ダリウス・ミヨーはフランス六人組の一人として広く知られている。作風は明るく多彩であり、「いかにも南フランス!」というサウンドが耳に心地よい。多作家としても有名で、生涯に400を超える作品を残しているとか。
この「スカラムーシュ」は、そんなミヨーが1937年に書いたピアノ連鍵曲「スカラムーシュ」を作曲者自身がサクソフォンとピアノのために編曲したもの(サクソフォン版が先にできたと言う話もあるが、真相は?)。当時のフランス楽壇がマルセル・ミュールに献呈した他の作品と比べると、格段に親しみやすいメロディーが聴かれ、今日でも演奏される機会が非常に多い。
聴きながら脳裏に浮かんでくるのは、からっと照りつける太陽、穏やかな海風、そしてサンバのリズム。…聴いた上での親しみやすさに比べ、実際の譜面は奏者を苦しめる跳躍やリズムが多いのは、ミヨーらしいと言えば、ミヨーらしい。表面上には苦労を出さずに、水面下で頑張る姿は、カモにも通じますな。
ピアノとのデュオ版のほか、サックス+オーケストラの版、サックス+木管五重奏の版、サックス+吹奏楽の版、サックスラージアンサンブルの版などがあり、特に木管五重奏バージョンは、とってもユニークなサウンド。このバージョンは、ジャン=マリー・ロンデックスによる録音(ambitus amb 97 874)が存在する。ご存じない方はぜひ一聴をオススメ。
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「スカラムーシュ」は、やはり快速な演奏で聴きたいところだ。私見では、須川さんの「ファジイ・バード」というアルバムに入っている演奏が、「スカラムーシュ」の究極的な録音だと考える。その他、ロンデックスのLPで聴ける演奏(上に挙げた木管五重奏バージョンではなく、ピアノとのデュオ)やボーンカンプの演奏も好き。
ちなみに須川さんのCD「ファジイ・バード」だが、…悲劇の名盤なのである。当初Apollonレーベルから販売されていたがご存知のとおりApollonは倒産してしまい、さらにApollon亡き後Bandaiレーベルに引き継がれたのだが、その直後、BandaiまでもがCD事業から撤退してしまった…という経緯が。こうして長らく廃盤になっていたわけだが、2003年7月10日、ついにArt Unionより待望の復刻版が発売された。
悪ノリ寸前ドライヴの須川さんがとても楽しそうでなんだかこっちまで気分が高揚してくる。伴奏の小柳さんも須川さんに負けず劣らずノリノリ。 2人とも若く、まだ活動開始時期ごろの録音にも関わらずこのノリのよさはいったい…?須川さんが、多くの人に愛される理由の一端を垣間見ることができる、かも。
2 件のコメント:
須川さんのスカラムーシュは、圧倒的な演奏ですね。この演奏を聴いてしまうと、他のほとんどの演奏が凡百に聞こえてしまいます。。
まったくそのとおりだと思います(^^ 快速、というか超速ですし、聴いているうちに高揚してきてしまう不思議な魔力をもっていると思います。
須川さんは、スカラムーシュを何回か録音していますが、私は特にこの最初の録音が好きです。
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