現代作品を見事に演奏した、あの衝撃的なデビューアルバムから2年、ついに待望のセカンドアルバムが発売される運びとなった。現代のプロフェッショナルの四重奏団に必要不可欠ともいえる、「隙のない技術力」を持ち、さらにアンサンブル力や音色の美しさにも優れたSonic Art Saxophone Quartet。ドイツの四重奏団といえば、ちょっと前まではNew Art Saxophone Quartetが幅を利かせていたイメージがあったが、彼らをさらに洗練させたような印象を受ける。
セカンドアルバム「Philip Glass & Michael Nyman - Works for Saxophone Quartet(Genuin GEN11222)」の内容は、なんとミニマル尽くし。同じコンセプトでイギリスのDelta Saxophone QuartetがClarinet Classicsに吹き込んでいるのが思い出される(事実、曲目も2つ重なっている)が、Sonic Art SQがどのようにこれらの曲を演奏するのか、楽しみだった。
Philip Glass - Mishima
Philip Glass - Saxophone Quartet
Michael Nyman - Songs for Tony
Sonic Art SQの透明感のある音色は、これらの作品に実に良くマッチする。「Mishima」での"耽美"とも表現される雰囲気など、ゾクゾクするような魅力にあふれている。想像を絶する楽器としてのコントロールそして丹念なリハーサルの跡を感じる。あくまでもサクソフォンという楽器の範疇に留まりながら、その中での表現を突き詰めていく姿勢に好感を持った。続くグラスでも、第1楽章でソプラノサックスがあの美しいフレーズを奏で、そのようなイメージのまま進むかと思いきや、第2楽章や第4楽章ではガリガリとエッジの利いた大胆な表現までもこなしてみせる。
やはり一番驚いたのはナイマンだ。第1楽章の音色の処理とコントロールって、難しいんですよ。これまでのどの録音を聴いてみても、「この位のテンポが限界でしょう」というところを超えるものは無かったのだが…それを軽々と飛び越えている。いやはや、驚いた。楽章が進むにつれてテンポはゆっくりになっていくが、さらに濃密な音楽が展開されている。
全体的に期待通りの作りとなったアルバムだ。現代作品→ミニマルとくれば、今度はフランスのアカデミックな作品を聴いてみたいな。デザンクロやシュミットなど、なかなか良い演奏になりそうなのだが。
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