南米の歴史上、最も偉大な作曲家の一人と言われるエイトル・ヴィラ=ロボス Heitor Villa-Lobos。多作家として知られ、サクソフォンが含まれる作品も数多い。サックス作品目録に掲載されている、サクソフォンが含まれるヴィラ=ロボス作品は、下記のとおりである。
A Roseira - on a popular children's theme [SSATB]
Bachianas Brasileiras No.2 [Chamber Orch including Tsax]
Choros No.3 [Chamber Orch including Asax]
Choros No.7 [Chamber Orch including Asax]
Fantasia, op.630 [Ssax, Orch or Pf]
Nonetto, op.181 [Chamber Orch including A+Bsax]
Quatuor, op.168 [Fl, Asax, Celesta, Harp]
Sexteto mistico, op.123 [Fl, Ob, Asax, Gt, Celesta, Harp]
「ファンタジア」は言わずもがな有名だが、例えば「神秘的六重奏曲 Sexteto mistico」や「四重奏曲 Quatuor」の浮遊感のある響きは、室内アンサンブルにおけるサクソフォンの最も優れた用例のひとつだと思っている。「神秘的六重奏曲」は録音も多く、J.M.ロンデックス、H.R.ポラン、M.ロギーナといった名手たちの演奏を、CDで楽しむことができる。
このたびNaxosから発売されたヴィラ=ロボス作品集「Heiro Villa-Lobos Sexteto mistico and other chamber music(Naxos 9.70127)」は、室内楽作品集ということで、オーボエとファゴットの二重奏、ギター独奏、オーボエ+ピアノ作品のほか、サクソフォン関連の作品として「ファンタジア(サクソフォン+ピアノ)」と「神秘的六重奏曲」が収録されている。そして、フィーチャーされているサクソフォン奏者はなんとティモシー・マカリスター Timothy McAllister氏!これには驚いた。メジャーレーベルでの録音はこれまであまりなかったはずだが、まさかこんなところでマカリスター氏の名前を見ることになるとは。
ファンタジアは、あの伝説的なリサイタルで聴いたときの印象が再び思い起こされるような演奏。この何者にも揺るがないスタイル、音色、ヴィブラート、テクニック…どれをとっても超一流だ。やはりこれは、アメリカのサクソフォン界の最良の形だ。興味深かったのが「神秘的六重奏曲」。多くの録音では、サクソフォンはフルートやオーボエに比べるとやや浮き気味で、華やかな印象を残すのだが、ここでのマカリスター氏のサクソフォンは、まさに"木管楽器"といった装いで、あまりサクソフォンらしい雰囲気がしないのが面白い。
サクソフォン関連以外で注目すべきは、やはりオーボエ+ギターの「花をわける」だろう。和音のせいなのか、旋律線のせいなのか、"和"のイメージが脳裏に浮かぶ。オーボエという音色のせいもあるかもしれない。なぜかベンジャミン・ブリテンの「Phantasy」を思い出した。
Amazonでは…えっ、MP3ダウンロードしか取り扱っていないの?!(こちら→Villa-Lobos: Sexteto mistico)
0 件のコメント:
コメントを投稿