日本以外の東アジア…たとえば中国や韓国は、世界のクラシック・サクソフォーン界から見ると、普及は比較的後発だったよう。しかし最近はサックス関連の教育制度も整い、世界レベルの奏者を輩出することもあるようだ。クロード・ドゥラングル教授率いるパリ国立高等音楽院のクラスも、中国へのツアーを行ったというし、世界的にも期待されているんだろうな。
そんなアジアのプレイヤーのなかに、ケネス・チェ(ツェ?)Kenneth Tse氏という中国出身のサックス吹きがいる。香港に生まれ、母国の音楽大学を卒業の後、インディアナ大学でユージン・ルソーに師事。アメリカで幅広く活躍して、現在はアイオワ大学のサクソフォーン科教授を務めているという。
RIAXというレーベルから出ている「Sonate(RIAX RICA-2002)」というCDをたまたま聴いて、ものすごい実力者だということを知ったのがきっかけ。まず音色が良い!…マズランカの「ソナタ」を録音しているのだけれど、一聴してどんな難所でもニュートラルな音色がとても印象だった。
アルトサックスはもちろん、ソプラノサックスによるサン=サーンス「ソナタ」もとにかく綺麗な音色で、ルソー門下だということに納得。生の音を聴いてみたいなー。
こんなすごいサックス吹きが出てくるとは…20年後、30年後のアジアのサックス界は、もしかしたら世界一になっている…かもしれませぬ。今後は、外国に留学した奏者がどれだけ母国に戻るか…つまり教育基盤の強化具合にかかっていると思う。
さて、そんなアジアを代表するチェ氏の音はアルバム「Sonate」で聴くのがまずオススメ。これは手に入りやすいうえに、安価、内容も充実と大変よろしいです。また、チェ氏のWebページ(→http://www.kenneth-tse.com/)ではその他のアルバムも扱っている…これまた楽しそうなCD!ということで、数枚買ってしまいました(^^;届くのが楽しみ。
また、Webページの左のメニューから選べるMedia LIVE!では、香港ウィンドフィルハーモニーとクロード=トーマス・スミスの「ファンタジア」を共演したときのライヴビデオが観られる。けっこうオススメ。うむむ…少なからず難しい曲のはずなのに、恐ろしく余裕な演奏だ。
ラーシュ=エリク・ラーションの「協奏曲作品19」をアイオワ大学の学生オケと入れたCD(ライヴ盤)もあるそうで、こちらも興味深い。
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