ということで、ボーンカンプ氏のページで(mp3形式にて)無料配布されているCDのご紹介・第2弾。こちらは、今まで持っていなかったCDで「Hot Sonate!(Vanguard Classics 99092)」というタイトルが付けられているが、これはもちろんシュルホフの「ホット・ソナタ」から取ったタイトル。その「ホット・ソナタ」を始めとして、フランス作品以外の、なかなかに尖った曲目が取り上げられている。
Erwin Schulhoff - Hot Sonate
Edmund von Borck - Introduction et Capriccio
Karl Husa - Elegie et Rondeau
Marcel Mihalovici - Chant Premier
Jeno Takacs - Two Fantastics Opus88
このプログラムはどうだろう!ドイツで先走りすぎて迫害されたシュルホフ、ラッシャーと縁が深いボルク、言わずと知れたフサの傑作、第2回のJML国際コンクールではひと騒動あったミハロヴィッチの「シャント第一番」、ジャズの影響を大いに受けたタカクス、と、このCDのレコーディングが1996年ということを考えると、ボーンカンプ氏自身、かなり広く・深くサクソフォンのレパートリーを研究していることが伺える。
演奏も最高。サクソフォンもイケイケ系な上に、ピアノにイヴォ・ヤンセン氏(ボーンカンプ氏といったら、ピアノはヤンセン氏と決まっているのだ)を迎え、サクソフォンとピアノの室内楽としてもレベルの高い演奏を聴かせる。シュルホフから飛ばしまくりで、これはCD一枚をコンサートとして聴くもできるだろう。
フラジオ音域を駆使したボルク作品は、献呈先こそ明確でないものの、ラッシャーを意識して書かれていることが判る。ラッシャーに献呈され、ベルリン・フィルとも演奏されたという「協奏曲」が1932年の作曲、この「序奏とカプリツィオ」が1934年だということからも明らかだ。フサの「エレジーとロンド」は、なぜか非常に瑞々しい演奏だと感じた。普通この曲の演奏をマクドナルドのハンバーガーとするならば、この演奏はモスバーガーか(?)。
ミハロヴィッチでは、ボーンカンプ氏がテナーサクソフォンを吹きまくる。一筋縄ではいかない高難易度の作品だが、さすがの演奏だ。最近のトレンドである軽やかなテナーサクソフォンとは違う、質量のある音色・音楽性で迫ってくるが、特に冒頭の呪術的な部分の濃厚な演奏が鳥肌モノ。そして、最後のタカクス「2つの幻想」は、最終楽章でのジャズ風の息つく間もない畳み掛けはブラヴォー!である。
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