先週金曜の事となるが、東名高速クインテットの演奏会。確かな技術に裏打ちされた、底抜けに楽しい演奏会。東京と名古屋の俊英が結集した、個性のぶつかり合い!
【The 3rd 東名高速サクソフォンクインテット】
出演:瀧彬友、川地立真、松下洋、上野耕平(以上sax)、黒岩航紀(pf)
日時:2015年11月6日 金曜 18:30開演
会場:アクタス ノナカ・アンナホール
プログラム:
L.v.ベートーヴェン - ヴァイオリン・ソナタ「春」より第1楽章
R.R.ベネット - スタン・ゲッツのための協奏曲より第1楽章
J.M.ルクレール - アダージォ、アルマンド、ジーグ
A.K.グラズノフ - サクソフォン協奏曲
C.フランク - 天使の糧
新実徳英 - サクソフォン・スパイラルより第2楽章
G.ガーシュウィン - ラプソディ・イン・ブルー
→Pia-no-jaC← - 組曲『 』
G.ガーシュウィン/中村節 - ソング・ブック
A.I.ハチャトゥリアン/前田恵美 - 組曲「仮面舞踏会」
旭井翔一 - 女なんて星の数ほどいるさ、星に手は届かないけどね(アンコール)
第一部はソロステージ。四者四様の選曲、そして演奏へのこだわり。共演の黒岩氏(祝・日本音楽コンクールピアノ部門第1位!)の確かなサポートも素晴らしい。松下氏は、サクソフォンの表現を越えようとしたアプローチ。円錐管が持ちえない、全音域にわたる繊細さを表現しようとする選曲とチャレンジが素晴らしい。川地氏は、なんとあの「スタン・ゲッツのための協奏曲」を披露。選曲の妙と、ご自身が持つジャズの素養がマッチし、迫力の演奏だった。瀧氏は、ルクレールのソナタ形式の作品を。丁寧さとともに、バロック作品が持つある種の"狂気"をもはらんだ演奏に引き込まれる。上野氏は、昨年の専攻演奏会でも取り組んだグラズノフ。アンサンブルの面でも、独奏の面でも、絶品といえる演奏を繰り広げた。
第二部は小編成アンサンブルのステージ。フランクの「天使の糧」で、どこまでも美しい響きを追求したかと思えば、新実徳英「サクソフォン・スパイラル」では、アルトサクソフォン2本による未知のサウンドが響き渡った(その昔、サクソフォン・フェスティバルのプログラム冊子に寄せたコメントで、新実氏が「サクソフォンとピアノのソノリテが私の頭の中で溶け合わないので、まずはサクソフォン・デュオの作曲に取り組んでみようと思っている(※正確な文ではなく、大意)」というようなことを書いていたことを思い出した)。続いては黒岩氏ソロのピアノ独奏。まさかのピアノ独奏で「ラプソディ・イン・ブルー」!半端ない超絶技巧、眼前にオケが広がるかのような音の厚みと数だが、ぐいぐいと弾きこなしていく演奏に惹き込まれる。最後は、→Pia-no-jaC←の「組曲『』」を、黒岩氏のピアノと、まさかの川地氏のカホンで、という…黒岩氏のピアノは当たり前のように上手いのだが、川地氏のパーカッションも"サクソフォン奏者の余技"というレベルを遥かに超えたプロフェッショナルの演奏で、驚かされた。
第三部はカルテットとクインテット。ガーシュウィンとハチャトゥリアンと、比較的オーソドックスなプログラムが並ぶと思いきや、ずいぶんと手の込んだアレンジで驚かされる。ガーシュウィンも凄かったが、特にハチャトゥリアンは、冒頭から度肝を抜かれ、終結部まで驚きの連続。原曲の装いはもちろん多く残るが、全く違うエンターテイメント作品に生まれ変わっており、興奮させられた。アンコールは、旭井翔一氏の手によるきらきら星変奏曲こと「女なんて星の数ほどいるさ、星に手は届かないけどね」を、サクソフォン3本、パーカッション、ピアノという編成で演奏して〆となった。
演奏会としては少し長かったが、ヴァリエーション豊かで楽しい演奏会だ。これからもぜひ毎年伺いたい。
終演後は、気心知れた皆様と串八珍にて飲み会。ワインをボトルで3本も空けたような…楽しかった。演奏会打ち上げの座敷にも少し顔を出せて良かった。
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