圓田勇一氏率いる老舗のサクソフォン・アンサンブル団体として、1980年代から日本のラージアンサンブル界を牽引してきた「サクソフォーンアンサンブルの会」。もともとはあの有名な乗泉寺吹奏楽団のサクソフォンパートから派生した団体なのだそうだ。発足はなんと1978年。団体としての名前は聞いたことがあったのだが、これまで不思議と聴く機会はなかった。今回は、Facebookでお知り合いになったメンバーの方のお誘いで伺うこととなった。
驚いたことに、サクソフォーン・アンサンブルの会の活動歴史ページと、本日のメンバー表とを見比べてみた時に、第1回演奏会の参加メンバーが未だ何人か参加している。30年以上を経るわけで、いやはや想像がつかない。
【サクソフォーンアンサンブルの会 第28回演奏会】
出演:サクソフォーンアンサンブルの会、原博巳(賛助出演)
日時:2012年6月3日(日曜)14:00開演
会場:牛込箪笥区民ホール
プログラム:
A.ルーセル - シンフォニエッタ
福田洋介 - サクソフォン・シャンソネット
L.バーンスタイン/福本信太郎 - ウェストサイド・ストーリー・セレクション
J.フランセ - 小四重奏曲
L.ゴドフスキー - ジャワ組曲より
E.グリーグ - ホルベルク組曲
~アンコール~
I will always love you(?)
ルーセルから、見事な演奏に驚いた。技術的に完成され、無駄な部分を全てそぎ落としプリミティブな部分だけを残した、サクソフォンのラージアンサンブルの究極系。ラージアンサンブルを突き詰めていくと、このようなスタイルに行きつくのかもしれない。それは演奏だけでなく、ステージでの立ち振る舞いや演奏会の進行についても同じ事が言える。ソプラニーノは原博巳さんが賛助出演として担当。国内でも最高クラスのコントロールと、的確な立ち回りを楽しんだ。
6重奏となった福田洋介「サクソフォン・シャンソネット」には、会場が沸いた。たしかにこの曲の第1楽章や第2楽章は紛れも無い名曲であるし、6人全員がソプラノを繰って、さらに持ち替えを行う編成というのも見た目的にも面白いものだ。しかもそれだけではなく、めちゃくちゃ上手いのだ。各楽器に難易度が高いソロが割り当てられ、全体も密度高く書き付けられたスコアであるはずだが、技術的に不安な場所は一切なし。また、アンサンブルや表現も相当に練りこまれていた。
バーンスタインやゴドフスキーの演奏も、目が醒めるようなすばらしいもの。ラージアンサンブルを連続した時につきまといがちな「ダレ場」のようなものを一切作らず、常にピンと張ったテンションで終始一貫聴かせる。グリーグは、サクソフォンでは演奏されすぎて普段は食傷気味だが、とても新鮮に聴こえたのが不思議。そういえば、圓田氏の編曲の「ホルベルク」を聴いたのは初めてであった。
そういえば、ゴドフスキーやルーセルの編曲者として名前の挙がっていたNさん?Aさん?という方は、いったいどういうバックグラウンドを持つ方なのだろうか。演奏も殆どの曲に出演しソプラノからテナーまでガンガン吹いている感じ。第1回にも参加者として名前が挙がっている。アンコールに、「I will always love you」をラージ+Kさんのソロで。このKさんのプレイがまた強烈で…大喝采なのであった。各人の力量が、一筋縄ではいかない(^^;
もうちょっといろいろ書きたいのだが、時間がないのでとりあえずこのくらいで(自分が消化しきれていない、というのもある)。いつかぜひ、あの「ブラジル風バッハ第1番」の演奏を、この団体の演奏で聴いてみたいものだ。
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