2014/03/25

Quatuor International de Saxophonesコンサート@アクタス

【インターナショナル・サクソフォン・カルテット・コンサート~宗貞啓二デビュー40周年記念コンサート~】
出演:Quatuor International de Saxophones(ジャン=ピエール・バラグリオリ、ウィリアム・ストリート、宗貞啓二、リチャード・ディーラム、以上sax)、渡辺麻里(pf)
日時:2014年3月24日 18:30開演
会場:渋谷アクタス・アンナホール
プログラム:
J.B.サンジュレ - 四重奏曲第一番
F.ロセ - バラ・ヴァルシグリオリ
二橋潤一 - Carpe diem
D.ショスタコーヴィチ - ピアノ五重奏曲
P.M.デュボワ - りす(アンコール)
H.マンシーニ - ひまわり(アンコール)

宗貞先生からご案内いただき、伺った。"宗貞啓二デビュー40周年記念コンサート"と銘打って(コーディネートしたのは宗貞先生の大学時代の同級生だそうな)、全国4ヶ所でのコンサート・ツアーの、千秋楽であった。諸々の事情でウィリアム・ストリート氏にご挨拶したかった、ということもあり、ちょうど良かった。

開演に少し間に合わず、サンジュレの第2楽章あたりから扉の外で聴く。会場に入って驚いたのが、いつもとステージの前後が逆になっていたこと。今回限定だったのかな…?曲間は、宗貞先生がMCでつないでいた。

実は2012年にサクソフォン・コングレス会場でも聴いているのだが、そのときにも、ロセの「バラ・ヴァルシグリオリ」は演奏されていた。その時に聴いたこのカルテットの印象が脳裏に蘇ってくるのを感じた。

少し話が前後する。この日の打ち上げに参加させてもらった時に、バリトンのリチャード氏が宗貞先生に向けて感謝のメッセージを読んだのだ。その時のメッセージの一節として「僕らは4つの国にまたがる4人の芸術家であり、4つの音、4つのスタイルを持つが、1つの良いものを創り上げているのだ」という言葉があった。また、やはり打ち上げで宗貞先生から伺ったのだが、インターナショナルSQ結成からわずか数年後のこと、リチャード氏が宗貞先生に「ケイジはどんなカルテットにしたいんだ?」と聞き、宗貞先生がそれに答えて「まずピッタリ合っていなければならない」と答えて、さらにリチャード氏曰く「合っていることがいちばん重要なのか?」と、その時に宗貞先生は目からウロコが落ちる思いをしたとのことだ。そして、このカルテットでの演奏がとても楽しい、と。この2つの言葉は、いずれもいずれもインターナショナルSQの演奏スタイルがどのような思想のもとに創り出されているのかを、端的に表しているのだと思う。

独立した4人の集合体、というスタイルはなかなか日本のカルテットでは聴くことができないもので、不思議な温度感(これはバラグリオリ氏やストリート氏の浮遊感のある音色のせいもあると思うのだが)、驚きの連続である。ピアノも入って演奏された二橋氏の作品は、「バロック期に人々の心を捉えていた思想に基づいて作られ」ているそうだが、バロック的な響きはほとんど無く、短いモチーフが現代風に展開されながら曲が進んでいく、という印象。ピアノともども非常に高難易度だが、一気に聴き通してしまった。

それにしても、宗貞先生のテナーサクソフォンの音色のなんと美しく、そして強靭なフレージング感!真似しようと思って真似できるものではない。こういう演奏できる方って、日本でもあまり聴いたことはない。

最後に演奏されたショスタコーヴィチは、パワーあふれる名演奏!合計35分という長時間の作品だが、瞬間瞬間に現れる響きがサクソフォンで演奏された時に、ここまで面白く聴こえるのかという驚きと発見の連続だった。恥ずかしながら初めて聴いた作品だが、この第5楽章の主題と終わり方はクセになりそう(笑)ピアノの渡辺麻里さんも、渾身の演奏であった。

アンコールに、「りす」サクソフォン四重奏版(ロンデックスの目録には書いていないので、オリジナルアレンジかな?)と、再びピアノが入っての「ひまわり」。「ひまわり」はテナー大活躍のアレンジで、感動してしまった。

終演後は打ち上げにもお邪魔させていただき、しっかりと最後まで居座ってしまった。楽しかったなあ。宗貞先生とはもちろんいろいろとお話したが(実はこれまでこうやってゆっくりお話できることはなかったので嬉しかった)、ウィリアム氏やバラグリオリ氏とは、様々に情報交換もできてまた面白いものをこちらのブログでも紹介できそうだ。

HTC J Oneで撮った打ち上げ後の写真。周辺に紫被りが…ちゃんとしたカメラを持っていけば良かった!

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