私はそれほどプログレッシヴ・ロックの世界を深く知っているわけではないのだが、浅い知識なりに好きなアルバムは存在する。そのトップ3をご紹介。おそらく、誰にでも聴きやすいアルバムではないかと思う。
King Crimson「Red」
「キング・クリムゾンなら『In The Court Of The Crimson King』じゃないの!?」という声が聞こえてきそうで、実際私自身もそちらのアルバムも大好きなのだが…初期のアルバムにあった荒削り感が姿を潜め、代わりに精神性がプラスされたようなアルバムだ。このアルバムのわずか5年前には所謂「ロックンロール」が音楽界を席巻していたということを考えると、わずか5年だが音楽の変化というものは恐ろしいものだなと感じる。聴き終えて印象に残るのは叙情性だが、その叙情性とともに相反して異常なほどにテクニカルな即興パートが共存する、そんなギャップにグッと来るものだ。冒頭インスト曲の「Red」の分厚くヘヴィなサウンドに驚いていると、とたんに「Fallen Angel」のメロウな旋律線に驚かされる…のだがサビではフリップのギターによって印象がぶっ壊される。最終曲の「Starless」は、じっと耐えるような静謐な繰り返しから、突然の爆発にオーボエ、サックス(ファースト・アルバムで活躍したイアン・マクドナルドが再参戦している)も加わり未知の爆走サウンド。そのまま壮大な大団円を迎える。King Crimson - Red
Yes「Close to the Edge」
邦題は「危機」。超大曲のタイトル曲「Close to the Edge」では、もはや何をやっているのかわけがわからない冒頭部から、テーマの出現、そして荘厳なオルガンサウンドからの爆速テクニカルソロなど、もはやこの曲だけでお腹いっぱいというか「プログレってこんな感じ」感を万人に伝えられるのだから凄まじい。また、牧歌的なメロディのはずなのに妙にヘヴィ&グルーヴィな「Siberian Khatru」も、変則的な拍の中に耳に残るリフが幾度と無く織り込まれる面白さがある。最終部の怒涛の繰り返しはいつ聴いても興奮させられるものだ…フェードアウトしつつ演奏される、クリス・スクワイアのベースの面白さ!スティーヴ・ハウのギターの鮮烈なソロ!同じくらいのボリュームの曲に「Fragile」収録の「Roundabout」があるが、「Siberian Khatru」とどちらが好きかと言われるとちょっと迷うが、今ならこちらを選ぶかも。Yes - Close to the Edge
Emerson, Lake & Palmer「Tarkus」
キーボード、ヴォーカル&ベース、ドラムス(パーカッション)という3人組で、編成としてかなり特殊ではあるのだが、初めて聴いた時はキース・エマーソンのキーボード(ムーグ・システム)の多種多様な音色、そしてタイトル曲の圧倒的構成感にやられてしまったものだ。実は私のプログレの入り口はこの「Tarkus」であり…そんなこともあり、思い入れが強いアルバム(その辺の経緯は以前ブログに書いた)。静謐で神聖な序奏部分からなだれ込む「Eruption」のグルーヴ、「Manticore」のスピード感、「Aquatarkus」のどこか人を喰った感じなど、ジャケット内部のストーリー絵柄と相まって、病みつきになった。アルマジロ戦車かわいいよアルマジロ。あまりに病みつきになりすぎて、演奏したこともある。ちなみに、タイトル曲以外はなんだか軽くてあまり聴く気にならない。Emerson, Lake & Palmer - Tarkus
三選と言いながら、セレクションがベタすぎてちょっと恥ずかしい。ぜんぶブリティッシュだし。まあ所詮「ニワカ」なので…ということでお許し願いたい。あまりクラシック・サクソフォン以外にかけられるお金や時間や精神的余裕もないもので。「Fallen Angel」「Starless」「Siberian Khatru」あたりは、ぜひいつか演奏もしてみたいくらいだ。
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