2009/07/05

Eduard Tubinの交響曲集より

ノルディックサウンド広島で買ったCD、その5。全部で5枚買ったので、これで最後です。

エドゥアルド・トゥビン Eduard Tubinという作曲家の名前をご存じだろうか。いや、私もノルディックサウンド広島で初めて知ったのだが、エストニアに生まれた作曲家なのだそうだ。エストニアの作曲家というと、バリバリ活躍中のエルッキ=スヴェン・トゥールが真っ先に思い浮かぶものだが、20世紀前半から中後期にかけて活躍した作曲家がいるとは知らなかった。第2次世界大戦中にスウェーデンに亡命し、活躍する国が変わったこともあって、注目度はそれほど大きくなかったようだ。しかし、10曲もの交響曲を手掛けるなど、エストニア生まれの史上最大の作曲家と呼ばれているとのこと。

作風は、初期のにはエストニアの国民楽派といった風であったが、戦後何年かして徐々にインターナショナライズドされていったという。そのトゥビンが1952年から1954年にかけて作曲したのが「交響曲第6番」。そう、今回ご紹介するのはその交響曲第6番が収録されたCDだ。演奏は、Arvo Volmer指揮Estonian National Symphony Orchestra。

交響曲第6番は、トゥビンが作風を変化させる契機となった作品である。主としてジャズからの影響を受けており、作曲者自身の言葉によれば「ジャズは"シリアス・ミュージック"をいつか席巻してしまうのではないか」という恐怖のもとに、筆を進めたのだという。

ややミステリアスなオーボエの旋律から導入される第1楽章、弦楽器の単一リズムの上を木管楽器が物悲しげに歌いはじめる。この導入部分だけでもビビビとくるが、一つの花火が打ちあがったのちにテナーサクソフォンによって「a sad song」が提示され、オーケストラ全体が強烈なリズムによって支配され始める。いったん落ち着いてピアノとサックスのみで演奏されるセクションを経て、冒頭の印象が回帰、さらに続く弦楽器の強奏部分はトランペットの一撃を伴ったセクションによって打ち止めをくらい、そのままクライマックスへ。再びサックスが現れるが、冒頭部を連想させるオーボエが鳴り響くと、いつの間にか波が引くように曲は終わってしまう。

第2楽章は、最初の金管楽器と弦楽器の短い呼応を経て、ルンバのセクションへ!!これがめちゃくちゃかっこいい!はじめて聴いたら、楽器法こそ違えど、黛敏郎の曲と見まごうばかりかもしれない。中間部では、音量こそ下がることもあるが、リズムはずっと根底に流れており、フルートが「nothern lights」の主題を奏でると、またすぐにルンバが始まる。第1楽章の主題もちらりと顔を出しながら、強奏部分はどこまでも続き、ここで意外な拍子の変化!これ以降のトランペットが、妙にショスタコーヴィチぽい!ここでまたテンションは途切れて、サクソフォンのソロが三たび強奏部分を導いて、あとは乱痴気騒ぎも良いところ。各パートが、打楽器が刻むそれぞれのリズムの上でそれぞれのテーマを高らかに歌い上げ、まだまだクライマックスは続いて、最後はトロンボーンの5回のダウン・グリッサンドを経て幕。あああ、興奮した…。

第3楽章は、シャコンヌ。3拍子の主題が弦楽器によって提示され、それがさまざまな様式で変奏されてゆく。リズミックな部分あり、ロマンティックな部分あり、ルンバのエコーが聴こえる部分あり、のけぞるほどの超強奏クライマックスあり、サックスが主体となって動く部分あり。たにかくヴァリエーション豊かだ(変奏曲なんだもん、あたりまえか…)。最後の、弦楽器が神秘的に奏でるところなんて、素敵ですね。あー、面白かった(←聴きながら書いてた)。

というわけで、現代風な交響曲としてのできもさることながら、サックスも入っていたりと、とにかく私にとってツボなポイントが多い曲であった。もしかして、サックスが入って、ルンバがあって、シャコンヌが入ってたらなんでもいいのか(笑)。BISから出ているCDを買ってみよう!はまってしまいそうだ。

ノルディックサウンド広島のほか、amazonでも買える(→Eduard Tubin: Symphonies Nos. 3 & 6

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