2013/04/07

ボーンカンプ氏の公式無料CD録音追加

アルノ・ボーンカンプ氏が公式サイトで自身のCD録音を無料配布しているということで、以前この記事とこの記事を書いた。

これまで「Hot Sonate!」「Sonata for the Stringed Instrument: Brahms, Franck, Schumann」「Saxophone Sonatas」「Reed My Mind」「Adolphe Sax Revisited」の5枚が無料で全曲ダウンロード可能な状態で公開されていたのだが、このたび「Scaramouche」と「Metropolis Berlin 1925-1933」の2枚が追加された。また、無伴奏現代作品アルバム「Reed My Mind」の公開が終了…この超名盤の公開終了は残念だが、とりあえず新たな新規追加を喜びたい(私自身は2枚とも持っているのだが)。

下記公式サイトから、「Download」をクリック
http://www.arnobornkamp.nl/

「Scaramouche」
P.モーリス - プロヴァンスの風景
F.シュミット - コペリウスの歌
C.ドビュッシー - ラプソディ
C.ケクラン - 練習曲第2番
J.イベール - 「物語」より
R.ガロワ=モンブラン - 6つの音楽的な練習曲
D.ミヨー - スカラムーシュ

イヴォ・ヤンセン氏とのサクソフォン+ピアノのアルバム。改めて高い技術力と豊かな音楽性に感銘を受ける。過去のアルバムと比べると、音色がずいぶんと落ち着いているように聴こえた。最新のサクソフォンに比較すると若干個性が強く聴こえるかもしれないが、だからこそ飽きずに聴き通してしまう。アルバムタイトルにもなっている「スカラムーシュ」は、須川展也氏の超名録音と真っ向からタメをはっているような…絶対意識しているだろうな、これは(笑)

「Metropolis Berlin 1925-1933」
E.シュルホフ - ホット・ソナタ
P.ヒンデミット - トリオ
P.ヒンデミット - コンチェルト・シュトゥック
A.ブッシュ - 5重奏曲
K.ヴァイル - 組曲「マホガニー市の興隆と没落」

ドイツ産の珍しい作品を集めたアルバム。「コンチェルト・シュトゥック」では弟子のティエス・メレマと共演。ブッシュやヴァイルは、弦楽四重奏との共演となる。フランスの書作品に比べれば作品としての魅力は薄いが、それらの作品を丁寧に現代に伝えようとするボーンカンプ氏の姿勢に感銘を受けた。聴き物は、やはり最後に置かれたヴァイルだろうか。

楽譜書き…

5月18日のTsukuba Saxophone Quartet演奏会に向けて、1日部屋に引き篭って楽譜書き。良い天気で、窓を開けてジャージ姿でPCに向かっていた。

コレがなければ名古屋サックスフェスタに顔を出したかったところなのだが…(苦笑)。途中まで書きかけとなっていたラビ・アブ=カリル「アラビアン・ワルツ」のアレンジだが、なんとか先ほど終わった…が、疲れた。10:00くらいから始め、お昼休憩も挟んで18:00までかかってしまった。おそらく総計20時間くらいかけているわけで、外部委託と内製のどちらが良いのかは分からず、何も考えずに書き始めてしまうのだが、きちんと調べるべきなのだろうか。正直、楽譜を書き終わって達成感を得たことがないのだ…。

今回は、原譜のアーティキュレーションの不正確さと、混合拍子機能の利用に振り回された感がある。

2013/04/06

Claude Delangle - La creation du monde

パリ国立高等音楽院サクソフォン科教授、クロード・ドゥラングル教授の、吹奏楽との共演となる新譜。録音は2007年だが、リリースまでだいぶ間が開いてしまった。とにかく驚いたのはダリウス・ミヨー「世界の創造」の演奏だ…!

トロンボーン奏者としても有名な、クリスチャン・リンドベルイ指揮の、Swedish Wind Ensembleとの共演。サクソフォンと吹奏楽のための作品といえばダール、クレストン、ビンジ、そしてボルコム、オルブライトもぶっ飛んだ作品を書いている。ハイデンやエリクソンも…って、キリがないな。邦人作品だと、古くは伊藤康英「幻想的協奏曲」、最近では石毛里佳「Muta in Concerto」や長生淳「He Calls」などが思い浮かぶ。この編成で何を入れてくるかと興味津々だったのだが、なるほどというか、そう来ますかというか。ミヨーはオリジナル編成で弦楽も交えており、エミルソンの委嘱作品は協奏曲ではなく吹奏楽のための作品。できればダールを聴いてみたかったなー…というのは贅沢な悩みか。

