社会人になって楽器をやるとき、練習場所の問題は常に付きまとうものだと思う。一人だけだったら、近所の公園に出かけていくとか、アビ○ックスを買ってみるとか方法がいくらでもあろう。しかし仲間と一緒に合奏をやるとき:4人、8人のアンサンブル、50人、70人編成の吹奏楽などになれば、まさか近所の公園にわらわら集まって練習するわけにもいかないし、防音小屋を建てるわけにもいかないし…。
多くの団体は、公民館を借りたり、ホールのリハーサルルームを借りたりしているのが普通ではないだろうか。しかしやっと見つけたそういう場所に限って、いろんな使用料金が高かったり、音響が悪かったり、常に予約でいっぱいだったりと、イマイチなことが多いのだ。まあ、もともと「楽器の練習」という使用方法を念頭において作られた場所はないだろうからな。
われらがつくば市も、そうだなあ、もし大学内が練習場所として使えなかったら…と思うとぞっとする(大学の吹奏楽団OBになってまで、日常的に入り込んでいる自分たちもどうかと思いますが…ゴメンナサイ!)。ざっと挙げられるのは春日公民館、吾妻公民館、竹園公民館、アルスホール、カピオホールリハ室。このうち春日公民館は、無料で使用できる&駐車場がある&部屋がたくさん&家からそこそこ近い…などのメリットがあって、大学に入れないときに良く使うが、部屋の狭さ&響きの悪さ&防音性の悪さなどは、やはりデメリットとして挙げられる。
つくば市の状況はこんなものだとして、他の地域ではどうなんだろう。ホールのリハーサル室使用料金が高すぎるとか、公民館が住宅地のど真ん中にあって楽器の練習が禁じられているとか、実際に聞いたことはないが日常茶飯事なのではないのだろうか。「全国の楽器人による公民館利用実態の調査!」なんて企画があったら面白そうだ。
さて、前置きが長くなったが、福島県いわき市の独特の「練習場所」のお話。いわき市と言えば、吹奏楽では全国大会レベルの高校3つと支部大会レベルの一般バンド3つ、数多くのジャズオーケストラ、優秀なアマチュア室内楽団(IBCサクソフォンアンサンブルとか)を擁する、音楽が盛んな街。この盛んな音楽活動の原動力のひとつに「いわき市音楽館」の存在のがあることは間違いない。他の自治体に住んでいる楽器人から見れば、この「いわき市音楽館」はまさに羨望の的だ。
いわき市が管理する社会教育施設として、主に音楽活動をサポートする目的で建造された施設。いわき市民であれば、規約を守りさえすれば誰でも自由に使用することができる。この施設、最も驚くべきは、練習部屋の質と量。こちらのページをご覧いただきたい。250人収容のホール、100人収容の板張りフロア、50名程度が練習できる中規模の練習室が2つ、10名程度が練習できる小規模の練習室が7つ…すごい!全部屋が完全防音であり、使用料も破格。各部屋にはピアノまたはドラムセットが備え付けてあり、僅かな追加料金で使用可能だとか。4階建て、エレベーター付き。立地は、市役所&ホールの目と鼻の先。駐車場あり(有料)。
改めて調べてみても、「なんだこりゃーすごいー」という言葉しか出ませんな(笑)。ここまで恵まれた施設が、市の中心部にドカンと建てられているとは、いやあ、うらましい。
来年度、2007年4月から改修工事に突入し、一年間使用不可能となるようで、一般バンドにとってはかなり困った困ったの状態らしいが…そもそもこの時代にあって、市が文化施設に対して改修の手を入れるというのも、なかなか稀な出来事じゃあありませんか。音楽館を起点として、素晴らしい好循環が生まれている証拠だ。
何億円か分からないが、たくさんのお金をかけて立派な施設を建造した、自治体の英断に拍手。血税を使ってワケノワカラナイ中途半端なホールを作るよりも、むしろこういう練習施設のようなものの方が、音楽活動の発展には寄与するものなのね。市民もこの施設の充実振りには嬉しいことだろう。…他の自治体で、このような練習場所を建造した!というようなところはないのだろうか。こんな好循環が日本全国いろいろなところで生まれると、楽しそうだなあ。いわき市音楽館はその最高のモデルケースとして、もっと評価されるべきではなかろうか。
このテーマは突き詰めていくと、論文でも書けそうだな。どなたか文系の方、いかが?(笑)そうだなあ、タイトルは「自治体による『音楽活動が盛んな街』づくり」とかね。
長野県と茨城県にしか住んだことがない私が、なぜいわき市の練習場所事情に興味があるのかだなんて、ヤボなことは聞かないでくださいまし。音楽やっていると、いろいろなつながりがあるものなのです。
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