2010/07/28

阪口新氏の生誕100周年記事

PCの調子が悪かったのは、VGAカード(とは最近は言わないのか?)のせいだったみたい。取り外して、マザーボードのオンボードVGA出力に切り替えたら、今までの不調がウソのようにバリバリと動き出した。とりあえずは、良かった、良かった。

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日本サクソフォーン協会報"Saxophonist"のVol.22に、阪口新氏の特集が組まれている。1910年生まれの阪口氏、惜しまれつつも1997年に亡くなったが、2010年となる今年は生誕100周年。日本のクラシカル・サクソフォン界をたった一人で立ち上げた張本人であり、日本のサクソフォン吹きは全員が阪口氏になんらかの影響を受けていると言っても過言ではない。

この特集記事は、生前の阪口新氏と関わりの深かった5人…石渡悠史氏、須田寔氏、冨岡和男氏、高橋冽子氏、柴田祥子氏が、思い思いにエッセイを綴る、といったもの。このような貴重なテーマについての企画や編纂に尽力されたであろう、上田卓氏を始めとする編集員の方々にまずは感謝を表したい。

石渡氏のエッセイは、自身が初の東京芸術大学のサクソフォン科の生徒となった頃からの、阪口氏との思い出。よく知られているように、もともとはクラリネット吹きであった石渡氏が、サクソフォンに転向したきっかけや、レッスン(というか実地訓練)描写、毎日コンクールに初めてサクソフォン部門が設立された年のこと(課題曲がなんとカミユ・サン=サーンスの「白鳥」!)、そして、石渡氏がカレル・フサの「協奏曲」を日本初演することになったときの、レッスン描写など、非常に楽しい内容だ。フサを持っていったときのレッスンの一部は、こんなふうに書かれている。

石渡氏「今度これをやるのですけど」
阪口氏「まあおまえ、一杯やろうよ」
石渡氏「先生、頼みますよ」
阪口氏「おお、ずいぶん高い音があるな、おまえ大丈夫か」
石渡氏「まあなんとか」

…おもしろすぎます(^^;

その他のエッセイも面白い。冨岡氏のエッセイは、阪口氏のエピソードが盛りだくさん。阪口氏、生まれはチンタオなのですね(時代を感じる…)。高橋冽子氏のエッセイは、数年前のサクソフォーン・フェスティバルのパンフレットに掲載されていたものと関連性が高い。だが、私の目はひとつの写真に吸い寄せられた…なんと、1962年のマルセル・ミュール、パリ音楽院の生徒、そして高橋氏が、パリ音楽院のレッスン室で一緒に写った写真があるではないか!これは初めて見たぞ…。写真は、入野義朗氏が撮影したものであるようっだ。

また、驚くべきは協会報の付録CDに、阪口氏の演奏が収録されていること!プログラムが凄くて、高橋冽子「アルトサクソフォンとピアノのための五楽章」の抜粋と、入野義朗の「ディヴェルティメント(!)」の抜粋。日本産のサクソフォンを含む室内楽作品としては、記念碑的なものの一つである「ディヴェルティメント」だが、まさか阪口氏の録音が残っているとは思わなかった。ぜんぶ聴いてみたいなあ。

…非常に貴重な資料である。日本でサクソフォンを吹いているならば、読まねばなるまい。

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