2005/01/25

デザンクロ第3楽章のためのノート

デザンクロ第三楽章のためのノート。いろんな先生から聞いたアドバイスで特に重要だと思われることを載せてあります。明らかな間違いがあったら指摘してください。

・この曲のこの楽章の最大の魅力は、和声感にある。
・あくまでもフランス人が発音するフランス語のように、常にアタックに気をつけて。
・前奏は、「オルガンのように」。和音分析をし、根音と5度を前面にし、バランスの良さを出して。デザンクロはコンセルヴァトワールで和声楽の教授をしていた。息子のフレデリックはオルガン奏者。
・anim.は速すぎず。しっかり楽器を鳴らそうと思えばそんなに速くは吹けないだろう。
・アレグロ・エネルジコ冒頭のテナーの音がなぜかH(実音A)で記譜されている。G#(実音F#)間違い?とは思うものの実際は奏者の裁量でどちらを吹いても良い。Hはソプラノの旋律に対して5度、G#は3度で、G#の方が響きに厚みが出る。傾向として日本人はG#を好み、フランス人はHを好むようだ。私はG#にして吹いています。
・アレグロ・エネルジコのテーマではリズム感(一拍目と二拍目ウラ)を強調し、鋭角的なフレージング感を出すこと。また、ここの速度(四分音符=126)が曲全体のトップスピードである。
・トランクイロはフランス語のヒソヒソ話。静かに。
・トランクイロに二楽章のテーマが回想されるが、二楽章の速度と雰囲気をそのまま引用せず、あくまで三楽章の中ということを忘れずに速度などを決定すること。
・アルトとテナーのデュオの四拍目、「三拍目からのタイ付き三連符」の後ろ二つの音を正確に。日本人がやると四拍目ウラの十六分二つになってしまいます(なんかわかりづらい説明だ)。
・モルト・トランクイロはフランス語のもっと小さなヒソヒソ話。もっともっと静かに。
・Kの2小節前からの強奏部分、三拍目表のウラの十六分音符をしっかり目立たせたい。
・Mの2小節目のテーマの変奏のスラーを取った演奏が多いわけ(知らずに「みんなやってるから」とスラーを取る人が多いが…)。実は、ミュールのサクソフォーン四重奏団による初演に接したデザンクロがコンサート後、ミュールたちに「ここはスラーで書いたが、スラーを取ってスタッカートで演奏した方が良いでしょう」とアドバイスしたためなのだ。へえ。出版譜がスラーなしになっていないということはそのとき既に出版された後だったということだろうか。ちなみに、比較的古い録音であるデファイエ四重奏団とギャルド四重奏団の演奏では、ちゃんとスタッカートで演奏しています。
・最終部、テナーの鬼門:低音域超高速十六分スラーは「気持ちが負けないように」吹きたい。何度このアドバイスに勇気付けられたことか…。
・最後の六連符(最初の音欠け)はラヴェル「ボレロ」の最後の引用です。
たくさん演奏されている曲ですので、誰かのお役に立てれば幸いです。

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