2011/10/20

Ensemble international de saxophones "SUNTHESIS"

改めて説明するまでもないが、Ensemble international de saxophones de Bordeauxといえばジャン=マリー・ロンデックス Jean Marie Londeix氏がボルドー音楽院の生徒たちとともに結成したラージアンサンブルである。1977年に結成され、毎年入れ替わるボルドー音楽院の12人の生徒達がサクソフォン(1Sn, 2S, 3A, 3T, 2B, 1Bs)を担当し、ロンデックス氏は指揮を振っている。ロンデックス氏はすでにボルドー音楽院の教授職から退いているが、このアンサンブルは現在でも存在するのだろうか。

そのボルドーアンサンブルのCDだが、これまでに2枚リリースされており、いずれも入手困難な状態である。そのうちの1枚がAmazon.comだったかAmazon.frだったか忘れたが、このCDが中古で売られているのを見つけたときはとても嬉しかったものだ。なにせ、mckenさんのサイトでそのレビューを読んで、ほしい!と思ったのが高校3年生の頃のこと…探し続けて足掛け10年、ついに手に入れた「SUNTHESIS(Quantum QM6901)」だったが、期待通りの素晴らしい内容であった。

Christian Lauba - Les 7 Iles
Michel Fusté Lambezat - Formes Couleurs
Francois Rossé - Spath

ロバ作品は、なんと1988年に川崎で開かれた世界サクソフォーンコングレスでのライヴ録音。ピアニストにYves Josset(J.M.Gouryとの共演でも有名)を迎え、超絶テンションと緊張感で駆け抜ける18分間。このクラスの編成のサクソフォンアンサンブルとしては、間違いなくトップクラスの録音だろう。ちなみに、いわゆる「エチュード」よりも、どちらかと言えば「ルフレ」を熱く激しくしたようなイメージ。

このロバ作品の演奏については、京青さんが送ってくれたプログラムにクレジットが掲載されている。それによると:

Federico Monderci, sopranino…たぶんイタリアで最も活動的なクラシカル・サクソフォン奏者。イタリアサクソフォン四重奏団メンバー。シャンドスにレコーディングされたケックランのエチュード集が有名。
Jean-Michel Goury, soprano…ロバ作品を始めとする現代作品の演奏で有名。いわゆるロバの「9つのエチュード」をCDに全曲録音している。
下地啓二, soprano…国立音楽大学准教授。
Daniel Gauthier, alto…カナダ出身、現在はドイツでAlliage SQのリーダーとして活躍。国際コンクールの審査員も務める。
James Umble, alto…ロンデックス氏の伝記本の編纂者。
William Street, alto…JML国際コンクールのオーガナイザ。
市川豊, tenor…東京サクソフォーンアンサンブル元メンバー。現在は、大井町の青稜中学校・高校で教師をしているそうだ。
Jorgen Pettersson, tenor…この人はすごいですよ。CDが超変態。
上田啓二, tenor…広島文化短期大学講師。
Massimo Mazzoni, baritone…イタリアサクソフォン四重奏団。
Johannes Ernst, baritone…Arte Novaレーベルに録音された協奏曲集が有名。
佐々木雄二, bass…東邦音楽大学助教授。

とまあ、20年を経た現在から考えれば錚々たるメンバーが吹いている。いやー、このソプラニーノがまさか若き日のモンデルチ氏だったとは…とか。ぜひライヴで聴いてみたかった。

他のセッション録音となる2作品も高クオリティの演奏に驚く。1988年12月の録音ということで、コングレスとはさほど離れていない時期だが、残念ながら正確なクレジット情報は記されていない。「Formes Couleurs」での(タイトル通りに)曲ごとに色彩感を変えていくような響きに、特に惹かれた。ロセの、無限回廊にはまり込んでしまったような音世界も、あまりほかでは経験できないものだろう。ロセについては、他のサクソフォン作品を聴いてもイマイチピンとこなかったのだが、そのイメージを払拭するものであった。演奏の素晴らしさのせいもあるかもしれない。

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(追記)

Thunderさんから、コメント欄に情報を頂いた。ぜひご一読を。
元記事で間違っているところを修正しました。

2 件のコメント:

Thunder さんのコメント...

もう1枚のCDというのは日本国内で制作された「CULTURES-SYNTHESIS」のことでしょうかね。私、持ってますので今度お聞かせしますよ。

シャンドスへのケックランのエチュードの録音はモンデルチ氏だったかと思います。ヨハネス・エルンストはArtsレーベルへのコンチェルト集ほかがありますね。
このアンサンブルのメンバーは全員、川崎でのコングレスの後、志賀高原でのセルマーキャンプに現れました。私も参加していたので、夜のパーティなどではカタコトの英語で盛り上がったもんです。ちなみにモンデルチ氏はイタリアのサクソフォン協会の代表で、次期コングレス(1992年)をイタリアに招致するというミッションを持っての来日でした。ご存じのとおりそのミッションは無事成就しています。

細かいことですが下地啓二氏は現在は准教授です。市川豊氏は現在は大井町の青稜中学校・高校という私立校の先生をしています。

kuri さんのコメント...

Thunderさん

貴重なコメントありがとうございます!

> 「CULTURES-SYNTHESIS」
そうです!ぜひお願いします(^^)ミヨーの「屋根の上の牛」などが入っていたような…。

エルンスト氏の記述、下地氏の記述等は修正しました。ご指摘ありがとうございます。エルンスト氏&Thunderさんといえば、ラヴェルの「四重奏曲」エイプリルフールネタのことを思い出しました(笑)。

モンデルチ氏来日の目的、なるほど、そういったことだったのですね!ロバ氏がサクソフォンキャンプに来たというのも、この年なのでしょうか。