2014/09/07

オーケストラ・ウィル第6回定期演奏会

昨日、アマチュアでありながらアマチュア離れしたピアノ弾きである"ビルさん"こと塚原啓太氏よりご案内いただき、伺った演奏会。

オーケストラ・ウィルは、茨城大学管弦楽団のOB・OGが中心となって構成された団体とのこと。伊福部イヤーということもあってか、今回の定期演奏会でピアノがフィーチャーされた名曲「リトミカ・オスティナータ」を、塚原氏をソリストに迎えて演奏したのだ。この名曲をライヴで聴けるとは…と、前々より楽しみにしていた。

【オーケストラ・ウィル第6回定期演奏会】
出演:オーケストラ・ウィル、佐々木雄一(指揮)、塚原啓太(ピアノ)
日時:2014年9月6日 18:30開演
会場:つくば市ノバホール
プログラム:
G.ロッシーニ - 歌劇「ウィリアム・テル」序曲
伊福部昭 - ピアノと管絃楽のためのリトミカ・オスティナータ
J.ブラームス - 交響曲第一番

「ウィリアム・テル」を聴いた印象は、思っていたよりも実直型のオーケストラだなあという印象であるが、曲も最終部に差し掛かると指揮者の猛烈な煽りとともに音楽は一層賑やかくなり、続く「リトミカ・オスティナータ」に期待が高まった。

「リトミカ・オスティナータ」は、まさに本日の白眉であった。変拍子を多用した日本的なリズムとメロディによって、そのパワーでもってつべこべ言わずに一気に聴かせてしまう20分ほどの作品である。思わず踊りだしてしまいそうな曲想、そして演奏は会場全体を熱狂させた。久石譲など、日本の映画音楽などに見られるミニマル風な要素は、いわゆる「ミニマル・ミュージック」からの影響ではなく、どちらかと言うと土俗的に醸成されたものからくるものが大きいのではないのかなあ、などと不勉強なりに考え及ぶのであった。指揮者にがんがんと煽られて弾きまくるオーケストラの、楽しそうなこと!塚原氏の独奏も、それはそれは素晴らしいもので、指揮者⇔オーケストラの噛み合わせを見事に乗りこなしながら、曲の推進力の多くの割合を握っていた。テクニカルな面では、素人目にはまったく不安もなく、積極的な表現も随所に垣間見え、舌を巻いた。素晴らしい!

休憩後のブラームスは、恥ずかしながら全て通しでまともに聴いたことは初めてだったかもしれない。主題展開の巧みさは聞きしに勝るほどのもので、プログラム冊子に載っていた譜例を手がかりに、主題が花ひらく様を追いかけようとした。しかし、掬おうとすればするほどブラームスの仕掛けた意表をつく手法によって手からこぼれるばかりであり、かつてシューマン夫妻が認めた見事な音楽性に、改めて感じ入った次第であった。第4楽章のコラールは理屈抜きの感動を覚えたなあ。もちろんオーケストラも、大曲に挑む気概をそこかしこからひしひしと感じる演奏であった。

アンコールは、ルロイ・アンダーソン「舞踏会の美女」であった。おしゃれ!サクソフォンはクラリネットの方が吹いていたのかなあ。

ロビーで塚原氏を囲んで、友人たちと。打ち上げに向かうビル氏とは別れ、この後6人ほどで駅近くに飲みに伺った。素晴らしい演奏を聴いた後は、ついつい饒舌になってしまい、次々と酒を味わう中話が弾むのであった。

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