piano

Trois incantations Tibétaines:Quatuor d'anches Htb / Cl / Saxo / Bon

Nocturne pour saxophone alto mib avec accompagnement de piano:Saxo alto/ Piano

Choralies pour orchestre d'harmonie:Picc/Fl/Ht/4Cl/Bons/Saxos ATB/Bugles/CornetsTtrp sib/cor la/Tromb/TubaCcb sib/Timb/Perc (Cymb susp/C.claire/triangle/2 Toms

Le Sous-Préfet aux champs Ouverture de concert d'après le conte de Daudet:Pic/2Fl/Petite Cl/CL solo/Cl/Cl basse/Ht/Cor anglais/Bons/Sax SATBar/Trp/Cornets/Cors/Trb/Saxhorns/Perc.

Ouverture lyrique pour orchestre d'harmonie:2Fl/hT/Bon/Sax S/A/T/Bar/B/Trp/Cor en fa/Trb/Saxhorns

Prélude, danse, choral pour formation d'ensemble orchestral (Flûte-Hautbois-Petite clarinette-clarinette-saxophones-cl basse ou basson ou saxo baryton ou cello-percussions):Fl/Ht/Petite Cl/Cl/Saxos/Cl basse ou Bon ou Saxo bar ou Cello/Perc

Concertino pour saxophone alto et ensemble instrumental:Fl/Ht/Clsib/Bon/Cor/Trp/Tromb/Cb/Perc (timbales/xylo/gong)

Concertino pour saxophone alto et orchestre de chambre:saxo alto solo/fl/cl/cordes/pian

Concerto de catalogne:Fl/HtBon/Cl basse/Saxos ATB

Concerto flamand pour saxophone alto, trompette solo, percussions soli et orchestre d'harmonie partition en ut:Saxo/Trp/Perc soli/Orch. d’harmonie

Concerto grosso pour quatuor de saxos et orchestre à cordes:Saxos SATB soli/Cordes/Perc

Concerto grosso pour quatuor de saxos et orchestre d'harmonie (cf Concerto grosso pour orchestre à cordes):Sax SATB/orchestre d'harmonie)

Actus tragicus Ballet, Argument de Michel Conte:fl/cl/sax mib/cor/trp/piano/perc/2vls/2cellos/cb

Cette nuit là Musique de scène sur un poème de François Perche:Vl/Fl/Cl/Cor anglais/Saxo alto/Cor/Cl B/Perc

Le Jeu de l’Amour et de la Mort Opéra Texte de Romain Rolland:7 soli/SATB Picc/Fl/Ht/Cl/Sax/Bons/Cors/Trp/Trb/Tuba/Cordes/Tim/Cymb/G.C/Gong

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2022/12/25

ロジェ・カルメルのバイオグラフィ

ロジェ・カルメルの公式サイトに載っていたバイオグラフィを翻訳してみた。

http://www.rogercalmel.com/

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ラングドック地方のクリサンで生まれたロジェ・カルメルは、ベジエ地方で最初の音楽教育を受けた。1944年、パリに行き、セザール・フランク音楽院で作曲を学んだ後、パリ音楽院に入学し、オリヴィエ・メシアン(美学)とダリウス・ミヨー(作曲)のクラスを受講した。その後、Studio d'Essais de la Radioにて、ピエール・シェーファーの下で研鑽を積んだ。

1958年サクソフォーン四重奏とオーケストラのための「コンチェルト・グロッソ」でパリ市第一位、1959年フランス国家勲章第一位、1960年ディボンヌ国際作曲コンクール大賞、ゴセック賞、1976年フランス学士院室内楽大賞など、重要な賞を受けている。この頃、ロジェ・カルメルは、多声や調性を否定しない独自の語法によって、彼自身の音楽的個性を強く主張するようになる。

