2007/02/28

指は大切に

いつものように研究室から外に出て、電気ポットに水を汲みに行こうとしたら…どういうわけか、右手人差し指の爪の根元付近を、鉄製の重いドアの支点の近くに挟んでしまった。

挟んだ瞬間「ポキッ」という音が。えー!!

そこからは大慌て。猛烈な痛みで、よもや骨にヒビが入ったか、もしくは骨が折れたかと、慌ててつくばシティアビルの整形外科に駆け込む。

何が怖いって、右手人差し指といったらサックスの「ファ」ですよ。「ファ」が押さえられなくなったら、事実上「ファ」~「ド」が使えないではないか!一ヶ月以内に吹奏楽の本番やら、アンサンブルコンクールやらを控えている身としては、骨に異常がないことを祈るばかり。骨に異常があったら一ヶ月は人差し指に負担をかけられない=楽器を吹けないからなあ。

…で、整形外科で仰々しくレントゲンをとってもらい、ドキドキしながら検査結果を待つ。「ファの指って親指で押さえられるのかなあ」とか「親指で押さえられなかったら、演奏辞退かなあ」と気が気でない。そして検査結果。幸い骨に異常はないとのこと。ほーっ。そのときの安堵感といったらもう…。

ただ、内出血と爪の痛みがひどいので、しばらくは「ファ」の開閉が鈍いかも知れませぬ>関係者のみなさま。楽器やっている以上、指はきちんとケアしなけりゃいけないですね。怪我してから初めて気付くけど、指が10本気兼ねなく使えるのって、ありがたいことだ。

2007/02/26

サミュエル・バーバー「思い出」

サミュエル・バーバー Samuel Barber は、20世紀アメリカの作曲家。作風はおおむねネオ・ロマンティックと言え、前衛にはほとんど足を突っ込まずに、美しい旋律・魅力的な和声を持った曲を多く書いた。「弦楽四重奏曲第一番」の第2楽章を、弦楽合奏用に編曲した「弦楽のためのアダージョ」は有名で、映画音楽やサウンドトラックとしても広く使われている。

「思い出 Souvenirs」は、バーバー自身が友達との楽しみのために書いたピアノ連弾曲を、本人がオーケストラ用のバレエ組曲としてまとめたもの。オーケストラ版が最初のバージョンになり、以降、ピアノソロ用、ピアノ連弾用が相次いでまとめられた。全体は6つの楽章からなり、次のようなエピソードが付与されている。

・ワルツ(ホテルのロビーにて)
・スコットランド舞曲(3階の廊下)
・パ・ドゥ・ドゥ(ダンス・ホールの片隅)
・ツー・ステップ(パームコートでのティータイム)
・ためらい~タンゴ(ベッドルームで)
・ギャロップ(次の日の昼下がり、浜辺にて)

うーん、男女が出会ってからくっつくまでの過程を描いたようにも、なんとなく思えます(というか、あからさまにそうです)。「思い出」という題名にしろ、男女の恋愛をあからさまに音楽で描写しているのを聴く(演奏する)のは、想像が広がって面白い。加えて、本当に美しくて素敵な曲なのだ。

例えば第1楽章、これはニューヨークの人通りの多い通りに建つ、とあるホテルの様子を描写しているのだろう。時に1914年。力強く演奏されるピアノの序奏は、まさにこれから起こる様々なエピソードを暗示しているかのようだ。そして序奏がふっと途切れた後に続くワルツ。面識もなかった男女が、お互いの存在に気付く。見初めあう2人。心の中で相手に問いかけるが(フレーズが2人の間で交換される)、しかし声は出ない…。そのじらしさは、取り巻きのダンスのエネルギーとなり、背後では華やかなワルツが踊られている。

第2楽章は、偶然にも宿泊階が同じだった2人が、ホテル三階の廊下で出会う様子だろう。ちょっと滑稽なスケルツォ。男性が話を取り付けるのに苦労しているのだろうか。第3楽章は、男性が女性をダンス・パーティに誘う様子。第4楽章は次の日のティータイム。第5楽章は、何といっても女性のためらう気持ちが、徐々に情熱的となっていく過程の描写がドラマティック。「ためらい」の部分の、2人が交わす二言、三言からはセリフまでも聞こえてきそうだ。第6楽章は、喜びにあふれた疾走。人生における春ですなあ(←何)。

