フランスの若手、エリプソス・サクソフォン四重奏団 Ellipsos Saxophone Quartetの3rdアルバムをご紹介。一昨年のワールドサクソフォンコングレスで、ラヴェル「クープランの墓」の、オリジナル・アレンジによる見事な演奏を披露し、一躍注目を集めた団体だ。その「クープランの墓」を含む、意欲的なアルバムである。しかし、Genuinレーベルとは…Sonic Art Saxophone Quartetもここだったが、サクソフォンが好きなプロデューサーでもいるのだろうか。→Amazonでの購入リンク
「Bolero(Genuin gen14543)」
M.ラヴェル - 亡き王女のためのパヴァーヌ
M.ラヴェル - クープランの墓
G.ピエルネ - 民謡風ロンドの主題による序奏と変奏
T.エスケシュ - ル・バル
T.エスケシュ - タンゴ・ヴィルトゥオーゾ
J.フランセ - 小四重奏曲
M.ラヴェル - ボレロ
2013年4月~5月、まだまだできたてホヤホヤのセッション録音。こういった時代にピエルネやフランセを敢えて(敢えて、などとも思っていないかもしれないが)世に問うというその選曲の覚悟に拍手。
最初の「亡き王女のためのパヴァーヌ」は、期待に反してあれ?という感じだが(良くも悪くも普通の演奏、という印象)、続く「クープランの墓」はやはり聴きモノ。「プレリュード」から、ライヴのようなスリリングさの中の見事な連携プレイに惚れ惚れする。それはどの楽章でも同様の印象だが、特に急速楽章での煌めくようなスピード感は、サクソフォンの有利な点を上手く前面に押し出していると思う。第4楽章「リゴードン」や第6楽章「トッカータ」も強烈で、特に「トッカータ」ではこんな演奏ができるのかと関心してしまった。
ピエルネは、意外にも落ち着いている演奏。ミュールやデファイエのようにぶっ飛び系ではなく、着実にアンサンブルを組み立てていく…かといって骨太でもなく、瞬間瞬間に音色をころころと変えていくあたり、音楽的な完成度の高さを窺わせる。意外と録音が少ないエスケシュの2曲も佳演!フランセも、見事。「滑稽なセレナーデ」での流麗さと茶目っ気の同居など、あのトルヴェールQやニューセンチュリーQの録音にも匹敵するかと思ってしまったほどだ。
そして「ボレロ」!フルモーSQあたりがショートバージョンを演奏しているのを聴いたことがあるが、なんとこれは16分に及ぶフルバージョンの編曲!サクソフォン・オーケストラ的なアレンジで(多重録音か?)、演奏・編曲ともども非常に良い仕事をしている。ぜひこれはいろんな方に一度は耳にしてほしい。
最後に件のワールドサクソフォンコングレスでの「クープランの墓」の動画を貼り付けておく。
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