1963年、RTFの教授に任命され、1979年から1991年まで、パリ14区にあるダリウス・ミヨー音楽院で教鞭をとった。1991年から1998年まで、パリ市立音楽院の審査員を務める。こうした教育的な活動が影響し、1980年代以降、「A Cœur Joie」運動やさまざまな音楽祭、合唱団の依頼で、多くの声楽作品を書くことに活動の大部分を割くようになった。このことは、作曲語法の変化のきっかけとなり、多声を、独自の手法で注意深く扱うような清冽な作品が数多く生まれた。

多くの現代作曲家がそうであるように、ロジェ・カルメルのアプローチは常に「よりシンプルであることを志向する」傾向を持っているのだ。

2022/12/21

INA Archiveに存在するシュミットの録音

FlorentSchmitt.comに、面白いリストが掲載されていた。どのように整理したかわからないが、フランス国立音声・映像アーカイブこと"INA"に存在しているシュミット関連の録音のリストを見ることができる。

https://florentschmitt.com/florent-schmitt-listing-of-broadcast-performances-of-compositions-housed-at-the-ina-archives-french-national-radiotelevision/

サクソフォンに関係するものは、以下の4つ。カッコ内は放送年であろう。

Légende, Op. 66; David Vincent, saxophone (1997)
Quartet for Saxophones, Op. 102; Quatuor Piacere (1983)
Quartet for Saxophones, Op. 102; Quatuor Ars Gallica (1986)
Saxophone Quartet, Op. 102; Quatuor Marcel Mule (1955)

2022/12/18

Jacques DeslogesのUn bon petit diable

Guy Luypaerts「Un bon petit diable」という作品の、Jacques Desloges氏の独奏、Pierre Bigot指揮フランス国家警察音楽隊の演奏。フランス国家警察音楽隊は、Desloges氏がサクソフォン奏者として所属、後に指揮も務めることになったバンドである。

アルト・サクソフォン吹奏楽とのための作品としては有名な作品のようで(もともとは、アルト・サクソフォンとピアノ、もしくはフルートとピアノ、という編成向けに書かれている)、他の演奏もいくつか見つけられたが、Desloges氏の演奏は実に軽快で、明るい音色も相まって楽しい気分にさせられる。

フェルナン・ブラシェと、クラリネットを持つポラン、テリー

クラリネットを持つ、アンリ=ルネ・ポラン氏(最前列左から4人目)と、ジャック・テリー氏(最前列左から3人目)の写真(ポラン氏のプライヴェートコレクションより)。2枚目の、ブラシェ氏からポラン氏に宛てたメッセージには、1963年5月23日と記載されている。両名とも、キャリア初期には、カーン音楽院にてフェルナン・ブラシェ氏(1886年生まれのクラリネット奏者。ジャック・ランスロの師匠としても知られる)にクラリネットを師事していた。最前列1番右に立つ白髪の男性がブラシェ氏である。



以下、私からポラン氏へのインタビューを抜粋する。

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私はノルマンディー地方の都市、カーンで生まれました。音楽を専門的に勉強し始めたのは、カーンの音楽院です。家から音楽院までは15kmほどの距離がありましたが、自転車で通っていました。

カーン音楽院では、フェルナン・ブラシェ先生に習いました。音楽的に非常に素晴らしい先生で、大きな影響を受けました。彼は、主としてクラリネットを、そしてサクソフォンも少しだけ教えてくれました。しかし、当時クラシック・サクソフォンのレパートリーは少なく、演奏するといっても、せいぜいジャズ程度です。ちなみに、ジャック・テリーに会ったのはこの時です。彼もまた、ブラシェ先生に師事していました。

2022/12/11

1978年、韓国のデファイエ四重奏団

1978年はデファイエ四重奏団が来日した年だが、その来日の前、9月に韓国へと演奏旅行をしている。ポラン氏のプライヴェート・コレクションから、その韓国演奏旅行のプログラム冊子を2点紹介する。

1つ目は、フル・リサイタルで、前半にミュール編他の小品、後半にルジェ、ブーニョ、カルレという重いプログラムを取り上げたもの。東亜日報/放送のロゴが掲載されており、メディア・大使館肝入りの催しだったのだろう。会場はソウルのセジョン(世宗)文化会館。現代では3000席のホールだが、当時はどうだったのだろう。プログラム冊子はハングルでパッと見翻訳できないが、OCRと機械翻訳でざっと読んでみたところ、それほど面白い情報は載っていなかった。








