しかし、あまり知られていないが、フランセのサクソフォンのための最大の作品に、「Paris, à nous deux!」と呼ばれる小オペラがある。これは、1954年に書かれた、3人の独唱者、合唱、そしてサクソフォン4重奏という、極めて珍しい編成のために書かれたオペラである。
で、今回、木下直人さんに送っていただいた、復刻盤がその「Paris, à nous deux!」の収録されたLPなのだが…。
…。
……。
………。
…………じゃん!!

Geneviève Touraine, La Maitresse de maison
Michel Senéchal, l'Arriviste
Bernard Lefort, Le Cicerone
Minou Drouet, l'Enfant prodige
La Chorale Marguerite Murcier, Les invités
Le Quatuor de Saxophones Marcel Mule
な、な、なんと、マルセル・ミュール四重奏団!!あまりに驚いて、このクレジットを見たときに、ひとりで大声を上げてしまった!まさかミュール四重奏団の、こんな録音が存在するなど、夢にも思わず…。もちろん「Marcel Mule: Sa vie et le saxophone」にはリストすらされていないものであり、いったい世界で何人が、こんなところにミュール四重奏団の参加した録音があることを知っていただろうか!
レーベル等からいまいち録音年が掴みきれないが、Le Quatuor de Saxophones Marcel Muleと名乗っているということは、1951年~1967年の間であるということは間違いない。この期間にはメンバー編成が一度変わっており、次のような変化があったのだが、どちらの時期の録音なのかはよくわからなかった。
1951~
Marcel Mule, saxophone soprano
André Bauchy, saxophone alto
George Gourdet, saxophone ténor
Marcel Josse, saxophone baryton
1960~
Marcel Mule, saxophone soprano
George Gourdet, saxophone alto
Guy Lacour, saxophone ténor
Marcel Josse, saxophone baryton
演奏だが、フランセならではのキラキラしたエスプリの宝庫から、サックスの音色があちらこちらに飛び出す!といった趣で、実にすばらしい。楽譜上では技巧的にも非常に高いものを要求しながら、ミュール四重奏団はその高難易度の譜面を軽々と吹きこなすどころか、ユーモアを確実に引き出して聴き手に伝えてくれている。ときに歌い手のバックグラウンドにまわりつつも、部分部分では明らかに主役となっており、フランセという点だけでなく、サクソフォンという点でも、実に聴きごたえがあるものだ。…いや、本当に素晴らしい!この録音を発見した木下さんの探究心には、(毎度のことながら)頭が下がる思いだ…。
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そういえば、フランセの遺作となったのも、声楽とサクソフォン、ピアノという編成の「Neuf Historiettes」という作品なのだった。亡くなった同年に書いたもので、こちらは声楽のバリトンと、テナーサックス、ピアノという編成。このページから試聴できるが、全部聴いてみたいな。
2 件のコメント:
Paris, à nous deux! はNetherland Saxophone Quartet(オランダ・サクソフォン四重奏団)のLPを昔から持っていたので知っていましたが、ミュールQの録音があるとは知りませんでした。ちょっと聴いてみたいですね。
> Thunderさん
メール送っておきましたー。そのLP、eBayで見たりして存在は知っていましたが、作曲者名しか表示されないので、「小四重奏曲」が入っているものばかりと思っていました。
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