「La creation du monde(BIS CD-1640)」
Claude Delangle, alto saxophone
Swedish Wind Ensemble, ensemble
Christian Lindberg, conductor

John Williams - Catch Me If You Can
Darius Milhaud - La creation du monde
Roger Boutry - Divertimento
Paul Creston - Concerto
Anders Emilsson - Salute the Band
Astor Piazzolla/Tejo - Escualo

「BISのCDは、収録音圧レベルが低いのがちょっとなー…」とブツブツ言いながら聴き始める。案の定、ボリュームを上げないと「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」の冒頭は聴こえづらい(苦笑)。リンドベルイ指揮の吹奏楽は非常に高い技術力で、ともすれば発散しがちなこの作品を良くまとめている。そして当たり前だが、ソロのクオリティは世界最高クラスだ。オリジナルのサウンドトラックに比べてややノリが抑制されているあたりは、いかにもドゥラングル教授らしいというか。

そして飛び上がるほど驚いたのはアルバムタイトルにもなっているミヨー。大前提として、この作品のベスト録音は、今も昔も変わらずレナード・バーンスタイン&フランス国立管弦楽団&ダニエル・デファイエのコンビの演奏(EMI)だと断言できる。妙に暑苦しくも統率の取れたオケ、自由自在な管楽器、デファイエ氏の神々しい音色・音楽性、録音状態も良い…等、ほかのいくつもの演奏が束になってかかっても敵わないものだと思っていた。今回のドゥラングル教授の録音は、誤解を恐れず言えば、この史上最強コンビの演奏を最良の形で現代に蘇らせようとしたものだ(と、少なくとも私自身は感じた)。

冒頭の数音を聴いた瞬間に、誰のサクソフォンの演奏なのか判らなくなってしまった。音色とフレージングによる抜群の存在感を保ちながら、オーケストラとのこの理想的なバランスをとる様は、バーンスタイン盤でしか聴いたことがない。弦楽器陣、管楽器陣も相当健闘しており、サクソフォンとともにユニゾンで動く場所など、艶っぽくて蠱惑的ですらある。全曲にわたって相当に良くまとめられており、入念なリハーサルを重ねたであろうことが推測できる。この演奏は、「世界の創造」の録音についてはバーンスタイン盤に次ぐ名録音として認識されるべきである。

ブートリー、クレストンの演奏も、サクソフォンは完璧。バックのパートの難しさを感じさせない(ブートリーはピアノのあのノリを出すことは至難の業だし、クレストンて実はすごく難しいと伝え聞くし)リンドベルイの棒&吹奏楽団と、高次元で融合している。特に急速楽章であるほど、その凄さがわかる。いずれもこの曲のベスト演奏として位置づけてしまって良いのではないだろうか。

エミルソンの新作(2006年にSwedish Wind Ensembleが創設100周年を迎えたことを記念して作曲されたとのこと。100周年ってすごいな)は、ちょっと難解な現代音楽といったふうだが、それほど聴きづらい作品でもない。

実質アンコールとして置かれたピアソラ。啼鵬さんにこのCDの情報を伝えたところ、2006年に大栗司麻さん経由でレンタルしたとの話を教えてくださった。須川氏の録音と聴き比べてみると、様々なアプローチの違いがあって面白いかもしれない。

2013/04/05

Saxophone Quartet桜 お花見コンサート

今日、日経ホールかスペースDOか、というので迷った方も多いのでは。私は、幸い「息の道」はドゥラングル教授の演奏を2回ライヴで聴いているのでこちらを選択した。…あ、「息の道」を知らない方はぜひ機会があれば聴いてみることをオススメ。

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Saxophone Quartet桜、もちろん名前は知っていたが、聴いたことがなく…テナーの田中さんにご案内いただき、伺った。いやはや、素晴らしいカルテットだ!

【Saxophone Quartet桜 お花見コンサート】
出演:Saxophone Quartet桜
日時:2013年4月5日(金)19:00開演
会場:スペースDo
プログラム:
松岡大祐 - SAKURA
J.S.バッハ - イタリア協奏曲
G.フォーレ - 組曲「ドリー」より1,2,3,6
A.グラズノフ - 四重奏曲より第3楽章
福岡民謡 - 黒田節
C.リオ - Tequila-Kahlua
森正明 - また君に恋してる
A.ピアソラ - リベルタンゴ
A.ベルノー - 四重奏曲
A.グラズノフ - 5つのノヴェレッテより"オリエンタル"

テーブルが並べられて飲食OK。後方ではお酒とおつまみの販売が(売り子は松井宏幸さん)。ステージ後方には、桜の幻燈が映し出され「お花見コンサート」と銘打っている…のだが、中身は立派なフルリサイタルプログラム。サクソフォーンアンサンブルの会の皆様が座っていたテーブルでご一緒させてもらった。

