Wayne Siegelは、アメリカ・カリフォルニア州に生まれ、デンマークで活躍する作曲家。管弦楽曲からエレクトロニクス音楽まで、極めて広い分野の作品を手掛けている。現在はデンマーク王立オーフス音楽院の電子音楽学の教授。
「Jackdaw」は1995年、バスクラリネットとエレクトロニクスのために書かれた作品。バリトンサクソフォンで演奏されることがある。以下、作曲者自身の手によるプログラムノートを翻訳・掲載しておく。
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バスクラリネットとコンピュータのための「Jackdaw」は、デンマーク芸術評議会の資金援助を受けてハリー・スパルナイ Harry Sparnaayの委嘱により作曲され、デンマークのMusiana 95 festivalで初演されました。Jackdawはヨーロッパに生息する小型のカラスで、楽曲の特徴や多くの音は、この大胆かつ賢い鳥にインスピレーションを得ています。私は飼い慣らしたペットのJackdawを飼っており、完璧な条件下で鳥の声を録音することができました。コンピュータで再生される音の多くは、これらの録音をコンピュータで処理したものです。たとえば、バスクラリネットのフォルマントでフィルタリングしたJackdawの鳴き声や、Phase Vocoderを使用して元の長さの 10 倍に引き伸ばした鳥の長い鳴き声などです。また、コンピュータでサンプリングおよび処理されたバスクラリネットの音や、演奏中に楽器の音を変えるコンピュータ制御のライブ処理も使用されています。作曲が進むにつれて、私の予感は確証に変わりました。Jackdawとバスクラリネットは関連があるのです。
Jackdawは、ヨーロッパや南米で Harry Sparnaay によって広く演奏されてきました。バスクラリネットと CD、バリトンサックスと CD、テナートロンボーンと CD のバージョンも入手可能です。
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微温的というか、不思議なテンションを湛えた作品で、もっと人気が出ても良いと思うのだが、日本で誰かが演奏した、という話は聞いたことがない。Stephen Cottrell氏のアルバムに収録されている演奏が、非常に安定かつ作品の雰囲気にマッチしており、決定盤といえる。