ちょっと珍しいCD。毎年夏にフランスのポワティエで開催されているハバネラ・アカデミーの、受講生によるラージアンサンブルコンサートの模様を収録したCD。ハバネラ・アカデミーとは、ハバネラ・サクソフォン四重奏団と周辺のメンバーによる夏のサクソフォン講習会で、主にサクソフォンを専門的に学ぶ学生が参加して互いに技術・音楽性を高め合う機会として、毎年人気を博している。このCDは、2001年8月開催のアカデミーでのライヴ録音ということで、第1回か第2回くらい、かなり初期ではないだろうか。そして自主制作盤だろう…。
「Academie HABANERA Grands ensembles de saxophones(ACADHAB01)」
Claude Debussy - La plus que lente (with Laetitia Duflot)
MIchel Legrand - Quand ca balance
Michel Legrand - Les demoiselles de Rochefort
Antoine Tisne - Hymne pour notre temps
Maurice Ravel - Pavane pour une infante defunte
Piotr Tchaikovsky - Serenade pour cordes - Elegie
Pedro Iturralde - Pequena Czardas (with Quatuor Habanera)
Guillaume Bourgogne, direction
まず目を引くのは指揮者がギョーム・ブルゴーニュ氏であること。ハバネラ四重奏団へのアレンジメントの提供で、たびたび目にする名前だ。収録されているドビュッシー、ラヴェル、イトゥラルデは、ブルゴーニュ氏による編曲である。また、ルグランはフィリップ・ポルテジョワ氏の、チャイコフスキーはジャン=ドニ・ミシャ氏の、それぞれ編曲である。
メンバーについて…ブックレットの中には参加者の名前が書かれているが、日本人らしい名前が2名ほど。Shinji Komori…とはきっとアリオンSQ他で活躍されている小森伸二氏のことだろう。Takayuki Sasakaとは大阪音楽大学出身の佐坂貴之氏のことだろうか。イトゥラルデは、ラージアンサンブルとハバネラ四重奏団の共演。驚いたことに、ソプラノをヴァンサン・ダヴィッド Vincent David氏が担当している!どういうこと??小森さんのブログ記事にも「ハバネラB」として記されていたが…。
ティスネの「Hymne pour notre temps(現世讃)」は、非常に珍しいサクソフォン・ラージアンサンブルのためのオリジナル作品。かつてREMレーベルから出版されていたリヨン・サクソフォン・アンサンブルの録音(聴いたことはない)に収録されていることで名前を知っていたが、まさかこんなところで聴く機会が訪れるとは思わなかった。
さて、肝心の演奏だが、さすがにアカデミー期間限定のアンサンブルということで細かい部分はいろいろとツッコミどころがあるものの(音程とか、音程とか、音程とか…)それなりに積極的な表現もあり、楽しめた。ドビュッシーやルグランの作品はなかなかのもの。ルグラン作品での勢いは爽快だ。逆に、高難易度かつ精緻な作品…ティスネなどはちょっと苦笑してしまう部分もあり。まあアカデミーのライヴ録音であるので、完ぺきを求めるのはちょっと難しいのだろう。また、驚いたのが音色に関して非常にクリーンなこと。「汚い音色」を出している人は皆無で、その辺りフランス周辺のサクソフォンの教育水準の高さを反映しているかのようだ。
ということで、好事家向け。vandorenscoresで買える。おそらく、ヴァンサン・ダヴィッド氏が参加したハバネラ四重奏団(ハバネラB)の演奏は、このCDでしか聴けないのでは(笑)
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