2つ目は、ハイアットリージェンシー・ソウルでのディナーコンサート。グラズノフ、ピエルネ、リヴィエ、ダマーズ、ベルノーと、およそ「ディナーコンサート」には似つかわしくない選曲だが、どのような雰囲気だったのだろうか。後半は、現地のジャズバンド。民謡(アリラン)の変奏曲や、セント=ルイス・ブルースなどの、いかにも、といった内容である。




Jacques Desloges演奏のデュボワ「ディヴェルティスマン」

ジャック・デロージュ Jacques Deslogesは、1934年9月2日パリ生まれのフランスのサクソフォン奏者である。パリ音楽院に学び、1964年にはマルセル・ミュールのクラスで一等賞を得た。その後、1969年にオーケストラ指揮の高等ディプロマを取得した。1975年から2002年まで、ヴェルサイユ音楽院でサクソフォンを教え、種々のコンクールの審査員も務めた。

フランス国立管弦楽団、パリ・オペラ座、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団などの首席サクソフォーン奏者としても活躍。1986年から1992年までフランス国家警察音楽隊の首席指揮者、1995年から1999年までル・ペック市立音楽院院長、2000年から2001年までセルジ・ポントワーズ国立地方音楽院副院長を務めた。

また、1972年から1982年までフランスサクソフォン協会(ASAFRA)の事務局長を務め、サクソフォンや、その音楽的課題、作曲家、レパートリーについて多くの記事を執筆している。

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以上、フランス語版Wikipediaの抜粋だが、そのデロージュ(デスロジェ?)氏の演奏である。Pierre-Michel Le Conte指揮ORTF。ピアノとのデュオ版との、小回りが効いた演奏の印象が強いせいか、やや散らかった感触も受けるが、キラキラと細かい仕掛けが楽しい演奏だ。

ところで、一つ前のトラックには、モーリス・アラールの演奏が収録されている。これも聴きもの。


自身の名前を冠したカルテットの写真。メンバーは以下。

Jacques Desloges ジャック・デロージュ(デスロジェ?), soprano sax
Michel Trousselet ミシェル・トゥルーセル, alto sax
Bernaud Beaufreton ベルナール・ボーフルトン, tenor sax
Michel Lepeve ミシェル・ルペーヴ, baritone sax



2022/12/05

下諏訪のハーモ美術館で演奏

12/4、下諏訪のハーモ美術館・ティーセントホールで演奏した。昨年奈良で演奏したメンバーで、そしてプログラムを少し見直し、一時間半ほどのステージ。たくさんの方にお越しいただき、反応も良く、(緊張もあったが)楽しく演奏することができた。

「Mrs Malcolm, Her Reel」を久々に演奏できたのが嬉しかった。氷置くんが歌う「オー・ソレ・ミオ」は、昨年よりもパワーアップして、共演しつつ、とても驚かされた。

みなさま、ありがとうございました。

ティーセントホールでの演奏は、2013年以来、9年ぶり3回目だが、本当に素晴らしい会場だ。
終演後の記念写真。

2022/12/03

織田英子「東回りの風」第2曲:Zappayの原曲

「Zappy」ではなく「Zappay」だった。

織田英子「東回りの風」の第2曲の原曲について調べており、「Zappy」でいくら探しても見つからなかった。カタカナ書きの「ザッパイ」の語感から、スペルを疑って調べたところビンゴ。自筆譜ないし出版譜のスペルミスがそのまま流布されているのだろう。ルネサンス期スペインの、「Zappay (lo campo)」という器楽曲である。タイトルの日本語訳については、「酒宴」とか「野を耕せ」とか、いくつかの情報があるが、正しい情報を特定できていない。

ジョルディ・サヴァールという古楽演奏家・指揮者の盤の音運びと Capella de Ministrersという演奏団体の和声感が、参考となっているようだ。以下は、ジョルディ・サヴァールの演奏。