2006/09/15

原博巳氏のアルバム

ようやく聴いた、原博巳氏のセカンドアルバム「PCF(Cafua CACG-0067)」。原さんの演奏はフェスティバルやコンサート等、生では何度も聴く機会があったけれど、実はCDを買うのはこれが初めて。ブートリー、デニゾフ、棚田あたりに惹かれて買ってみた。

セルマーのサックスにヴァンドレンのマウスピース(たぶん)から出てくる音色は現在のトレンド。温かみをきちんと残しつつも、要所々々でキレのある音色の変化をこなすあたりはさすがだと思う。そして限界を知らないテクニックと、それだけでない「音楽」の圧倒的なうねり。これが国際コンクール優勝の実力…!

もちろん棚田やデニゾフは名演に違いないけれど、一曲あげるとしたらデュクリュック「ソナタ」。第2、3楽章の抜粋である「アンダンテとフィルューズ」の名でも良く知られた、四楽章からなる嬰ハ長調のソナタ。弱音で奏でられるノン・ヴィブラートの音色がピアノの上にすっと伸びていく様が、ひたすらに美しい。原さんの持っている弱音の美意識と曲想が完全にマッチし、かなり説得力ある演奏に仕上がっている。ドゥラングル氏の演奏も持っているが、個人的にはこっちのほうが好きかもなー。

今度はコンチェルトとか、さらに規模の大きな大曲を収録してほしいところだが…日本ではさすがに厳しいか…。いやいや、ぜひぜひ。アドルフ・サックス国際コンクール本選で演奏したラーションとか、聴いてみたいなあ。

スケールの大きな演奏をするあたり、オーケストラを従えたときにかなりいい演奏をしてくれるのではないかと思い込んでいるのだけれど。

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