オリジナル曲「SAKURA」は、フランスの小品のような、しかし所々和風の響きがするような曲。曲中のVAMPでメンバー紹介をするという演出も入ったオープニング。一曲終わって入るMCも、聴き手のツボをきちんとおさえており好感がもてる。バッハ「イタリア協奏曲」では、このカルテットの実力をまざまざと見せつけられた。「よく揃った音色や発音、理想的なバランス」と、文字に起こしてしまえばそれまでなのだが、完全に垢抜けたわけではない非常にバランスの取れた音色を使って、特に第3楽章のプレストなんて興奮モノで、実によく演奏される作品だが、いまだかつてこれ以上スリリングな「イタリア協奏曲」があったかと(あのバリトンの難所をきちんと吹くのは、実演では初めて聴いた)思い巡らせてしまったほどだ。

外声が昭和音大の出身、内声が東京芸大の出身者とのこと。Thunderさんと帰り際に話していてそういえばと思ったのだが、意外と外声を張る昭和音大出身のサクソフォン奏者って多いよなあ。なにか傾向のようなものがあるのだろうか。もちろん最終的には個々の奏者に行きつくとは思うのだが…。

フォーレ「ドリー」も、同様の傾向である。ときどき、ふとオールドスタイルの響きがするところも面白く、実演では聴いたことがないがディアステマSQあたりになんとなく通じる在り方を感じる。しかし、リズムの安定性や和声感などは現代風。ヴィブラートだとか音色だとか、それだけではないものがあるかなと思う。グラズノフは終楽章だけの演奏だったが、このスタイルならばぜひ全楽章通しで聴いてみたいところ。

休憩時間には私もビールを購入して、しばし歓談。6月のサクソフォーンアンサンブルの会の演奏会の秘話など、いろいろと話題が飛び出す(笑)。ずいぶん休憩時間が長いと思ったら、お酒売り切れにより補充しに走っていたとのこと。

後半は、お酒にちなんだ福岡民謡の「黒田節(メロディだけなら越天楽今様とも言えるか)」。MCが入って、乾杯の音頭と同時になんと桜の花びらが舞う粋な演出が。続く3曲は「お酒が進むコーナー」として演奏された。テキーラ&カルーアは、意外にもおとなしい演奏で、それまでの鮮烈な演奏からすると意外すぎて拍子抜けしたが「また君に恋してる」の美しさやや「リベルタンゴ」での鮮やかなソロの畳み掛けなど興奮し、ついついお酒が進んでしまった。

最後に、なんとベルノー。この流れからのベルノーかと驚いたが、とにかく本気勝負、技術的にも完成され、積極的な仕掛けも織り込まれて、最後は大喝采となった。聴き手の多くはお酒を飲みつつ…といったところだと思うが、酔いが覚めるほど圧倒されてしまった。アンコールは、グラズノフの「5つのノヴェレッテ」から"オリエンタル"。最後まで一切手抜きなし…。うーん、まだまだポテンシャルがありそうで、次に何をやってくれるか楽しみ…また聴きたいな。

4月13日にはりゅーとぴあでのワンコインコンサートに出演されるとのこと。新潟方面の方はぜひ聴きに行ってみては。

2013/04/03

第4回サクソフォン交流会のチラシ

第4回サクソフォン交流会、チラシがようやく完成(表裏ともクリックして拡大)。デザイナーには容赦なくリクエストを出しまくってしまったが、最終的に非常に良い物ができて嬉しい。一目見て名古屋&サックスってわかるのがいいですね。

直近では4/7の名古屋サックスフェスタで挟みこみ予定。名古屋サックスフェスタに行かれる方は、ぜひ手にとってご覧になってみてください。

2013/04/02

J.L.Chautemps/D.Kientzy/J.M.Londeix - Le saxophone

babarさんから譲っていただいた書籍。Jean-Louis Chautemps, Daniel Kientzy, Jean Marie Londeix各氏の共著となる「Le saxophone(Salabert)」である。この書籍の存在を知ったときはすでに絶版となっており、中古市場にもほとんど出回らないため手に入れなくても手に入れられない存在だった。babarさんには改めて感謝申し上げる次第(ありがとうございました!)。

内容は、下記の通り。カッコは、誰がどのセクションを担当して執筆したかを示している。

I.Histoire (JML)
Chapitre 1. Adolphe Sax
Chapitre 2. L'invention
Chapitre 3. Les premiers saxophonistes

