2023/03/05

第39回ジャパンサクソフォーンフェスティバル一日目

一日目を終えて、とても良い盛り上がり。実行委員長の小山さんはじめとする運営の手腕によるところも大きいのだろう。都心からのアクセス・駅からのアクセスも良く、ホールも丁度よいサイズ。

・愛好家ステージ

ロッソさんさすがだなあとか(東京のアンサンブルでもかなり老舗の部類になってきた、とのMCあり)、響雅音の同門ならではのUnifiedなサウンドとか、國末さんのウェニアンから、「國末さんの美学」を感じ取れたり、とても楽しく聴いた。中でも衝撃的かつ一番面白かったのは、「ふぉれらの音楽を届け隊」という、全員高校生&関東/関西混成&クラシック/ジャズ混成の四重奏団。少し昔を振り返ると、我々アラフォー世代の、例えばインターネットやSNSを活用した情報収集・発信して演奏活動を推進し、演奏レベルを高めていく、というスタイルは、一つ上の世代から見ると「異化」との評を得たこともあった。しかし、今回この演奏やMCを聴いて、20代周辺の方々は、確実に違う次元に移行しているのだなと感じた。思考の方向性に驚かされる…バッハ「イタリア協奏曲」第1楽章と、真島俊夫編の「My Favorite Things」をトータル2時間の合わせで持ってきてしまったという、そもそもそんな考え方、我々の世代は思いつきもしない。それでもそれなりに見事に演奏してしまうのだ。TikTokとかYouTube Shortとか17Liveとか、超双方向型/インスタント型のSNSが生み出した潮流なのだろうか。

・サキソフォックスのコンコンコンサート

サキソフォックスは初めて聴いた・観たのだが、とにかく楽しく、久々に大笑いした。思い返してみるとベタなのだが、そういったネタを見事に構成して、客席を盛り上げる手腕は見事というほかない。とにかくその場の雰囲気や、MCも含めた演出、もちろん演奏も超見事で、実に楽しい時間を過ごしたのだった。サクソフォンの名曲をコラージュした高橋宏樹氏の「サキソフェスタ」は、目まぐるしく登場するサクソフォンの名曲が楽しく、人気が出そう。こうして聴くとシュミット「四重奏曲」のフーガ主題の4音って、存在感あるなあ。

・宮崎真一のサクソフォン博物館

宮崎真一さんのヴィンテージ~最新サクソフォンコレクション10本(それでも所持在庫の1/10以下とのことで場内爆笑)を出動させ、サクソフォンの楽器進化を6期に分けて解説。宮崎さんのヴィンテージ楽器の解説は、YouTubeやPipers誌上にて参照することができるが、このように全体を網羅・体系的に説明を聴ける機会は大変貴重で、わかりやすく、とても理解が深まったのだった。手元のピクトグラムで細かい写真を見られるのも良かった。ConnのC-Melodyの蠱惑的な音色や、セルマーのバランスアクションが登場するまでの工夫が凝らされたギミック(バランスアクションてすごい進化だったのだ)、プレスティージュのシルクのような音色、どれも魅力的だ。

・ヤコブTVショー2

大石将紀さんプレゼンツのJacobTV作品個展。Heavenスタイル/Earthスタイルの作品を交互に並べ、最後Heavenスタイルで終えるところに大石さんのこだわりを感じる。演奏はどれも良かったが、YouTubeに「The Garden of Love」映像をアップしている清水氏の演奏は、この極めて難しい作品にあって、世界トップクラスのライヴ演奏だろう。佐藤さん、加藤さんの「TATATATATA」の、後半にかけての、"窯変"という言葉を思い起こすようなカタルシスは引き込まれた。「Jesus is Coming」のアグレッシブな演奏も良かったが、ややテープバランスが控えめだったような。また、大石さんはほとんどのHeavenスタイルの作品に取り組んでいたが、しなやかな音色が見事に作品やテープとからみ合い、聴いたことのないようなサウンドを生み出していた。

・日本のサクソフォン史:ポスターと映像の常設展示

今回、実行委員長の小山さんからお声がけいただき、制作を担当した。意外にも?常時誰かしらが足を止めてくれ、多くの方の目に触れてとても嬉しかった。ちなみに、一番人気だったと思われるのは、師弟関係の系統図試作版。

会場の小金井宮地楽器ホール。駅前の建物が等しくこのようなモダンなガラス張りデザインに統一されている。


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