2011/06/07

J.S.バッハ/伊藤康英「シャコンヌ」サクソフォン四重奏版

先日のTsukuba Saxophone Quartetの演奏会で吹いたJ.S.バッハ/伊藤康英「シャコンヌ」について簡単に書いておきたい。

ご存知のとおり、ヨハン・ゼバスチャン・バッハ「無伴奏ヴァイオリンパルティータ第2番」の終曲"シャコンヌ"を康英先生(伊藤康英氏のこと、大学時代に所属していた吹奏楽団は伊藤康英氏と縁が深かったため、こんな呼び方をしていたのだ)がサクソフォン四重奏のために再構成したアレンジである。雲井雅人サックス四重奏団の第4階定期演奏会に合わせて書かれ、2005年9月29日に津田ホールで初演。私も聴きに行っていた。

康英先生は、かつてバッハ「シャコンヌ」のフェルッチョ・ブゾーニによるピアノ版を吹奏楽用にアレンジしている。トロンボーンの和音から始まる、非常に実験的なアプローチが印象的なアレンジである。サクソフォン四重奏版も、特に明記されてはいないもののブゾーニ版をベースに再構築したのは明らかであり、おそらく吹奏楽版のアイデアもかなり含まれているのではないだろうか。さすが康英先生、"作曲"とほぼ同レベルの創造作業を経たスコアは、オリジナルとしてサクソフォン四重奏のために書かれた、と言ってしまいたいほどの魅力に溢れている。

雲井雅人サックス四重奏団の実演は、それはそれは素晴らしいもので、今でもそのときの音を僅かながら思い出すことができるほどだ。もちろん、アレンジの素晴らしさにも感激してしまい、さらにちょうど四重奏のレパートリーを探していた時期にぶつかったりで、10月3日には康英先生に宛てて最初の出版依頼メールを送っている。結局楽譜の準備が整ったのは2006年の4月。その後すぐに楽譜を購入したのだが、あまりの難しさに、ずっと(5年間も!)取り上げられないでいた。

ようやく練習を開始できたのが2010年、その後、2010年9月のカット版(Major Keyの変奏をまるっとカット)の演奏、2011年2月協会コンクール提出用の録音(Major Key開始の直前まで)を経、2011年3月21日の日本サクソフォーン協会第8回アンサンブルコンクールの演奏に向けて全曲の練習を続けていたが、コンクールは中止となった。結局、先日の演奏会で初めて全部演奏できた、ということになったのだが、実に5年以上を経ているわけで、感慨深い。


今では、Amazonからもこのアレンジを購入できるようになっている。(→バッハ作曲・伊藤康英編曲/シャコンヌ ~サクソフォーン四重奏のための

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