II. Le Repertoire
Chapitre 1. De Berlioz a Debussy (JML)
1. Le repertoire symphonique
2. Le repertoire concertant
Chapitre 2. De Debussy a Denisov (JML)
1. Le repertoire symphonique
2. Le repertoire concertant
3. La misuque de chambre
4. La musique de conservatoire
Chapitre 3. Tendances actuelles (DK)
Chapitre 4. La musique legere (JLC)
1. Rudy Wiedoeft
2. La musique symphonique legere
Chapitre 5. Le saxophone et le cinema (JLC)
Chapitre 6. Le jazz (JLC)
1. Les debuts
2. Les grands saxophonistes
3. La section des saxophones
4. Le rock ou le rhythm and blues
Les deux cultures

III. Technologie et Acoustique
Chapitre 1. L'instrument (DK)
1. Principes de fonctionnement
2. La famille des saxophones
3. La fabrication
Chapitre 2. Choisir et entretenir son saxophone (JLC)
1. Neuf ou occasion?
2. Les qualites d'un bon saxophone
3. L'entretien
Chapitre 3. Becs et anches
1. Les becs (JLC)
2. Anche et ligature (JML)

IV. Techniques
Chapitre 1. L'emboushoure (JML)
Chapitre 2. Techniques specifiques (JLC)
Chapitre 3. Techniques nouvelles
1. Les modes de jeux (DK)
2. l'equipement electronique (JLC)

Annexes
Index

どうです、面白そうでしょう?レパートリーのところにかなり多くの内容が割かれているようにも見えるが、例えばリストとして一から十まできちんとまとまっているというものではなく、文章中にポンポン出てくるといった具合(洋書にありがち)。Harry R. Gee著「Saxophone Soloists and Their Music」、Daniel Kientzy著「Saxologie」、James C. Umbre著「Jean Marie Londeix - Master of the Modern Saxophone」、Nicolas Prost著「Saxophone a la francaise」あたりを総合すれば、本書のかなりの部分が網羅できるかもしれないが、それでもなお多くの部分が新規情報として入手できるものであり、資料として非常に有用だ。

また、ところどころに置かれている貴重な写真がまた面白い。1931年に撮影されたというグスタフ・ブムケのサクソフォンオーケストラの写真や、Guy Le Querrecが撮影した軍隊と石碑の上に置かれたバリトンサクソフォンの写真(テーマ判らず)が個人的にヒットだった。

2013/04/01

松下洋&PEDROSAXO(横浜公演・続き)

PedroSaxoのステージについては当初昨日の記事に追記しようと思っていたが、思い直して新しく記事を起こすことにした。

私はPedroSaxoのライヴは2回目の体験であったため(一回目はWSC会期中、Byre Theatreでの公演)、さすがに世界がひっくり返るような衝撃を受ける、といったことはなかったが、それにしたってやはり目からウロコのサウンドであることに間違いない。宮崎真一氏の東京公演に関する記事をとっかかりにしてその魅力について簡単に書いておきたい。

通常のサクソフォンのサウンドに、例えばスラップタンギング、フラジオ、キイノイズ、重音を混ぜ込む、といったあたりまでは普通の現代音楽でもすでにやり尽くされており新鮮味が無いが、PedroSaxoの面白いところは、そこに演奏者の身体から発せられる音(声による様々な奏法)をさらにプラスするところかな、と思う。掛け算の項がひとつ増えるようなもので、これまで体感したことのないような音が次から次へと現れるのだ。さらに、曲の基礎となる部分を民族音楽などにヒントを得て構築することで、耳馴染みやすい音楽をプレゼンテーションするところも上手い。誰が聴いても、子供の頃から知っているドローンであり、ペンタトニックスケールであり、琴線に触れるべくして触れる音楽なのだ。

このスタイルを貫き通しながら世界中を飛び回っているPedroSaxo。今回の来日で日本のサクソフォンに大きな衝撃を与えたことだろうが、もっと多くの人…サクソフォンを専門的に学ぶ人も、アマチュアでサクソフォンを演奏している人も、一般のクラシック音楽やポピュラー音楽のファンも…に知られてほしいものだと思った。YouTubeのみならず、ぜひライヴで!

最後は、松下洋さんとPedroSaxoのデュオで、ペンタトニックなテイスト満載の「Yo Style」。会場が沸いた。前半のチック・コリアステージともども、例外的なほどに大きい聴後感を得ることができた。

松下洋さんによるツアーレポートは、下記リンクからどうぞ。
Part1: http://blog.goo.ne.jp/youcrossgun/e/70ebfbb7d584b5dc67696c0fe22cfacd
Part2: http://blog.goo.ne.jp/youcrossgun/e/622661ba5a86bf18a4b947144bd39e68
Part3: http://blog.goo.ne.jp/youcrossgun/e/5a6280a50a77eaca6ecde04060bc42b4