ということで、山梨まで加藤里志さんのリサイタルを聴きに伺った。山梨といえばほうとうと温泉、そして加藤さんのリサイタル!!(ん?)
11時ころに最寄り駅を出発し、まずは甲府へ。"小作"甲府駅前店にて、ほうとうを堪能した。野菜の旨味と味噌味が見事にマッチした南瓜ほうとうが、実に美味。知らなかったのだか、けっこうな有名店のようで…15:00近くに入ったにも関わらず、なかなかの混雑っぷり。続いて、リサイタル会場最寄り駅となる塩崎へ移動。富士山の景観を楽しみながら丘陵地帯を散策し、日帰り温泉"湯めみの丘"へと伺った。源泉かけ流しで、まろやかな泉質を楽しんだ。露天風呂からは、東に富士山、西に太陽が輝く。南アルプスの山の端へとまさに沈みゆく太陽を、温泉に浸かりながら眺めるという贅沢な時間を過ごした。
山梨といえば、長野に帰省するときにいつも通るのだが、じっくりと滞在するのは初めてだったかも。車で来れればもっといろいろ楽しめそうだなあ。温泉というと、長野出身の私としては対抗意識を持ってしまうのだが…(笑)
さて、加藤さんのリサイタルである。ご出身が山梨だそうで、2009年にも山梨でリサイタルを開いており、今回が二回目だそうな。この立地、この会場の広さ(500席)にしては、なかなかの盛況。地元で開くリサイタルって、普段は見えないその人のパーソナルな一面が感じられて、なんだか素敵ですよね。"月の光"をテーマにしたという、コンセプチュアルなプラグラム。詩の朗読や照明やプロジェクタも使いながら、物語のようにコンサートが進行していった。
【加藤里志サクソフォンリサイタル「月の光」】
出演:加藤里志(サクソフォン)、羽石道代(ピアノ)
日時:2011年10月16日(日)18:00開演
会場:山梨県甲斐市「双葉ふれあい文化館」
料金:大人2000円、学生1000円(全席自由)
プログラム:
G.フォーレ - 月の光
C.ドビュッシー - 艶やかな宴
B.マントヴァーニ - 霧雨の狂
C.ドビュッシー - 小組曲
C.フランク - ヴァイオリン・ソナタ
フォーレの「月の光」とドビュッシーの「艶やかなる宴」は間断なく演奏された。温泉に入ったあとのリラックスした身体に染み入る美しい旋律。広い会場に響き渡るサクソフォンとピアノ。実に贅沢な時間であった。ホール後ろに映し出される幻燈が、えもいわれぬ雰囲気を助長していた。
ブルーノ・マントヴァーニの「霧雨の狂」は、聴いたことが無いような演奏であった。冷徹で、音符の一つ一つに至るまで丁寧に計算し尽くされた演奏は、近代フランス…ドビュッシーの流れのなかに置かれてもなんら違和感を感じない。いろんな解釈が可能な作品で、燃さかるような演奏や、光輝くような演奏はこれまでに経験したことがあったが、このまさに月の光を感じさせるタイプは初めてだった。
ドビュッシーの「小組曲」は、まるで古楽器で演奏されるような様式美を感じさせる。ここで加藤さんは、サクソフォンという存在を消し去り、ただひたすらにドビュッシーの和声と旋律を紡ぐことに意識を傾けていた(たぶん)。
休憩後のフランクは、名演奏と呼ぶに相応しい。この曲って、人生の酸いも甘いも知り尽くした演奏家が奏でるところにこそ魅力を感じるのだが(そもそもそういう曲ですよね)、なぜかそのような人生の悲哀を感じさせるような。。。加藤さんの人生経験が豊富なのか、ピアノの羽石さんの人生経験が豊富なのか(笑)というくらい、"素敵な"演奏であった。うーん、不思議。
アンコールはたぶん東京公演でも共通なので書くのを控えるが、「やっぱりこれがないと!」という1曲と、加藤さんの名前にちなんだ1曲が演奏された。最後の曲では、なんとなくホロリとさせられてしまった。うーむ、フランクのあとにこの選曲とは、センスが良すぎるぞ。
演奏会後は鈍行でトロトロと帰ってきたのだが、電車が遅れて帰りついたのは0時を回ってしまった…(苦笑)。
来週は東京公演。この日はいろいろと演奏会日程が被っているのだが、ご興味ある方はぜひ。私はなめら~かに行きます。
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