2013/05/26

ユージン・ルソー氏のCoronet盤(その1)

島根県のF様より頂戴した、ユージン・ルソー氏のLP録音をCD-Rに復刻してもらったもの(3枚のうちの1枚)。実は5月の頭には受け取っていたのだが、休みの日は演奏会の準備、そして平日は仕事が忙しく、まとまって聴く時間を取れないでいた。今週末、ようやく時間が取れたので3枚それぞれを順にご紹介していきたい。

まず、この録音の録音年について。F様からご教示いただいたのだがグラモフォンの協奏曲集(1971年)よりも古いものとなるようだ。協奏曲集に藁科雅美氏が寄せた文章に次のような記述があることで判明したとのこと。"名手ユジェーヌ・ルソーは以前ヒンデミットの「ソナタ」やこのレコードにも含まれているイベールの「コンチェルティーノ・ダ・カメラ」などを他社にも録音しているが、この新盤では…"。ということで、なかなか貴重な録音。私もこの機会に初めて知ることとなった。収録曲は下記の通り。

Eugene Rousseau Plays Saxophone(Coronet 1292)

Jacques Ibert - Concertino da camera
Paule Maurice - Tableaux de Provence Mov.2,3
Enrique Granados - Intermezzo
Lex van Delden - Sonatina
Alfred Desenclos - PCF
G.F.Handel - Adagio & Allegro

ピアノはMarion Hallだ!マルセル・ミュール氏が1958年にシャルル・ミュンシュ指揮ボストン交響楽団とともにアメリカツアーを行った際に立ち寄ったエルカート(アメリカンセルマーの工場がある)で開いたリサイタルの、ピアニストである。ライヴ録音が残っており、おそらく急な依頼だったのだろうか、イベールなどかなり苦労している様子だったのだが、さすがこの録音ではきっちり弾いている。演奏者紹介にミュール氏の伴奏をした旨が書かれているので、そこからも録音年を絞ることができる。

ふくよかな音色や緩徐楽章での歌い方など、若さを残しつつもルソー氏ならではの良さが出ており、大変に聴く価値のある録音だ。テクニカルな部分で、キラリと光る部分がたくさんありつつも、ごく時々に「あれっ?」と思う部分があるのは意外だったのだが、一発録りだったのだろうか(ちょっと不思議)。しかし、こういった時代にサクソフォンのためのオリジナル作品を集めたアルバムを出すなど、きっと数々の苦労があったのだろう。もし今度ルソー氏に会えたら、この録音についていろいろと伺ってみたい。

聞きなれないデルデンの作品は3つの楽章「アレグロ」「アリア」「ロンド・ア・ラ・ポルカ」から成る小品。1952年の所産で、J. de Vriesに献呈されている。ちょっとシリアス風味だが、最終楽章なんてなかなか面白い。

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