2011/04/23

AureliaSQ plays Desenclos

デザンクロの「四重奏曲」を、一年に何度か、ふとした瞬間に聴きたくなることがある。普通はここで、木下直人さんがLPからトランスファーしてくださったデファイエ四重奏団の復刻盤を聴くのだが、今日はアウレリア四重奏団の演奏を取り出してみた。アウレリア四重奏団は、アルノ・ボーンカンプ氏を始めとする名手が参加した、オランダの代表的な四重奏団である。

あまり「曲」を聴く感覚では聴けない。楽譜にもないような表現を臆すること無く盛りこんできて、そのアグレッシヴさ頭が引き寄せられる。スラーやアーティキュレーションの付け方も、あれ?こんなんだったっけ?と思いながら聴き進めるのだが、不思議といやらしい感じはない。むしろその積極的な表現に賞賛を送ってしまいそうになるくらいなのだ(ちなみにこのCDに収録された曲はどれも、程度は大小あるものの全部こんな感じ)。技術的に洗練されているというわけでもなく、なんだかヴィブラートがぶら下がり気味だったり、音が割れていたりなのだが(これでゴーサインを出すプロデューサーというのも面白いな)、それも魅力のひとつのように聴こえてくる。

聴いているうちに、ようやくデザンクロの「四重奏曲」そのものを聴けるようになってくる。第1楽章の主題の旋律線、和声、シンコペーション、そして夢のように美しい再現部…このありあまる天才性はどうだろう(かずある四重奏曲のなかで、最高傑作と躊躇なく断言したい)。第2楽章の、穏やかに始まって徐々に高揚していくその構成感。第3楽章は他の2つの楽章にくらべやや短絡的な感じもするが、多面的な技法が織り込まれ、楽しいことに間違いはない。

私自身の高校~大学前半にかけてのサクソフォン演奏は、この曲とともにあった。第3楽章を2回、第1楽章を1回、吹奏楽連盟のアンサンブルコンテストに向けて取り組んだ経験があり、聴くたびにワンフレーズ、ワンフレーズ、練習した内容とか、レッスンで指摘された内容を思い出す。

ちなみにこのCD、私が持っているのはすでに廃盤となっているEtcetera盤なのだが、さいきん再発し、お得な2枚組セットで売られているようだ。お持ちでない方はぜひ。

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