2014/03/27

東京サクソフォンアンサンブルのCD

mae-saxさんより頂戴したCD。2枚お持ちだったとのことで、1枚を譲っていただいたのだ。この場を借りて改めて御礼申し上げたい。

グラモフォンから出ているあのEducationalシリーズのCDは有名だが、こちらのCDはあまり知られていないのではないかと思う。「アプシル:ルーマニア民謡による組曲 作品90/東京サクソフォンアンサンブル(Andersen ACD-0149)」というタイトルが付けられている。木村牧麻氏のプロデュース、録音年はわからず。録音メンバーは、もちろん結成当初の下地啓二、宗貞啓二、市川豊、佐々木雄二各氏、という布陣。

Paul Arma - Petite Suite
Jean Baptiste Singelée - Premier Quatuor, op.53
Jean Françaix - Petit Quatuor
Jean Absil - Suite sur des thèmes populaires roumains, op.90

全体的な印象は非常に完成度の高いCDというものだが、フランセやアプシルでは「まさか一発録りか!?」と思わせるような箇所も散見され、まるでライヴ録音のようなテンションの高さも含め、音楽の様々な要素…それこそ東京サクソフォンアンサンブルの在り方なのかもしれないが…を、バランス良く捉えているように思えた。

ポール・アルマの作品は初めて聴いたのだが、素晴らしい演奏だ。短い8つの曲から成るが、ダイナミクスやスタイルがきっちりと描き分けられており(ヴィブラートも不必要にかからず、非常に"現代的な"演奏スタイル)、最終曲に向けて盛り上がっていく様はとても興奮させられる。サンジュレは、落ち着いた丁寧な演奏。"規範"という言葉が脳裏に浮かんだ。かといってつまらない演奏というわけではなく、とても音楽的だ。

フランセはちょっと真面目で堅いような気がするが、これも東京サクソフォンアンサンブルのスタイルなのだろう。アプシルは、曲目解説がジョルジュ・グールデ執筆のものから抜粋されているところがなんだか可笑しかった(私もミュール四重奏団の録音の解説を書く際に同じ文章を参照した)。こと、急速楽章におけるアグレッシヴさは、息を呑むほど。

サンジュレやアプシルの録音は珍しいが、この2曲がルデュー四重奏団のOPUSレーベル発のCDと重なっていることにちょっと驚いた。

オリジナルメンバーでの演奏は先日のライヴ演奏が最後。そしてこのCDもすでに絶版。1980年代に存在したこの団体の貴重な演奏記録を次代へときちんと伝えていくことは、私たちの世代に課せられた使命なのかなあとも思っている。もちろん、それは東京サクソフォンアンサンブルに限らず、ではあるが。

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