さて、卒論シーズン中にたまりにたまったCDを、ちょこちょこと紹介していこう。どれから書いていこうと思ったのだが、まあ、まずはこちら。ファビエン・ショウラキ Fabien Chouraki氏の演奏による、サクソフォンとテープのための作品集「Paysaginaire(Visages du Saxophone VDS-005)」。
・Jacob ter Veldhuis - Grab It!
・Jacques Lejeune - Paysaginaire
・Jean-Louis Dhermy - Shalom
・Etienne Rolin - No Tenor Tech Out
・Bernard Cavanna - Goutte d'or blues
・Jean-Claude Risset - Voilements
・Jacques Becker - Western Ghats
うーん、聴いたことのない作曲家のオンパレード(^^;というか、そもそもの目的がフェルドハウスの「Grab It!」だったので、こんなもんか?
ショウラキ氏はソリストとしても有名だが、最近はロンデックス~ベルデナッド=シャリエと続いた、あのボルドー音楽院のサクソフォーン科教授に就任したことでも有名(なのかな)。
伝統的なフレンチスタイルとは一線を画す音色がなんとも耳につくが、奏法としてはリラックスしているのだろうか、決して「耳障り」にはならない。このちょっと特殊なサックスの音色は、肉声をサンプリングした効果音やシンセサイザーの音色になかなかマッチする気もする。過多なヴィブラートや、余計な倍音がサックスパートに含まれない分、素材の一つとしてサクソフォンが効果的に溶け込むのだ。
さて、お目当ての「Grab It!」だが、この演奏は良いですね!テープと細かい部分のアンサンブルが合わなくとも、ロック風のノリを前面に押し出した熱い演奏。テーマが回帰する部分のサックスなんて、サイコーです。これ聴くと、ボーンカンプ氏の演奏が大人しく聴こえるほど。技術的には(おそらく)ボーンカンプのほうが上なのだろうが…まあ、個性の違い、ですかね。
そのほかの曲で気に入ったのは、子供の声がサンプリングされたブキミな雰囲気の「Paysaginaire」、冒頭の無伴奏カデンツァが聴きもの「No Tenor Tech Out」、インド的音世界と西洋の音楽がミックスされた不思議な曲「Western Ghats」。サックスとテープ(コンピュータ)にしかできない表現を駆使した曲ばかりで、楽しい。
今まで、アコースティック楽器以外:コンピュータやテープとサクソフォンのデュオを何曲か耳にしてきた。シンセサイザーから飛び出すような音色が、サックスと自然にアンサンブルしているのを聴くと、サクソフォンの様々な音楽ジャンルへの適応力の強さを、再認識する思いだ。今度「サックス+コンピュータ、テープ、ライヴエレクトロニクス」のプレイリストでも作ってみようかな。
parisjazzcornerというサイトで購入した。送料込みで20ユーロ(高いよ…)。オンラインショップでは、なぜかジャズに分類されていることが多く、探すのにひと苦労。
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