2014/01/13

John Harle "Art Music"

私が大好きなサクソフォン奏者・作曲家である、ジョン・ハール John Harle氏の新譜!いやー、最高だ。

まずは、このアルバムに関連してハール氏が語った言葉を紹介したい。"Music is painting. Music and painting are both about capturing the essence of something. When I see images I hear music at the same time. I paint pictures in music(音楽とは絵画のようなものだ。音楽と絵画は、対象となる何かの本質を掴みとるという点で共通している。私は何かしらのイメージを見た時、同時にそのイメージの中に音楽を聴くのだ。私の作曲作業とは、音楽の中に絵を描いているようなものだ)"

ハール氏はLucian Freud他の手によるいくつかの絵画を選び作曲・演奏・プロデュースを実施。仲間の音楽家とともにアルバム「Art Music(Sospiro Records )」を作り上げた。題材となった絵画についてはSospiro Recordsのアルバム紹介のページから参照可能だ。

絵画とサクソフォンというと、平野公崇氏が読売テレビとともに手がけた「七つの絵~有元利夫に捧ぐ~」を思い出す。あれはオーケストラとサクソフォンの協奏曲だったな。趣はかなり異にするものの、こういった他分野と関連したサクソフォンは、いつも興味深く聴く。成功すると相乗効果で凄い物ができあがるからだ。

冒頭トラックから、ジャンル・フリー、まさにハール氏でしか作ることの出来ない音楽だ!作品も良いが、演奏ももちろん良い…サラ・レナードを始めとした豪華布陣により、素晴らしい作品となっている。「The Arrival of Spring」の壮大さや、「Innocent」の奇妙な音響風景、「Arcadia」のヴァイオリンとの濃密かつスピード感あふれるアンサンブルなど、聴きどころは多い!ハール氏の演奏が好きなら、買って損はない。

もちろんサクソフォンの技巧・音楽性も相当なものだが(「Memory and Imagination」での高速タンギングなど、ハール氏いまだ健在なり!と思ってしまった)、サクソフォンはあくまでも「Art Music」というこのアルバムを作り上げるための一手段であり、サクソフォンのアルバムとして聴き始めると面食らうかもしれない。なかなか日本ではこういった強烈なコンセプトを持つアルバムは作れないだろう…最近では田中靖人氏のモリコーネアルバムがあったが、皮肉なことにあれもハール氏のプロデュースであった。しばらくヘビーローテションしてしまいそう。Amazonでの購入リンクはこちら→ジョン・ハール:アート・ミュージック

参加アーティストは次の通り。

John Harle - Composer, Saxophones, Guitars, Keyboards
Marc Almond - Voice
Sarah Leonard - Voice
Pavel Šporcl - Violin
Steve Lodder - Piano
The Doric String Quartet

トラックリストは次の通り。

Painted Life - Berlin Tango
Painted Life - The Interpretation of Dreams
Painted Life - Memory and Imagination
Painted Life - Painted Life
Arrival of Spring - In the Wood
Arrival of Spring - Angel Eyes
Arrival of Spring - The Arrival of Spring
Innocent
In Nomine
Arcadia - Invocation
Arcadia - Procession
Arcadia - Meditation
Arcadia - Evolution
Arcadia - Dedication

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