さて、この曲なんと、サクソフォーンのために編み直された版が存在する。作曲家として有名な生野裕久氏の筆によるもので、この曲をソプラノ+アルト+テナー+ピアノのために編曲した版なのだ(委嘱は服部吉之氏)。私は今年の頭に3つの楽章を抜粋して(ワルツ、ためらい~タンゴ、ギャロップ)仲間とともに演奏する機会があり、サクソフォンを演奏する身としては、この素敵な作品に演奏側として触れることができて大変に嬉しかったのであった。本番の演奏に気を良くしたので、再演の構想もある。

願わくば、多くの方がこのメロディを享受できるように、出版されてほしいところだけれど、さすがに難しいかなあ。

サクソフォン3本+ピアノ版が収録されたケネス・チェ Kenneth TSE氏のCD「In Memory(Enharmonic ENCD00-014)」。

演奏は、林田和之(ssax)、ケネス・チェ(asax)、服部吉之(tsax)、服部真理子(pf)で、1999年に行われたチェ氏の日本でのコンサートでのステージを抜粋して収録したものだそうな。珍しくも、服部先生のテナーの音色を聴くことができる。他の収録曲&演奏もとても良く、サックスのCDとして大変オススメできる一品。

2007/02/25

野中WEBリニューアル

野中貿易のウェブページ(→http://www.nonaka.com/)が、リニューアルされていてびっくり。明るい色調になりました。ついでに、コンテンツも増えている。

そういえば、3/25(日)アンナホールで行われる、インターナショナル・サクソフォン四重奏団のコンサートは聴きたかったなあ、残念(本番が…)。わたしゃ、バリトンを吹いているリチャード・ディーラム Richard Dirlam氏のファンなのです。

2007/02/22

ダリウス・ミヨー「スカラムーシュ」

ダリウス・ミヨーはフランス六人組の一人として広く知られている。作風は明るく多彩であり、「いかにも南フランス!」というサウンドが耳に心地よい。多作家としても有名で、生涯に400を超える作品を残しているとか。

この「スカラムーシュ」は、そんなミヨーが1937年に書いたピアノ連鍵曲「スカラムーシュ」を作曲者自身がサクソフォンとピアノのために編曲したもの(サクソフォン版が先にできたと言う話もあるが、真相は?)。当時のフランス楽壇がマルセル・ミュールに献呈した他の作品と比べると、格段に親しみやすいメロディーが聴かれ、今日でも演奏される機会が非常に多い。

聴きながら脳裏に浮かんでくるのは、からっと照りつける太陽、穏やかな海風、そしてサンバのリズム。…聴いた上での親しみやすさに比べ、実際の譜面は奏者を苦しめる跳躍やリズムが多いのは、ミヨーらしいと言えば、ミヨーらしい。表面上には苦労を出さずに、水面下で頑張る姿は、カモにも通じますな。

ピアノとのデュオ版のほか、サックス+オーケストラの版、サックス+木管五重奏の版、サックス+吹奏楽の版、サックスラージアンサンブルの版などがあり、特に木管五重奏バージョンは、とってもユニークなサウンド。このバージョンは、ジャン=マリー・ロンデックスによる録音(ambitus amb 97 874)が存在する。ご存じない方はぜひ一聴をオススメ。

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「スカラムーシュ」は、やはり快速な演奏で聴きたいところだ。私見では、須川さんの「ファジイ・バード」というアルバムに入っている演奏が、「スカラムーシュ」の究極的な録音だと考える。その他、ロンデックスのLPで聴ける演奏(上に挙げた木管五重奏バージョンではなく、ピアノとのデュオ)やボーンカンプの演奏も好き。

ちなみに須川さんのCD「ファジイ・バード」だが、…悲劇の名盤なのである。当初Apollonレーベルから販売されていたがご存知のとおりApollonは倒産してしまい、さらにApollon亡き後Bandaiレーベルに引き継がれたのだが、その直後、BandaiまでもがCD事業から撤退してしまった…という経緯が。こうして長らく廃盤になっていたわけだが、2003年7月10日、ついにArt Unionより待望の復刻版が発売された。

悪ノリ寸前ドライヴの須川さんがとても楽しそうでなんだかこっちまで気分が高揚してくる。伴奏の小柳さんも須川さんに負けず劣らずノリノリ。 2人とも若く、まだ活動開始時期ごろの録音にも関わらずこのノリのよさはいったい…?須川さんが、多くの人に愛される理由の一端を垣間見ることができる、かも。

2007/02/20

CDのバックアップ

数年前からかなり話題に上っていることで、いまさらな感じはあるけれど、CDのバックアップって、どうしたらいいだろうかと考えてみた。CDは樹脂層の劣化やコーティングミスによって、いずれアルミ製の記録面が酸化してダメになってしまう、という。早ければ10~20年程度で聴けなくなるCDもあるんだとか。貴重な音盤、聴くことができなくなったらショック!だろうからなあ。

