10/10に本選結果が出たばかりの、第11回国際オーボエコンクール。その入賞者と、審査委員が出演するコンサートを東京文化会館に聴きに伺った。妹がアマチュアのオーボエ吹きで、これを聴くために上京しており、同行させてもらった。
本選結果:
第1位:荒木奏美
第2位:ユーリ・シュマール
第3位:フィリベール・ペリーヌ
審査委員:ハンスイェルク・シェレンベルガー、モーリス・ブルグ、古部賢一、ゴードン・ハント、小畑善昭、アラン・フォーゲル、吉田将
【第11回国際オーボエコンクール・軽井沢 入賞者&審査委員コンサート】
出演:後述
日時:2015年10月12日(月・祝)15:30開演
会場:東京文化会館・小ホール
プログラム:
F.クープラン - 「趣味の融合または新しいコンセール集」よりコンセール第7番(ユーリ・シュマール,ob)
H.デュティユー - オーボエ・ソナタ(フィリベール・ペリーヌ,ob)
J.S.バッハ - 「音楽の捧げもの」より「6声のリチェルカーレ」(アラン・フォーゲル&ゴードン・ハント,ob ハンスイェルク・シェレンベルガー&古部賢一,cor anglais 小畑善昭,bass ob 吉田将,fgt)
細川俊夫 - スペル・ソング -呪文のうた-(フィリベール・ペリーヌ,ob)
J.S.バッハ - オーボエ・ダモーレ協奏曲(モーリス・ブルグ,ob d'amore)
W.A.モーツァルト - オーボエ協奏曲(荒木奏美,ob)
なんと豪華な出演者!サクソフォンの私でも、モーリス・ブルグ氏やハンスイェルク・シェレンベルガー氏、ゴードン・ハント氏の名前を存じており、そういった名オーボエ奏者が一同に会する、というのはコンクール付随のコンサートならではの醍醐味だ。
前半はユーリ・シュマール氏のバロック作品の演奏(2次予選の課題曲)、そして、フィリベール・ペリーヌ氏の近現代作品の演奏(1次予選の課題曲)を立て続けに聴く。普段サクソフォンを聴いて吹いている以上、どうしても比較のような聴き方をしてしまうのだが、数倍も繊細なコントロールと、音色やヴィブラートやさりげないフレージングへの徹底したこだわり…適当に吹き飛ばしてしまう箇所など皆無、という、こだわり磨きぬかれた演奏に魅了された。
第1部最後、審査員が集結して演奏されたダブルリード6重奏は圧巻。最初は"ダブルリード6重奏"という編成名を聴くだけで身構えてしったのだが、出てくる音楽の、なんと優しく美しいこと!和声の美しさ、各声部の絡み合いは、楽器を超えた音楽そのものの魅力だ。いやはや、鮮烈な体験だった。
第2部は、コンクール用に委嘱された無伴奏作品の演奏から。ポルタメントや重音等の特殊奏法を交えた作品で、これは自由度が小さいオーボエならではのコンパクトな響き。"自由度"というのは諸刃の剣なのだなあという思いを強くした。
ブルグ氏は、なんと吹き振り!指揮、舞台上の所作、オーボエ・ダモーレから生み出される音、全てが自然体そのものであった。ブルグ氏といえば、私にとっては本当にCD(LP)の中の人、というイメージしかなかったのだが、そんな名匠が間近で楽器を演奏している姿を観ることができたことに震えてしまったのだった。
最後は、第1位受賞の荒木奏美氏の演奏。シェレンベルガー氏が指揮する群馬交響楽団の演奏も万全のサポート、その上で闊達に(そしてまた楽しそうに)演奏する姿が印象深い。巨匠の演奏が連続する中、堂々たる演奏だった。また、以前、銀座のヤマハホールで聴いた時よりも、格段に表現に自由度が出ている雰囲気。今年、東京交響楽団への入団も決まったとのことで、今後ますます活躍する姿を観る機会が増えることだろう。
ということで、私自身の、オーボエに対する印象をがらりと変えるようなコンサートだった。たまには他の楽器も聴かないとなあ。
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