昨日は、松下洋くんから依頼を受けてダグラス・オコナーを迎えに成田空港へ。ダグラスと会うのは実は初めてで、2nd JML Competitionの直後にこのページを制作するために何度かメールをやり取りしたとか、Red LineSQのCDを買ったとか、その程度しかコネクションがなかったのだが…まさか日本で会うことができるとは思っていなかった。
アメリカの若き俊英(現在29才とのこと)。JML 2ndで2位、NASAのソロコンペで1位ほか、数々のコンクールに入賞しまくっている。イーストマン音楽学校卒業後、ウィスコンシンの大学にサクソフォンの講師として勤務したのち、現在はNaval Academy Band(Navy Bandと双璧をなす、アメリカ海軍バンドの2大巨頭のひとつ)のアルト・サクソフォン奏者として活動中。クリスチャン・ロバの15番目のエチュード「Worksong」を献呈されたことでも有名(火曜日にはソロリサイタルも予定されているので、ぜひ!)。
…と、まあその経歴をよく知っていたのでなんとなく緊張して出迎えたのだが、とてもフレンドリー&フランクな方だった!心配していた時差による辛さもそれほどないとのこと(海軍のブートキャンプよりはマシだよHAHAHA、という具合)。松下洋くんとの待ち合わせ予定時刻の21時までは時間があったので、Rossoの演奏会があるよと紹介して一緒に伺うこととなった。成田空港から青砥までの道中は、いろいろと話がはずんだ(時折、英語のスキルの問題でうまく伝えられなかったのは残念だが)。楽しかったなー。
前置きが長くなったが。
【Saxofono Rosso 第9回演奏会 ~遠藤朱実先生を囲んで~】
出演:Saxofono Rosso、遠藤朱美(sax)、須川展也(客演sax)、西尾貴浩(指揮)
日時:2013年3月2日(土)18:00開演
会場:かつしかシンフォニーヒルズ・アイリスホール
プログラム:
本多俊之 - 陽だまり
A.ロイド=ウェバー - オペラ座の怪人
長生淳 - パガニーニ・ロスト
F.デクリュック - ソナタ
A.ピアソラ - ブエノスアイレスの春・冬
長生淳 - 八重奏曲
P.クレストン - サクソフォン協奏曲(独奏:須川展也)
P.I.チャイコフスキー - バレエ音楽"白鳥の湖"より
1stステージは小編成アンサンブル。ピアノとカルテット編成で2曲演奏されたが、「オペラ座の怪人」ではピアノに溶け込むような音色が印象的であった。梅沢さん旋律の歌い方うまいなー。名アレンジとの呼び声高き「ブエノスアイレスの春・冬」も熱演。エネルギッシュな部分と大人の音楽な部分を見事に吹き分ける手腕は、凄い。私も、昨年吹いたばかり&今年も5月に吹く予定があるけれど、参考になる表現が目白押しだった。サックス2本とピアノの「パガニーニ・ロスト」は、これは野村亮太さんと大山権之助さんと松浦真沙さんという鉄壁の布陣の演奏で、隙がない清潔感あふれる演奏に驚く。これだけ完璧に吹きこなすのだから、さらにアグレッシヴな表現も聴いてみたいところだ!長生淳「八重奏曲」は第1楽章のみだったが、祝祭的な雰囲気を演出して最終部に向けて疾走する様子は、聴いていてとても興奮する。技術的にもすばらしく、模範たりえる演奏だ。ダグラスも、特にピアソラや長生淳に相当な感銘を受けたようだ。
休憩を挟んで、須川展也氏を独奏に迎えてのクレストン「協奏曲」。独奏、バンドとも熱演!まず須川氏だが、技術的にも音楽的にも感性されているのは当然として、それ以上に感銘を受けたのは、"演奏者"や"音楽家"と呼ぶのは躊躇される、"アクター"とでも言うべき立ち振る舞いだ。サクソフォン奏者は舞台上でどうあるべきか、どう魅せるべきかという、その極地を体現していたと思う。サクソフォンオーケストラも、テクニカルな譜面を高精度で処理しており、さらに西尾さんの指揮にも引っ張られて実にダイナミックな仕上がり。最高のソロと最高のバックだった。ダグラスの興奮具合も相当なもので、連れて行って良かったなと思った。
松下洋くんとの待ち合わせ時刻が迫っていたので、残念ながら第3部は聴くことができなかったのだが、これもまた素晴らしい演奏だったと伝え聞いた。
都営→半蔵門線と乗り継いで、おなじみ、渋谷の串八珍へ。ビール2杯、焼酎1杯、日本酒1杯と、本当に今日到着したとは思えないタフさ。お箸も器用に使いこなして、日本食を楽しむ(ここは料理もなかなかなので、気に入ってもらえて良かった)。松下洋くんを待ちながら食事・海軍バンド・政治・経済まで話が及んだ。
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