2011/12/27

サクソフォーン・フェスティバル2011二日目(その3)

今回のメイン企画、フェスティバルコンサート。独奏サクソフォン+サクソフォンアンサンブルという企画だが、思い返してみれば私が知る範囲では確かにこれまでに取り上げられた記憶がない。バックのアンサンブルは以下のような布陣であった。

松元宏康, cond
塩安真衣子, sn&ssax
國末貞仁、佐藤淳一, ssax
貝沼拓実、山浦雅也、石橋梓, asax
富岡祐子、木藤良朝子、細川紘希, tsax
原博巳、坂東邦宣, bsax
田村真寛, bssax
稲川美穂, hp
亀井博子, vib&glk

♪フェスティバルコンサート(JSAスペシャルソロイスツ)/長瀬敏和
H.トマジ/柏原卓之 - バラード

(前も書いたが)これまでずっと協会の楽譜を使用してきたフェスティバルで、柏原卓之さん編曲の楽譜が使われることに感慨深いものを感じる。長瀬さんは、数年前に同じくフェスティバルで聴いた田中久美子「セドナ」でのソリストとしての演奏を聴いたことがあったが、その時はどちらかと言えばバックの管楽アンサンブルパートに比重がある曲であり、ソリストとしての力量を聴ける曲ではなかったように記憶する。今回はさすが、最初から最後まで大活躍であった。なんとも味わい深い音色、深いヴィブラート…バックで吹くどの奏者とも違う、真のソリストとしての演奏であったと思う。

♪フェスティバルコンサート(JSAスペシャルソロイスツ)/新井靖志
M.ブルッフ/ミ=ベモルSE - コル・ニドライ

新井さんがご自身の十八番レパートリーとしてしばしば取り上げる「コル・ニドライ」。ピアノとの演奏、シエナWOとの演奏などこれまでにあったが、まさかvs.サックスアンサンブルでの演奏がフェスティバルで取り上げられるとは思わなかった。慣れた歌いまわしや芳醇な音色は、聴いていてさすがに説得力の高いものだと感じた。ちょっと大げさかもしれないが、テナーという楽器をこのようにクラシックのソロ楽器として扱える人は、日本にあとどれだけいるのだろう、とも思ってしまった。

♪フェスティバルコンサート(JSAスペシャルソロイスツ)/大城正司
L.ベリオ/C.ドゥラングル&V.ダヴィッド - Récit (Chemins VII)

もちろん原曲の「Chemins VII」を聴いたことがあるのだが、サクソフォン+サクソフォンアンサンブルという形態に落としてしまうと、魅力が損なわれてしまうのは致し方ないところだろうか(魅力、というか、拡張の必然性が損なわれているという表現が正しいかも)。演奏は素晴らしかったのだが…。

♪フェスティバルコンサート(JSAスペシャルソロイスツ)/ヨナタン・ラウティオラ
A.K.グラズノフ/J.M.ロンデックス - 協奏曲

一つ前の企画で現代曲を軽々と吹きこなしたかと思えば、グラズノフのようなロマン派の作品でも鉄壁の演奏を繰り広げる。ヨナタン氏の適応能力の高さを思い知ると同時に、例えばいま現在国際コンクールで入賞しようとすると、あの位吹けないとダメなのだということを見せつけられる思いだ。自分のようなアマチュアの想像の域を超えている。しかし、2010年代に突入して、国際コンクールで入賞するというのはそういうことなのだろう。名演と呼ぶにふさわしい堂々たる演奏だったが、この曲を足し算的に聴かせていく要素を明確に見つけられなかったのが残念。これは自分の耳の問題だろう。

♪フェスティバルオーケストラ
J.シベリウス/金井宏光 - 交響詩"フィンランディア"

どんな感じになるかなー、と聴き始めたが、想像以上にマッチしている!なんでサクソフォン・オーケストラってこんなになんでもできちゃうんだろうか。最後の最後まで良いものを聴かせてもらいました。実は自分たちでもちょうといま演奏しているところで…。

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