2007/01/13

小澤征爾×ロバーツ・トリオ×ガーシュウィン

小澤征爾って世界一有名な日本人指揮者ではないだろうか。ウィーン国立歌劇場やサイトウ・キネン・オーケストラにおいてタクトを取り、今なお精力的に活動を続けている。一方マーカス・ロバーツと言えば、ウィントン・マルサリスとの共演でも名高い盲目のジャズ・ピアニストであり、自身のトリオ活動も高い評価を得ていると聞く。まさか、この二者が共演した録音が存在するとは知らなかった。しかもよりによって、プログラムはガーシュウィン!

「パリのアメリカ人」「ラプソディ・イン・ブルー」「ピアノ協奏曲ヘ長調」なんかは、クラシックとジャズの見事な融合を示した、なんて評されたりする。しかしこの共演ではそれをさらに推し進め、マーカス・ロバーツ・トリオの面々をソリストに見立てた、一種のトリプル・コンチェルトの形態をしている。アレンジも加えられており、曲の要所要所でピアノ・トリオによる即興を含むソロが取られる。

…って、様子を書き並べてもなんのことやら、だと思うが、とにかくこれは一度聴いていただきたい!よく知った「ラプソディ・イン・ブルー」がもっと楽しくなるなんて!と驚くこと請け合いだ。オーケストラと絶妙なバランスでの演奏を繰り広げるジャズ・トリオは、何の不自然さもなく、むしろ単なるオーケストラアレンジよりも曲の魅力を引き出しているように感じる。音楽のジャンルを超えた交流が、特に顕著に成功しているようだ。「ピアノ協奏曲ヘ長調」の絶妙なアレンジ、第3楽章のすさまじいドライヴ感。小澤さんがノリノリで指揮を振っている様子が目に浮かぶ。

2005年には、長野県松本市でサイトウ・キネン・オーケストラと同一のプログラムをやったそうな。これは生で聴いてみたかった…。

ベルリン郊外ヴァルトビューネで行われたベルリン・フィル野外ライブのDVDが比較的入手しやすい他、サイトウ・キネン・オーケストラとのライヴ盤も出ている。ガーシュウィン好きの方はぜひ。

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