「CD-Rに一枚一枚コピーしていく」「isoファイルにしてまとめてDVD-Rに焼く」などは却下。色素の変質を利用して記録しているこれらのメディアは、CDよりも寿命が短いらしい。「オリジナルが聴けなくなった~(>_<)」と言って引っ張り出してきたときには、バックアップのほうがダメになっているかもしれない。

「パソコンや、外付けハードディスクにisoファイルとして記録しておく」も、論外。わたしゃ今までの人生の中で、ハードディスクを3回クラッシュさせております。いつ壊れるか分かったもんじゃない。それに、isoで記録すれば一枚600Mbytesくらいになるのだろうから、100枚で60Gbytesか?容量がぜんぜん足りません。

で、「1000Gbytes程度のRAIDボックスを買って、isoファイルとして記録しておく」のが良いのではないかという結論に達した。250Gbytesのハードディスクを4台搭載したストレージで、RAID5として構築すれば、万が一、あるハードディスクが壊れても、故障したことがすぐ分かる。さらに故障ディスクを交換することで、データの復活が可能なのだ(RAID5のメカニズムについては、富士通の解説サイトがわかりやすい)。

容量に関しては使用可能領域である750Gbytesもあれば、CD換算で1200枚程度まで大丈夫だし、ネットワークに接続しておけば、オンラインストレージとして世界中のどこからでもアクセス可能だし、良いことずくめ。まあしかし、1000Gbytesのモデルとなると、かなりお高い(10万円くらい)のが難点で、しばらくは縁がないだろうな(^^;

Googleあたりが、無限の帯域と容量を持つオンライン・ストレージ領域を、月額10ドルくらいで提供してくれれば、大変ありがたいのですが。さすがにそれは無茶というものかしらん。

2007/02/19

雲井雅人「Simple Songs」

昨年12月に発売された、雲井雅人氏のアルバム「Simple Songs(Cafua CACG-0093)」。レコード芸術今月号の「特選」に選ばれたという…図書館に入っているレコ芸をパラパラめくってみると、おお、載ってる。すごい!このCD、もちろん発売直後に購入済で、とても気に入って何十回も聴いたのだが、そういえばまだブログに書いていなかった。

・バーンスタイン - シンプル・ソング
・バッハ - 3つのコラール前奏曲
・デザンクロ - 前奏曲、カデンツと終曲
・バッハ - イタリア協奏曲より「アンダンテ」
・マズランカ - ソナタ
雲井雅人(asax, tsax)、藤井亜紀(pf.)

これは、スピーカーの真正面で正座しながら聴くと、言葉を失う。今までのサックスからはちょっと聴いたことのない、何かが感じられるはずだ。雲井氏の音楽に対する精神性が、そのまま音になって立ち上がってきているのか。それは、曲に対する愛情だったり、サックスという楽器に対する思い入れだったり…そしてなにより、音楽に対する真摯な姿勢。

テナーで歌のごとく奏でられるバッハ、「美しい」デザンクロ、そして物語を感じさせるマズランカと、未知のサックスが凝縮された一枚。この演奏の素晴らしさを言葉にするのは難しいので、ぜひ手にとって聴いてみていただきたい。

そういえば、何気にSACD対応なのですな。SACD対応プレーヤで再生すると、DSDの超高音質とマルチチャンネルが楽しめるらしいが…この録音を堪能するには聴く側もきちんとした機材をそろえなけりゃいけないのか。ちゃんとした環境で聴いてみたいものだ。

2007/02/18

グラズノフ第1楽章初合わせ

協会のコンクールに向けて、早速グラズノフ「四重奏曲」第1楽章の初合わせ。3週間ぶりの集まりで、4人でヘロヘロになりながらさらう。なんだかメチャクチャ難しいんですけど。指回しではなく…なんというかこの雰囲気を再現するのが難しい(いや、指も回ってないんだけどね(--;スミマセン)。

3拍子の気品あふれるユラユラ感←なんだそりゃ、はサックスならではの譜面じゃないかな?他の楽器で同じ楽譜を弾いたり、吹いたりしてもこの感じは出せないんじゃないかしら。…まー、果たしてこの上品さを再現できるかどうかは、これからの練習にかかってくるのですが。大変だ。

でも4本で合わせていると、心地よい。久々に合わせてみると、音程はバラバラだし音色は不揃いだしでイマイチなのだが、この感覚が楽しいんだよなあ。やっぱりサクソフォン四重奏って媚薬だなあと思う。4人(そう、たった4人!)集まって、楽器に息を吹き込めば良いだけ。また本番まで、しばらく離れられなさそうです。